2012年12月03日
1時間37分でちょっとうれしい
バンコクを走った。日曜日の朝、マラソン大会に参加したのだ。といっても、そんなに大仰な話ではない。気楽な大会だった。
タイではいま、毎日曜日、どこかでマラソン大会が開かれているのだという。今回、走ったのは、ノンタブリーで開かれた『エイズと闘うミニマラソン』だった。最も長いものが10キロという短いものだが、もう15回にもなるのだという。1000人ほどの人が、朝の6時のスタートに集まった。
しかし運営はタイらしく、「ゆるゆる」だった。参加の申し込みもいらなかった。当日の朝、スタート地点に出向けば、誰でも走ることができた。事前申し込みをし、東京マラソンなどは抽選になる日本とは世界が違う。
しかし運営側は、その日に走る人数を事前に知らない。参加費用の250バーツ、約700円を払うと、記念の傘、ゼッケンをくれる。その数をどう把握するのだろうか。
交通規制もなかった。この大会はノンタブリーにある公衆衛生省の敷地で行われると聞いていた。だから交通規制もないのかと思っていた。しかし敷地はやたら広く、住宅もある。路線バスも走り、車やバイクも普通に走っている街のようなものだった。角には屋台も店を出していた。
そのなかを走るのである。日曜日の早朝とはいえ、車やバスも走る。車のほうがランナーに気を遣ってくれた。
しかしその恩恵も十分に受けた。交通規制がないから、ランナーが走るの時間制限がないのだ。2キロおきに給水所があったが、そのスタッフも、遅れたランナーをいつまでも待ってくれる。
遅れたランナー……。
僕だった。
日頃、ほとんど走っていない。不安だらけだった。実はこの体験は、『週刊朝日』に記事を書くことになっている。走らざるをえなかったのだ。
4キロ地点までは、なんとか走った。しかし辛くなってくる。足も腰も痛い。どんどんタイ人のランナーに抜かれる。かといって、足は動かない。歩くしかなかった。
タイ人のなかにも、歩きはじめる人がかなりいて、最後尾はマラソンではなく、ウォーキングになっていく。それでも、スタッフはちゃんと対応してくれるのだ。
歩くことを嫌うタイ人である。ウォーキングを止める人も出てくる気がした。ちょっと期待もしていた。道にはタクシーも走っている。
しかし目からウロコだった。「マイワイ(もうだめ)」などといいながら、彼らは頑張るのである。街ではあれだけだらけて暮らしているタイ人が歯を食いしばって歩くのだ。
タイ人感を変えなければいけないのかもしれなかった。
彼らと一緒にゴールラインを渡った。1時間37分。人にいえるような記録ではない。
スタッフが駆け寄ってきて、完走記念のメダルを渡してくれた。
ちょっとうれしかった。
タイではいま、毎日曜日、どこかでマラソン大会が開かれているのだという。今回、走ったのは、ノンタブリーで開かれた『エイズと闘うミニマラソン』だった。最も長いものが10キロという短いものだが、もう15回にもなるのだという。1000人ほどの人が、朝の6時のスタートに集まった。
しかし運営はタイらしく、「ゆるゆる」だった。参加の申し込みもいらなかった。当日の朝、スタート地点に出向けば、誰でも走ることができた。事前申し込みをし、東京マラソンなどは抽選になる日本とは世界が違う。
しかし運営側は、その日に走る人数を事前に知らない。参加費用の250バーツ、約700円を払うと、記念の傘、ゼッケンをくれる。その数をどう把握するのだろうか。
交通規制もなかった。この大会はノンタブリーにある公衆衛生省の敷地で行われると聞いていた。だから交通規制もないのかと思っていた。しかし敷地はやたら広く、住宅もある。路線バスも走り、車やバイクも普通に走っている街のようなものだった。角には屋台も店を出していた。
そのなかを走るのである。日曜日の早朝とはいえ、車やバスも走る。車のほうがランナーに気を遣ってくれた。
しかしその恩恵も十分に受けた。交通規制がないから、ランナーが走るの時間制限がないのだ。2キロおきに給水所があったが、そのスタッフも、遅れたランナーをいつまでも待ってくれる。
遅れたランナー……。
僕だった。
日頃、ほとんど走っていない。不安だらけだった。実はこの体験は、『週刊朝日』に記事を書くことになっている。走らざるをえなかったのだ。
4キロ地点までは、なんとか走った。しかし辛くなってくる。足も腰も痛い。どんどんタイ人のランナーに抜かれる。かといって、足は動かない。歩くしかなかった。
タイ人のなかにも、歩きはじめる人がかなりいて、最後尾はマラソンではなく、ウォーキングになっていく。それでも、スタッフはちゃんと対応してくれるのだ。
歩くことを嫌うタイ人である。ウォーキングを止める人も出てくる気がした。ちょっと期待もしていた。道にはタクシーも走っている。
しかし目からウロコだった。「マイワイ(もうだめ)」などといいながら、彼らは頑張るのである。街ではあれだけだらけて暮らしているタイ人が歯を食いしばって歩くのだ。
タイ人感を変えなければいけないのかもしれなかった。
彼らと一緒にゴールラインを渡った。1時間37分。人にいえるような記録ではない。
スタッフが駆け寄ってきて、完走記念のメダルを渡してくれた。
ちょっとうれしかった。
Posted by 下川裕治 at
13:53
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