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ナムジャイブログ

2014年03月03日

ラオス人は変わらない?

【通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
 裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。タイのスリンからカンボジアに入国し、ベトナムへ。ハノイからディエンビエンフー。そこからラオスに向かうことにした。
     ※       ※
 まるで雲のなかに突入するような気分だった。バスは早朝に出発した。ディエンビエンフーの盆地をしばらく走り、しだいに山道に分け入っていく。盆地に雨を降らしている雲が山肌を流れていく。
 対向車はほとんどない。曲がりくねった道を登り切り、少し下ったところにベトナムのイミグレーションがあった。
 ベトナムとラオスの国境で、いつも思うことがある。山の頂付近にベトナムのイミグレーションがあり、そこから下ったところにラオスのイミグレーション。この国境も同じだった。道は二車線だが、ベトナム側のプロジェクトで、みごとに舗装されている。この山岳路が完成し、国境が開いた気がする。そこには両国の経済力の差が横たわっている。
 昼前にラオスのムアンクワに着いてしまった。ラオスの陸路旅はきついという経験がある。悪路に疲れ果てた記憶が尾てい骨に残っている。しかしいったん道が整備されると、意外なほど早く目的地に着いてしまう。ラオスの旅も変わってきた。
 しかしラオス人は変わっていなかった。ムアンクワの町には数軒のゲストハウスがあった。一軒の入り口で声をかけた。返事がなかった。少し待てば、宿の主人が戻るような気がして、かまちに座って待つことにした。
 5分ほど時間がたっただろうか。
 奥のドアが開いた。ひとりのおばさんが顔を見せた。
「いたんじゃないか……」
 圧倒的な間の長さ。そして商売っけのないそぶり。肩の力が一気に抜けていく。やはりラオスだった。
 夕方、水を買いに雑貨屋に寄った。夕食どきだった。店の主人や売り子が車座になって食事を続けている。ペットボトルを手に、レジの前に立ったが、なかなか気づいてくれない。しかたなく、こちらから声をかけるしかなかった。
「あの……水を買いたいんですけど」
 やっと売り子のひとりと目が合った。
「君たち、店員でしょ?」
 という言葉を、ゆっくり腰をあげる姿を目にしながら呑み込んだ。
 ベトナムの人々は勘定高い。ペットボトルの水やお茶を並べた露店の脇で、おばちゃんがビーチチェアに体を横たえて昼寝をしている。露店の前に立った。すると、客の気配がわかるのか、さっと身を起こし、
「そのお茶、おいしいよ。1万ドンね」
 という声がかかる。
 そんな世界のなかを旅してきた身には、ラオス人は天使のように映る。
 ラオスの旅がはじまった。(以下次号)

(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
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「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。

  

Posted by 下川裕治 at 12:19Comments(0)