2016年08月31日
【イベント告知】新刊「週末ちょっとディープな台湾旅」発売記念
下川裕治の新刊「週末ちょっとディープな台湾旅」発売を記念して、スライド&トークショーを開催いたします。
詳細は以下です。
今回は、東京での下川裕治スライド&トークショーのお知らせです。
新刊『週末ちょっとディープな台湾旅』(朝日文庫)の発売を記念して、旅行作家の下川裕治さんをお招きして、ふらっと行く週末台湾旅のさらなるディープな楽しみ方についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。大人気『週末シリーズ』 の前作『週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分』では、物価の高いシンガポールの格安滞在術を探し、マレーシアの世界遺産の街でニョニャ料理を味わい、マレー人の小宇宙に浸るなど、週末のシンガポール&マレーシア旅行の楽しみ方を紹介していた下川さん。『週末シリーズ』の新しいバージョンとなる本作では、台湾の味「滷味(ルーウェイ)」の世界に分け入り、台南で日本の名残に触れ、少数民族に助けられて温泉へ行くなど、台北だけでは知りえないディープな台湾の楽しみ方を紹介しています。台湾の知られざる過去に触れながら、現代を通して見えてくる台湾のさらなる魅力を取材した下川さん独自の台湾の情報が聞けるはずです。下川ファンの方はもちろん、台湾が大好きな方や台湾のさらにディープなスポットに興味のある方はぜひご参加ください!
※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。
-------------------------------
●下川裕治(しもかわゆうじ)
1954年長野県松本市生まれ。旅行作家。『12万円で世界を歩く』でデビュー。以後、主にアジア、沖縄をフィールドにバックパッカースタイルでの旅を書き続けている。著書に、 『鈍行列車のアジア旅』『「生き場」を探す日本人』『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』『週末アジアでちょっと幸せ』『「行きづらい日本人」を捨てる』 等。
◆下川裕治さんブログ
「たそがれ色のオデッセイ」
http://odyssey.namjai.cc/
-------------------------------
【開催日時】
・9月29日(木)
19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】
1,000円
※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】
旅の本屋のまど店内
【申込み方法】
お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、お申し込みください。
TEL&FAX:03-5310-2627
e-mail :info@nomad-books.co.jp
(お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627
(定休日:水曜日)
東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
http://www.nomad-books.co.jp
主催:旅の本屋のまど
協力:朝日新聞出版
詳細は以下です。
今回は、東京での下川裕治スライド&トークショーのお知らせです。
新刊『週末ちょっとディープな台湾旅』(朝日文庫)の発売を記念して、旅行作家の下川裕治さんをお招きして、ふらっと行く週末台湾旅のさらなるディープな楽しみ方についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。大人気『週末シリーズ』 の前作『週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分』では、物価の高いシンガポールの格安滞在術を探し、マレーシアの世界遺産の街でニョニャ料理を味わい、マレー人の小宇宙に浸るなど、週末のシンガポール&マレーシア旅行の楽しみ方を紹介していた下川さん。『週末シリーズ』の新しいバージョンとなる本作では、台湾の味「滷味(ルーウェイ)」の世界に分け入り、台南で日本の名残に触れ、少数民族に助けられて温泉へ行くなど、台北だけでは知りえないディープな台湾の楽しみ方を紹介しています。台湾の知られざる過去に触れながら、現代を通して見えてくる台湾のさらなる魅力を取材した下川さん独自の台湾の情報が聞けるはずです。下川ファンの方はもちろん、台湾が大好きな方や台湾のさらにディープなスポットに興味のある方はぜひご参加ください!
※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。
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●下川裕治(しもかわゆうじ)
1954年長野県松本市生まれ。旅行作家。『12万円で世界を歩く』でデビュー。以後、主にアジア、沖縄をフィールドにバックパッカースタイルでの旅を書き続けている。著書に、 『鈍行列車のアジア旅』『「生き場」を探す日本人』『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』『週末アジアでちょっと幸せ』『「行きづらい日本人」を捨てる』 等。
◆下川裕治さんブログ
「たそがれ色のオデッセイ」
http://odyssey.namjai.cc/
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【開催日時】
・9月29日(木)
19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】
1,000円
※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】
旅の本屋のまど店内
【申込み方法】
お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、お申し込みください。
TEL&FAX:03-5310-2627
e-mail :info@nomad-books.co.jp
(お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627
(定休日:水曜日)
東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
http://www.nomad-books.co.jp
主催:旅の本屋のまど
協力:朝日新聞出版
Posted by 下川裕治 at
21:51
│Comments(0)
2016年08月29日
途上国は努力しても先進国にはなれない
日本人7人を含む20人が殺害されたダッカテロ。事件以来、知り合いのバングラデシュ人たちが、さまざまな情報を伝えてくれる。8月27日にはナラヨンゴンジュで、タミーム・チョードリが警察によって殺害されたこともすぐに知らせてくれた。
タミーム・チョードリ。彼は今回のテロを計画した中心人物だった。
チョードリはカナダで育った。バングラデシュに入り、若者を洗脳し、テロ実行犯に指示を与えていた。ISに近いといわれる彼の洗脳はこんな論理だったという。
<途上国はいくら努力しても先進国にはなれない。常に豊かさは先進国に集まっていってしまう。それぐらいなら、民主主義とは無縁の自分たちの国をつくろう。そのひとつがイスラム国だ>
バングラデシュのエリートの中には、この発想に反応してしまう人がいるという。
この話をしてくれたのは、日本の大学院に留学しているバングラデシュ人だった。彼は流暢な日本語でこういった。
「僕も少しだけわかる気がする」
話を聞いた店のテレビはオリンピック一色だった。その日は、レスリングで金メダルを獲得した日だった。
「日本のテレビは毎日、オリンピックばかりでしょ。そしてメダルの獲得数を国別に映し出す。その国を見ると、G7とかG8の国がほとんど。オリンピックって、先進国のイベントだって思うんです。バングラデシュは7人の選手が参加したけど、たぶんメダルはゼロ。ずっと参加しているけど、メダルは一つもとっていません。日本語がわかるようになって、日本の選手がすごい訓練と努力を重ねていることがわかってきました。資金力があって、それであれだけ努力する。バングラデシュの選手はきっと、永遠にメダルはとれないだろうなって、日本に留学して思いました。その気持ちに似ているかもしれません。チョードリの洗脳に反応してしまう若者は」
途上国から先進国に留学した青年は、メダルに沸き立つ日本や日本人を、そんな視線で見ていた。
タリバンからアルカイダへと、過激なイスラム思想は広まっていった。しかしそこにあるのは、キリスト教国家への攻撃という図式だった。しかしISはなにか本質的に違う気がする。
ヨーロッパの学者が、ISはニヒリスティックだと評していた。彼らがもつ虚無性ゆえに、残忍な行為に走ることができるのだと。そうだとしたらそこに流れるものは、途上国は永遠に先進国になれないという絶望のような気がするのだ。
ダッカテロは厳しい問題を突きつけている気がする。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の完乗紀行。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
タミーム・チョードリ。彼は今回のテロを計画した中心人物だった。
チョードリはカナダで育った。バングラデシュに入り、若者を洗脳し、テロ実行犯に指示を与えていた。ISに近いといわれる彼の洗脳はこんな論理だったという。
<途上国はいくら努力しても先進国にはなれない。常に豊かさは先進国に集まっていってしまう。それぐらいなら、民主主義とは無縁の自分たちの国をつくろう。そのひとつがイスラム国だ>
バングラデシュのエリートの中には、この発想に反応してしまう人がいるという。
この話をしてくれたのは、日本の大学院に留学しているバングラデシュ人だった。彼は流暢な日本語でこういった。
「僕も少しだけわかる気がする」
話を聞いた店のテレビはオリンピック一色だった。その日は、レスリングで金メダルを獲得した日だった。
「日本のテレビは毎日、オリンピックばかりでしょ。そしてメダルの獲得数を国別に映し出す。その国を見ると、G7とかG8の国がほとんど。オリンピックって、先進国のイベントだって思うんです。バングラデシュは7人の選手が参加したけど、たぶんメダルはゼロ。ずっと参加しているけど、メダルは一つもとっていません。日本語がわかるようになって、日本の選手がすごい訓練と努力を重ねていることがわかってきました。資金力があって、それであれだけ努力する。バングラデシュの選手はきっと、永遠にメダルはとれないだろうなって、日本に留学して思いました。その気持ちに似ているかもしれません。チョードリの洗脳に反応してしまう若者は」
途上国から先進国に留学した青年は、メダルに沸き立つ日本や日本人を、そんな視線で見ていた。
タリバンからアルカイダへと、過激なイスラム思想は広まっていった。しかしそこにあるのは、キリスト教国家への攻撃という図式だった。しかしISはなにか本質的に違う気がする。
ヨーロッパの学者が、ISはニヒリスティックだと評していた。彼らがもつ虚無性ゆえに、残忍な行為に走ることができるのだと。そうだとしたらそこに流れるものは、途上国は永遠に先進国になれないという絶望のような気がするのだ。
ダッカテロは厳しい問題を突きつけている気がする。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の完乗紀行。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
Posted by 下川裕治 at
16:16
│Comments(3)
2016年08月22日
笑いをとる力量と勇気
渥美清の没後20年。テレビでも、『男はつらいよ』を目にする機会が多い。先日、国際線の飛行機のなかでもでも観てしまった。
観てしまった……というのは、理由がある。おそらく僕は、『男はつらいよ』をすべて観ていて、あえて観なくてもいいとは思うのだが、やはり観てしまうのだ。
高校を卒業した僕は、京都で1年間、予備校に通った。京都という街に憧れはあったのだが、1年暮らしてみると、この街が抱える古さが陰湿なものに映り、結局は東京の大学に進んでしまった。
京都で浪人時代をすごしていたとき、『男はつらよ』のファンクラブに入った。僕にとっては最初で最後のファンクラブだった。入会金もわずかだったが、とりたてメリットもないファンクラブだった記憶がある。送られてきた会員証が、ちょっと嬉しかったが。
当時からこの映画が好きだった。そしていまでも観てしまうのは、やはり予定調和の妙のように思う。
たとえば、柴又のだんご屋「くるまや」に寅さんが現れるシーンがある。この店ははじめ「とらや」だったのだが、途中から「くるまや」になった。
映画のなかでは、必ず、寅さんの登場を予感させる伏線がある。おじちゃん、おばちゃん、さくららが、寅さんの話題に触れる。観客に、次のシーンで寅さんが登場することを予感させるのだ。そして、寅さんが姿を現して、どっと笑いをとるわけだ。
何回となく映画を観たファンになると、どういう形で寅さんが登場するかも覚えてしまっている。こうなると、おじちゃんやさくらが、寅さんの話題を口にした時点でもう笑いはじめてしまう。究極の予定調和といってもいい。
いつもプロの技だと思う。シリーズ作品を手にした監督の特権といってもいい。
予定調和とマンネリの境界は難しい。ある人は、「また同じじゃないか」と苦言を口にするというのに、ある人は同じだから笑ってしまうのだ。このあたりの妙……。それがうまさだろうか。
物書きだから、そのあたりが気になる。ときに、予定調和を仕かけてみるときがある。別の本で同じようなシーンを書いていた。それとその同じシーンを描く。その本を読んでくれた人ならきっと頷いてくれるはず……と。
ところがあるとき、「同じ話を書いているじゃないですか」とひとりの読者からいわれたことがあった。こうなると、マンネリ化の領域に入っていってしまう。
やはり筆力がないのだろうか。
いまでも、『男はつらいよ』を観て、僕は笑う。そしていまも、予定調和をみごとに笑いに代える監督や役者の力量と勇気に言葉を失っている。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の完乗紀行。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
観てしまった……というのは、理由がある。おそらく僕は、『男はつらいよ』をすべて観ていて、あえて観なくてもいいとは思うのだが、やはり観てしまうのだ。
高校を卒業した僕は、京都で1年間、予備校に通った。京都という街に憧れはあったのだが、1年暮らしてみると、この街が抱える古さが陰湿なものに映り、結局は東京の大学に進んでしまった。
京都で浪人時代をすごしていたとき、『男はつらよ』のファンクラブに入った。僕にとっては最初で最後のファンクラブだった。入会金もわずかだったが、とりたてメリットもないファンクラブだった記憶がある。送られてきた会員証が、ちょっと嬉しかったが。
当時からこの映画が好きだった。そしていまでも観てしまうのは、やはり予定調和の妙のように思う。
たとえば、柴又のだんご屋「くるまや」に寅さんが現れるシーンがある。この店ははじめ「とらや」だったのだが、途中から「くるまや」になった。
映画のなかでは、必ず、寅さんの登場を予感させる伏線がある。おじちゃん、おばちゃん、さくららが、寅さんの話題に触れる。観客に、次のシーンで寅さんが登場することを予感させるのだ。そして、寅さんが姿を現して、どっと笑いをとるわけだ。
何回となく映画を観たファンになると、どういう形で寅さんが登場するかも覚えてしまっている。こうなると、おじちゃんやさくらが、寅さんの話題を口にした時点でもう笑いはじめてしまう。究極の予定調和といってもいい。
いつもプロの技だと思う。シリーズ作品を手にした監督の特権といってもいい。
予定調和とマンネリの境界は難しい。ある人は、「また同じじゃないか」と苦言を口にするというのに、ある人は同じだから笑ってしまうのだ。このあたりの妙……。それがうまさだろうか。
物書きだから、そのあたりが気になる。ときに、予定調和を仕かけてみるときがある。別の本で同じようなシーンを書いていた。それとその同じシーンを描く。その本を読んでくれた人ならきっと頷いてくれるはず……と。
ところがあるとき、「同じ話を書いているじゃないですか」とひとりの読者からいわれたことがあった。こうなると、マンネリ化の領域に入っていってしまう。
やはり筆力がないのだろうか。
いまでも、『男はつらいよ』を観て、僕は笑う。そしていまも、予定調和をみごとに笑いに代える監督や役者の力量と勇気に言葉を失っている。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の完乗紀行。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
Posted by 下川裕治 at
11:57
│Comments(2)
2016年08月16日
【新刊プレゼント】週末ちょっとディープな台湾旅
下川裕治の新刊発売に伴う、プレゼントのお知らせです。今回は、台湾が舞台です。
下川裕治 (著)、阿部稔哉 (写真)
週末ちょっとディープな台湾旅 (朝日文庫)
◎ 本書の内容
台湾のにおいの正体を探り、台南で日本の名残に触れ、少数民族に助けられて温泉へ──。これが、僕の台湾歩き。きっと台湾がいとおしくなる。
新刊本『週末ちょっとディープな台湾旅』を、
抽選で"3名さま"にプレゼントします!
応募の条件は以下です。
応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2016年9月30日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
お問合せフォーム
http://www.namjai.cc/inquiry.php
今すぐほしい!という方は、下記アマゾンから購入可能です。
アマゾン:
週末ちょっとディープな台湾旅 (朝日文庫)
【新刊】
下川裕治 (著)、阿部稔哉 (写真)
週末ちょっとディープな台湾旅 (朝日文庫)
◎ 本書の内容
台湾のにおいの正体を探り、台南で日本の名残に触れ、少数民族に助けられて温泉へ──。これが、僕の台湾歩き。きっと台湾がいとおしくなる。
【プレゼント】
新刊本『週末ちょっとディープな台湾旅』を、
抽選で"3名さま"にプレゼントします!
応募の条件は以下です。
1.本を読んだ後に、レビューを書いてブログに載せてくれること。
(タイ在住+日本在住の方も対象です。)
(タイ在住+日本在住の方も対象です。)
応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2016年9月30日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
お問合せフォーム
http://www.namjai.cc/inquiry.php
1.お問合せ用件「その他」を選んでください。
2.「お問い合わせ内容」の部分に以下をご記載ください。
・お名前
・Eメールアドレス
・ブログURL(記事を掲載するブログ)
・郵送先住所
・お電話番号
・ご希望の書名(念のため記載ください)
2.「お問い合わせ内容」の部分に以下をご記載ください。
・お名前
・Eメールアドレス
・ブログURL(記事を掲載するブログ)
・郵送先住所
・お電話番号
・ご希望の書名(念のため記載ください)
今すぐほしい!という方は、下記アマゾンから購入可能です。
アマゾン:
週末ちょっとディープな台湾旅 (朝日文庫)
Posted by 下川裕治 at
16:00
│Comments(0)
2016年08月15日
オリンピックは疲れる
疲れてきてしまった。リオデジャネイロのオリンピック中継である。とりわけ熱心に観ているわけではないが、テレビをつけると、メダルをとった日本人の映像が、次々に映しだされる。いささか食傷気味である。
北京とロンドンのオリンピックの記憶はほとんどない。おそらく日本にいなかった気がする。日本にいると、連日、加熱するオリンピック報道なのだ。
疲れる理由もわかっている。メダルを目指した日本人の努力は並大抵ではない。ひとりで番組がいくつもできそうな密度がある。それが機関銃のように毎日、繰り返される。そのエネルギー総量が多すぎる。いつもはだらだらとテレビを観ている。その映像が、突然、弾けんばかりのパワーで迫ってくる。僕が受け入れられるエネルギーの臨界点を越えてしまっている。いや、僕が年をとったということなのか……。
「元気をもらいました」。これが街角で答える日本人の常套句である。メダルをとった日本人選手への賛美でもある。実際は、ぐちゅぐちゅとわけのわからない感想を口にする人もいるのだが、テレビ局は、限られた時間のなかでの放映だから、どうしても、「元気をもらいました」を採用してしまう。昔、新聞記者をしていたから、その感覚はよくわかる。答える日本人も、「元気をもらう」と口にすると、テレビに映りやすいことを知っている。
東北の震災以降の傾向のように思う。津波や原発被害に遭った人々を励ますイベントが行われ、それに参加した被災者の人たちが、感謝の意味を込めて、よく、「元気をもらいました」と口にした。
震災から1年ほどが経った頃だろうか。ある心理学者が口にした言葉が記憶に残っている。
「そんなにたくさん元気をもらったら、人は皆、鬱になっちゃいますよ」
その感覚がわかる気がした。
僕の周りには鬱に悩んでいる人が多い。鬱の定義は難しいが、生きるエネルギー総量が減ってきてしまった人たちだ。頑張ることができないから、「頑張れ」は禁句だといわれてもいる。
医師に鬱と診断され、投薬を受けている知人が10人以上はいる。つきあいは続いているが、その会話はどうしてもひっそりとしてしまう。
昨日も、抗鬱剤を飲んでいる知人と昼食をとった。一軒のそば屋だった。隅にあるテレビでは、金メダルをとった日本人が繰り返し登場する。
目の前の知人は、抗鬱剤を変えようか、医師を代えようかと悩んでいる。この話は1年ほど前から続いている。
興奮したレポーターの声が、僕らのテーブルにも流れてくる。
ふたつの世界の格差が埋まらない。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の旅がスタート。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
北京とロンドンのオリンピックの記憶はほとんどない。おそらく日本にいなかった気がする。日本にいると、連日、加熱するオリンピック報道なのだ。
疲れる理由もわかっている。メダルを目指した日本人の努力は並大抵ではない。ひとりで番組がいくつもできそうな密度がある。それが機関銃のように毎日、繰り返される。そのエネルギー総量が多すぎる。いつもはだらだらとテレビを観ている。その映像が、突然、弾けんばかりのパワーで迫ってくる。僕が受け入れられるエネルギーの臨界点を越えてしまっている。いや、僕が年をとったということなのか……。
「元気をもらいました」。これが街角で答える日本人の常套句である。メダルをとった日本人選手への賛美でもある。実際は、ぐちゅぐちゅとわけのわからない感想を口にする人もいるのだが、テレビ局は、限られた時間のなかでの放映だから、どうしても、「元気をもらいました」を採用してしまう。昔、新聞記者をしていたから、その感覚はよくわかる。答える日本人も、「元気をもらう」と口にすると、テレビに映りやすいことを知っている。
東北の震災以降の傾向のように思う。津波や原発被害に遭った人々を励ますイベントが行われ、それに参加した被災者の人たちが、感謝の意味を込めて、よく、「元気をもらいました」と口にした。
震災から1年ほどが経った頃だろうか。ある心理学者が口にした言葉が記憶に残っている。
「そんなにたくさん元気をもらったら、人は皆、鬱になっちゃいますよ」
その感覚がわかる気がした。
僕の周りには鬱に悩んでいる人が多い。鬱の定義は難しいが、生きるエネルギー総量が減ってきてしまった人たちだ。頑張ることができないから、「頑張れ」は禁句だといわれてもいる。
医師に鬱と診断され、投薬を受けている知人が10人以上はいる。つきあいは続いているが、その会話はどうしてもひっそりとしてしまう。
昨日も、抗鬱剤を飲んでいる知人と昼食をとった。一軒のそば屋だった。隅にあるテレビでは、金メダルをとった日本人が繰り返し登場する。
目の前の知人は、抗鬱剤を変えようか、医師を代えようかと悩んでいる。この話は1年ほど前から続いている。
興奮したレポーターの声が、僕らのテーブルにも流れてくる。
ふたつの世界の格差が埋まらない。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=シンガポールからマレーシアの旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。ようやくタイの鉄道を完乗? マレーシアの鉄道の旅がスタート。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
Posted by 下川裕治 at
11:39
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