2020年12月28日
結局は新型コロナウイルスに辿り着く
今年最後のブログになる。
昨夜、クラウドファンディングのリターンの発送作業をした。
僕らが運営にかかわるバングラデシュの小学校がコロナ禍で休校になってしまった。先生たちの給料もストップ。先生たちの生活を支援するクラウドファンディングに100万円の寄付をいただいた。
小学校は、バングラデシュ南部にある。そこに暮らす少数民族であるラカイン人の子供たちに教育の機会をという発想でスタートした。日本に暮らすラカイン人も何人かが集まった。クラウドファンディングのリターンのなかに、ラカイン料理教室があり、それをどう行うかという打ち合わせもあった。
場所はラカイン人が開いた「寿司令和」。
しかしその場にも、新型コロナウイルスが暗い影を落とす。その日、東京は900人を超える感染者数が発表された。1日の感染者としては最も多い。
「もう、罹っているような気がする」
ひとりがそういった。たしかにこれだけ感染者が増えると、そんな気になる。
バングラデシュはロックダウンが続いているが、あまりに長く、誰も守らなくなってきてしまったという。
昨日はクリスマスイブの様子を伝える動画がバンコクから届いた。ショッピングモール前のイルミネーションはみごとだが、集まる人が少ないという。新型コロナウイルスを長く抑え込んできたタイも、ここにきて一気に400人を超える感染者が出てしまった。
世界の多くの国が、これほど長くコロナ禍が続くとは読んでいなかった。感染を防ぐ手段も打ち出す弾がなくなり、人々も反応が鈍くなってきている。ポストコロナのイメージもつくれず、ただじっとしている人が多い。
帰りの電車のなかでスマホを見る。来年の1月末まで、外国人の日本入国を禁止にするという政府の発表が報じられていた。変異種が確認された国からの帰国は、日本人も制限されるようになるという。
「そろそろ海外に行こうか……」
そんな思いもあった。コロナ禍とはいえ、人の往来を再開しようとする動きは広がってきている。しかしその流れを変異種が止めてしまうかもしれない。
年末に向かい、暗いニュースが次々に飛び込んでくる。
今年最後のブログぐらい、明るい話題にしたかったのだが、結局は新型コロナウイルスに辿り着いてしまった。そういう年だったということか。
■YouTubeチャンネルをつくりました。「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg?view_as=public
観てみてください。面白そうだったらチャンネル登録を。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=芭蕉の「奥の細道」を辿る旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=沖縄の離島のバス旅シリーズを連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
昨夜、クラウドファンディングのリターンの発送作業をした。
僕らが運営にかかわるバングラデシュの小学校がコロナ禍で休校になってしまった。先生たちの給料もストップ。先生たちの生活を支援するクラウドファンディングに100万円の寄付をいただいた。
小学校は、バングラデシュ南部にある。そこに暮らす少数民族であるラカイン人の子供たちに教育の機会をという発想でスタートした。日本に暮らすラカイン人も何人かが集まった。クラウドファンディングのリターンのなかに、ラカイン料理教室があり、それをどう行うかという打ち合わせもあった。
場所はラカイン人が開いた「寿司令和」。
しかしその場にも、新型コロナウイルスが暗い影を落とす。その日、東京は900人を超える感染者数が発表された。1日の感染者としては最も多い。
「もう、罹っているような気がする」
ひとりがそういった。たしかにこれだけ感染者が増えると、そんな気になる。
バングラデシュはロックダウンが続いているが、あまりに長く、誰も守らなくなってきてしまったという。
昨日はクリスマスイブの様子を伝える動画がバンコクから届いた。ショッピングモール前のイルミネーションはみごとだが、集まる人が少ないという。新型コロナウイルスを長く抑え込んできたタイも、ここにきて一気に400人を超える感染者が出てしまった。
世界の多くの国が、これほど長くコロナ禍が続くとは読んでいなかった。感染を防ぐ手段も打ち出す弾がなくなり、人々も反応が鈍くなってきている。ポストコロナのイメージもつくれず、ただじっとしている人が多い。
帰りの電車のなかでスマホを見る。来年の1月末まで、外国人の日本入国を禁止にするという政府の発表が報じられていた。変異種が確認された国からの帰国は、日本人も制限されるようになるという。
「そろそろ海外に行こうか……」
そんな思いもあった。コロナ禍とはいえ、人の往来を再開しようとする動きは広がってきている。しかしその流れを変異種が止めてしまうかもしれない。
年末に向かい、暗いニュースが次々に飛び込んでくる。
今年最後のブログぐらい、明るい話題にしたかったのだが、結局は新型コロナウイルスに辿り着いてしまった。そういう年だったということか。
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○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=沖縄の離島のバス旅シリーズを連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
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Posted by 下川裕治 at
12:44
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2020年12月21日
日本海側の豪雪に安堵?
いま福井にいる。冷たい雪が降り続いている。芭蕉が歩いたルートを辿る旅を続けているのだが、今回は新潟出発。冬の日本海に沿って、出雲崎、市振、石動、倶利伽羅峠、金沢と進んできた。
冬型の気圧配置にずっぽりとはまり、どこも雪である。
同行するカメラマンと新潟で落ち合うことになっていた。しかしカメラマンが乗ったバスが、関越道の大雪で閉じ込められてしまった。カメラマンは20時間以上、水や食料のないバスのなかで耐え、なんとか脱出。予定が大幅に遅れてしまった。
どこへいっても雪である。冬の日本海岸側の天気は変わりやすい。前が見えないほどの雪が降ったかと思うと、突然、晴れ間がのぞくこともある。しかしその分、風が強まる。見続ける日本海は鈍色で、いつも高い波が立っている。
日本の新型コロナウイルスの感染者が増えている。とくに東京は1日800人台になった日もあった。そういうエリアから、日本海側にくると気を遣う。
「東京からきました」
とても大声ではいえない。
日本の感染者の多さをみると、太平洋岸が多い。首都圏、大阪、名古屋などの人口の多い大都市に次いで、広島も感染者が増えている。日本の人口はやはり太平洋側に集まっているということかもしれないが、人の移動も関係している。
倶利伽羅峠を小矢部市の職員に案内してもらった。彼は日本海側の雪の多いエリアの暮らしをこういった。
「寒くなると、日本海の人たちって、家にこもりがちになるんです。どか雪が降ると、家を出るのが大変になりますしね。なんとなく家にいる時間が長くなる気がします」
金沢で知人に会った。金沢は新潟に比べれば雪は少ないが、やはり家にこもりがちになるという。
「道には融雪パイプが埋められていて、そこから水がでる。その上から雪が降るから、道はべちゃべちゃ。なんとなく、外に出たくなくなるんです」
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、行政は、「不要不急の外出を控えるように」と口が酸っぱくなるほど繰り返している。しかしそれでも感染はなかなか沈静化しない。ところが日本海側は雪に覆われ、自然と外出が抑えられてしまう。日本海側の感染者は少なくなっていく。
新型コロナウイルスは、そんな暮らしを如実に反映してしまう。活発なところほど深刻な状態に陥る。
福井はいま、しんと静まり返っている。雪には吸音効果があるからだ。新型コロナウイルスも雪国の暮らしに吸い込まれ、活動を終えていく。
降りしきる雪は、コロナ禍のなかでは安堵につながる。
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冬型の気圧配置にずっぽりとはまり、どこも雪である。
同行するカメラマンと新潟で落ち合うことになっていた。しかしカメラマンが乗ったバスが、関越道の大雪で閉じ込められてしまった。カメラマンは20時間以上、水や食料のないバスのなかで耐え、なんとか脱出。予定が大幅に遅れてしまった。
どこへいっても雪である。冬の日本海岸側の天気は変わりやすい。前が見えないほどの雪が降ったかと思うと、突然、晴れ間がのぞくこともある。しかしその分、風が強まる。見続ける日本海は鈍色で、いつも高い波が立っている。
日本の新型コロナウイルスの感染者が増えている。とくに東京は1日800人台になった日もあった。そういうエリアから、日本海側にくると気を遣う。
「東京からきました」
とても大声ではいえない。
日本の感染者の多さをみると、太平洋岸が多い。首都圏、大阪、名古屋などの人口の多い大都市に次いで、広島も感染者が増えている。日本の人口はやはり太平洋側に集まっているということかもしれないが、人の移動も関係している。
倶利伽羅峠を小矢部市の職員に案内してもらった。彼は日本海側の雪の多いエリアの暮らしをこういった。
「寒くなると、日本海の人たちって、家にこもりがちになるんです。どか雪が降ると、家を出るのが大変になりますしね。なんとなく家にいる時間が長くなる気がします」
金沢で知人に会った。金沢は新潟に比べれば雪は少ないが、やはり家にこもりがちになるという。
「道には融雪パイプが埋められていて、そこから水がでる。その上から雪が降るから、道はべちゃべちゃ。なんとなく、外に出たくなくなるんです」
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、行政は、「不要不急の外出を控えるように」と口が酸っぱくなるほど繰り返している。しかしそれでも感染はなかなか沈静化しない。ところが日本海側は雪に覆われ、自然と外出が抑えられてしまう。日本海側の感染者は少なくなっていく。
新型コロナウイルスは、そんな暮らしを如実に反映してしまう。活発なところほど深刻な状態に陥る。
福井はいま、しんと静まり返っている。雪には吸音効果があるからだ。新型コロナウイルスも雪国の暮らしに吸い込まれ、活動を終えていく。
降りしきる雪は、コロナ禍のなかでは安堵につながる。
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2020年12月14日
日本の外からコロナを語る
『日本の外からコロナを語る』(メディアパル)が発売になった。久しぶりに編集者として本づくりにかかわった。この企画がもちあがったとき、海外に住む知人たちに声をかけた。「いいたいことが山ほどある」という人たちに原稿を書いてもらった。
本書の「はじめに」で、その経緯を僕がまとめている。
https://note.com/mediapal/n/n786d7b81442f
新型コロナウイルスは、冷酷なほど平等に人間に悪さをする。肌の色や性別、そして暮らす環境はほぼ関係ない。海外に暮らす日本人も、日本にいる日本人も、同様にウイルスの攻撃を受けてしまう。
しかしそれぞれの国の対応が違っている。罰金も課す厳しいロックダウンを敷いた国もあるかと思えば、日本のように自粛を貫く国もある。日々の生活は、その国の対策に左右されてしまう。そのあたりを浮き彫りにしたかった。
フィリピンは世界でも最も厳しい規制が行われたといわれる。いまだ継続している規制もある。すでに解除はされたが、老人と子供は家から外に出ることができなかった。一歩も出歩けないのだ。原稿を書いてくれた知人の子供は約半年、ずっとマンションのなかで暮らした。よく耐えたと思う。
アジアで多いのはネットで流れる感染者情報だ。名前こそ伏せられているものの、行動履歴が克明に晒されてしまう。たしかにこれを見れば、自分が感染者と接触したかどうかがわかるのだが、感染者はほぼ特定される。日本人の感覚からすれば、これはたまらないと思う。人間というものは、人にいえない行動というものがあるものだ。ウイルスの感染を防ぐことは必要だが、どこまで情報を明かすか……という点で、その国の肌感覚が伝わってくる。
アジアに暮らす日本人の多くは、コロナ禍の給付金を受けとれなかった。住む国は外国人を除外する国も多く、日本は海外に住む日本人への給付をとりやめた。暮らす国や日本からもとり残されたような疎外感も味わっている。
それでも皆の筆致に暗さがないことは救いだった。「自分たちはなんとかやっているから、日本も頑張れ」というエールを送ってくれている。なかなか頼もしい。
本というものは、発売の1週間前ぐらいには見本誌ができあがる。著者にはその場で郵送される。
「通常は1週間以内ですが、こんな状態なので」
と郵便局の窓口で伝えられた。
世界の郵送事情もコロナ禍である。著者の多くが、まだ本を受けとっていない。
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本書の「はじめに」で、その経緯を僕がまとめている。
https://note.com/mediapal/n/n786d7b81442f
新型コロナウイルスは、冷酷なほど平等に人間に悪さをする。肌の色や性別、そして暮らす環境はほぼ関係ない。海外に暮らす日本人も、日本にいる日本人も、同様にウイルスの攻撃を受けてしまう。
しかしそれぞれの国の対応が違っている。罰金も課す厳しいロックダウンを敷いた国もあるかと思えば、日本のように自粛を貫く国もある。日々の生活は、その国の対策に左右されてしまう。そのあたりを浮き彫りにしたかった。
フィリピンは世界でも最も厳しい規制が行われたといわれる。いまだ継続している規制もある。すでに解除はされたが、老人と子供は家から外に出ることができなかった。一歩も出歩けないのだ。原稿を書いてくれた知人の子供は約半年、ずっとマンションのなかで暮らした。よく耐えたと思う。
アジアで多いのはネットで流れる感染者情報だ。名前こそ伏せられているものの、行動履歴が克明に晒されてしまう。たしかにこれを見れば、自分が感染者と接触したかどうかがわかるのだが、感染者はほぼ特定される。日本人の感覚からすれば、これはたまらないと思う。人間というものは、人にいえない行動というものがあるものだ。ウイルスの感染を防ぐことは必要だが、どこまで情報を明かすか……という点で、その国の肌感覚が伝わってくる。
アジアに暮らす日本人の多くは、コロナ禍の給付金を受けとれなかった。住む国は外国人を除外する国も多く、日本は海外に住む日本人への給付をとりやめた。暮らす国や日本からもとり残されたような疎外感も味わっている。
それでも皆の筆致に暗さがないことは救いだった。「自分たちはなんとかやっているから、日本も頑張れ」というエールを送ってくれている。なかなか頼もしい。
本というものは、発売の1週間前ぐらいには見本誌ができあがる。著者にはその場で郵送される。
「通常は1週間以内ですが、こんな状態なので」
と郵便局の窓口で伝えられた。
世界の郵送事情もコロナ禍である。著者の多くが、まだ本を受けとっていない。
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Posted by 下川裕治 at
16:22
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2020年12月07日
【新刊プレゼント】『台湾の秘湯迷走旅』
下川裕治の新刊発売に伴う、プレゼントのお知らせ記事の投稿です。
下川裕治 (著)
『台湾の秘湯迷走旅』
双葉文庫
780円(税別)
◎ 本書の内容
温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。
新刊本『台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)』 を、
抽選で"3名さま"にプレゼントします!
応募の条件は以下です。
応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2020年12月21日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
お問合せフォーム
http://www.namjai.cc/inquiry.php
今すぐほしい!という方は、下記アマゾンから購入可能です。
アマゾン:
『台湾の秘湯迷走旅』 (双葉文庫)
【新刊】
下川裕治 (著)
『台湾の秘湯迷走旅』
双葉文庫
780円(税別)
◎ 本書の内容
温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。
【プレゼント】
新刊本『台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)』 を、
抽選で"3名さま"にプレゼントします!
応募の条件は以下です。
1.本を読んだ後に、レビューを書いてブログに載せてくれること。
(タイ在住+日本在住の方も対象です。)
(タイ在住+日本在住の方も対象です。)
応募は以下の内容をご記入の上、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。応募受付期間は2020年12月21日まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
お問合せフォーム
http://www.namjai.cc/inquiry.php
1.お問合せ用件「その他」を選んでください。
2.「お問い合わせ内容」の部分に以下をご記載ください。
・お名前
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(念のため記載ください)
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『台湾の秘湯迷走旅』 (双葉文庫)
Posted by 下川裕治 at
15:56
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2020年12月07日
台湾旅を進化させる
『台湾の秘湯 迷走旅』(双葉社)が発売になる。いつもなら、素直に本の読みどころなどを紹介すればいいのだが、今回はそうもいかない。
コロナ禍である。
この本を読んで台湾に行こうと思っても、入国することができない。
この本も今年の夏にはほぼできあがっていた。出版のタイミングがみつからなかった。さすがにもう待てない……と出版に至ったのだが、情況が変わったわけではない。相変わらず新型コロナウイルスは感染を世界に広めている。
ではこの時期、台湾の秘湯旅の本をどう読むか。
そこで思い浮かぶのがウイルスの話だ。
この話はすでに紹介しているが、新型コロナウイルスは人間と相性がいい。人間の体に入り込むと、一気に親和性を発揮して増殖する。専門家にいわせると、遠い昔に人間の体のなかにあったウイルスの可能性が高いという。なにかのきっかけで体の外に出て、ほかの動物のなかで生き延び、いま再び人間に戻ってきた。
評価しない科学者もいるが、ウイルス進化論というものがある。今回、新型コロナウイルスは人に悪さを仕かけているが、ときにプラスの進化を促すこともあるという学説だ。
長い目で見れば、新型コロナウイルスも、人間の進化の過程とみることもできるというポジティブな発想も生まれる。
その論理を台湾旅にあてはめてみる。
僕は数えきれないほど台湾を訪ねている。が、秘湯旅は新鮮だった。たしかに崖底温泉への厳しい山道は初体験だったが、そこで先住民と出会うことに胸が鳴った。
これまで僕は台湾という島を面として旅していた気がする。平地の旅である。そこは福建系の漢民族の世界だった。
しかし秘湯は山のなかにある。台湾の中央山脈に分け入っていくわけだ。平地から山道を登っていくと、まず客家の集落がある。
客家は福建系漢民族と同様に大陸から台湾に渡ってきた。しかし大陸ではすでに福建系の人々と棲み分けが行われていた。戦乱を逃れ、黄河流域から福建省に辿り着いた客家の人々は、豊かな海沿いの平地に住むことができなかった。もう土地がなかったのだ。そこで山のなかに定着していく。
その構造がそっくり台湾にもちこまれた。海沿いに福建系の人々、そこから山に入ったところに客家は暮らしはじめた。
そこからさらに高度をあげていくと、先住民の世界に入る。タイヤル族、ブヌン族といった人々だ。顔立ちは漢民族のそれとはだいぶ違う。フィリピンやインドネシアの人々に近くなる。彼らが山のなかの秘湯を守っていた。
台湾の秘湯旅で、僕は台湾という島の高度軸を知らされた。
この本をそう読んでいただけたらと思う。一般的な平地の台湾旅ではなく、高度をあげていく旅。それは台湾旅を確実に進化さえてくれるはずだ。
■YouTubeチャンネルをつくりました。「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg?view_as=public
観てみてください。面白そうだったらチャンネル登録を。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=芭蕉の「奥の細道」を辿る旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=沖縄の離島のバス旅シリーズを連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
コロナ禍である。
この本を読んで台湾に行こうと思っても、入国することができない。
この本も今年の夏にはほぼできあがっていた。出版のタイミングがみつからなかった。さすがにもう待てない……と出版に至ったのだが、情況が変わったわけではない。相変わらず新型コロナウイルスは感染を世界に広めている。
ではこの時期、台湾の秘湯旅の本をどう読むか。
そこで思い浮かぶのがウイルスの話だ。
この話はすでに紹介しているが、新型コロナウイルスは人間と相性がいい。人間の体に入り込むと、一気に親和性を発揮して増殖する。専門家にいわせると、遠い昔に人間の体のなかにあったウイルスの可能性が高いという。なにかのきっかけで体の外に出て、ほかの動物のなかで生き延び、いま再び人間に戻ってきた。
評価しない科学者もいるが、ウイルス進化論というものがある。今回、新型コロナウイルスは人に悪さを仕かけているが、ときにプラスの進化を促すこともあるという学説だ。
長い目で見れば、新型コロナウイルスも、人間の進化の過程とみることもできるというポジティブな発想も生まれる。
その論理を台湾旅にあてはめてみる。
僕は数えきれないほど台湾を訪ねている。が、秘湯旅は新鮮だった。たしかに崖底温泉への厳しい山道は初体験だったが、そこで先住民と出会うことに胸が鳴った。
これまで僕は台湾という島を面として旅していた気がする。平地の旅である。そこは福建系の漢民族の世界だった。
しかし秘湯は山のなかにある。台湾の中央山脈に分け入っていくわけだ。平地から山道を登っていくと、まず客家の集落がある。
客家は福建系漢民族と同様に大陸から台湾に渡ってきた。しかし大陸ではすでに福建系の人々と棲み分けが行われていた。戦乱を逃れ、黄河流域から福建省に辿り着いた客家の人々は、豊かな海沿いの平地に住むことができなかった。もう土地がなかったのだ。そこで山のなかに定着していく。
その構造がそっくり台湾にもちこまれた。海沿いに福建系の人々、そこから山に入ったところに客家は暮らしはじめた。
そこからさらに高度をあげていくと、先住民の世界に入る。タイヤル族、ブヌン族といった人々だ。顔立ちは漢民族のそれとはだいぶ違う。フィリピンやインドネシアの人々に近くなる。彼らが山のなかの秘湯を守っていた。
台湾の秘湯旅で、僕は台湾という島の高度軸を知らされた。
この本をそう読んでいただけたらと思う。一般的な平地の台湾旅ではなく、高度をあげていく旅。それは台湾旅を確実に進化さえてくれるはずだ。
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