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ナムジャイブログ

2014年04月07日

音のない世界遺産のありがたさ

【通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
 裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。カンボジア、ベトナムを北上。ディエンビエンフーからラオスのムアンクアに入った。そこから川を下り、ノーンキャウを経てルアンパバーンへ。
     ※       ※
 ルアンパバーンは何回も訪ねていた。しかしそのほとんどが、ビエンチャンやタイからというルートだった。今回は北からオウ川に沿っておりてきた。オウ川がメコンに交わるあたりに、ルアンパバーンがある。
 街の印象が違った。
 オアシスだった。
 オウ川に沿った町にも電気は届いていた。食堂もあった。しかしそれは最低限のインフラや設備だった。ノーンキャウでは食事ができる店は1軒しかなかった。
 しかしルアンパバーンは違う。店が連なっていた。欧米人の観光客が、普通の姿で歩いている。ヤッケと頑丈な靴を履いたバックパッカーは、むしろ少数派だった。
 街なかでノーンキャウで話をしたイギリス人カップルと会った。彼らも軽装に着替えていた。ルアンパバーンはそういう役割を担ってもいた。バックパッカーはこの街でビールを飲み、しばしの休憩というわけだ。
 街には彼ら用の安い食堂までできていた。1万キップ、130円ほどのひと皿ビッフェ屋台だった。並んだ料理をひと皿分とって1万キップというスタイル。若いバックパッカーたちは、こぼれ落ちるほどに積みあげている。
 メコン川で獲れた魚を焼いて2万キップといった店もある。味は2万キップだったが、こういう一画は、なんだか元気になる。
 しかしルアンパバーンは、そのポリシーを捨ててはいなかった。メイン通りは夜になるとマーケットになるのだが、そこから音はなにも聞こえてこなかった。音楽や拡声器がこのマーケットにはなかった。売り子たちは呼び込みしない。囁くような声がかすかに聞こえてくるだけなのだ。
 ポスト・カオサン。いや、ポスト・パッポン……。ルアンパバーンのナイトマーケットを歩くたびにそう思う。売り子が声を嗄らすマーケットはタイに任せ、ルアンパバーンは静けさを守る。そんなポリシーが、同じように騒がしくなってしまう世界の観光地のなかでは秀逸だった。
 ルアンパバーンでは静けさを楽しみ、暗い空の星を眺める。そういう観光地をつくろうとしている姿勢が読みとれるのだ。
 僕は今年で60歳になる。こういう、中年というか、老人旅行者には、ルアンパバーンはありがたい存在だった。
 旧市街には中国も入り込んではいない。街を歩いていても、中国語が聞こえてこなかった。そういう色分けに首を傾ける人もいるのかもしれないが、長い旅の途中で立ち寄った僕は、音のない世界がうれしかった。
 泊まったのは1泊20ドルのゲストハウスだった。この宿の周囲も、夜になるとしんと静まりかえる。すぐ近くを、メコン川が流れているのだが、その気配は風で感じるしかなかった。
 よく眠ることができそうだった。
 明日からバスに乗り、ラオス西部に分け入っていく。(以下次号)

(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。

  

Posted by 下川裕治 at 12:00Comments(0)

2014年04月02日

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