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ナムジャイブログ

2021年11月29日

世界一周の旅。緊張のチェックイン

 日本からバンコク、そしてアテネ、エーゲ海のパロス島に少し滞在し、いまイスタンブールにいる。この先、メキシコに向かい、日本に帰ることになる。
 これまで、空港でのチェックインはもう、数えきれないほどこなしてきた。が、おそらくそのなかで、いまがいちばん緊張するチェックインではないかと思う。
 昨日の朝、アテネ空港のチェックインカウンターにいた。スタッフの表情が硬い。
「アフリカ南部にいかなかったことをまずチェックしないと……」
 ニュースで知っていた。南アフリカなどで発見された新種のオミクロン株である。デルタ株で痛い目に遭っているだけに、各国が早々に水際対策に乗り出していた。これから向かうトルコが、南アフリカ方面滞在者の入国拒否の発表をしていたわけではなかった。しかしチェックイン時のチェック項目に加えられていた。
 スタッフは、「行っていませんよね」と念を押しながら、パスポートをめくった。
 トルコは入国規制の緩和が進んだ国だが、いくつかの書類を出さなくてはならない。
 まずいわれたのがワクチン接種証明書かPCR検査の陰性証明。僕は紙一枚の証明書を出した。区役所が発行してもらったものだ。
「デジタル化もされていないワクチン接種証明がどれほど現地で使われるだろうか」
 疑問だった。バンコクでは店に入る際、提示を指示されたことは1回もなかった。
 ところがギリシャは違った。ことごとくといってもいい。レストラン、携帯電話ショップ、雑貨屋……。さまざまなところで訊かれるのだ。その都度、ファイルから紙を出すのだが、こんなことをしていたら、1週間ぐらいでぼろぼろになってしまうのではないか、と不安になった。プラスティックかなにかで保護しなくてはいけないかもしれない。
 航空会社からは連日メールが届いていた。新型コロナウイルス対応だった。感染が広がってくると、「ワクチン接種証明書かPCR検査陰性証明」が「ワクチン接種証明書とPCR検査陰性証明」に変わる。英語でいうとorからandになると、慌てて検査に入らなくてはならない。その発表がいつなのかがわからない。
 コロナ禍の世界一周は、薄い氷を踏んでいくようなものなのだ。比較的安定している時期を選んだつもりだった。ところが、旅の途中で、オミクロン株がみつかってしまった。国や航空会社は対応に追われているのだろうが、旅行者も心が乱れる。
 その場がチェックインカウンターである。
 明日の朝、イスタンブールからメキシコシティまでの飛行機に乗る。
 チェックインカウンターでどういわれるのだろうか。
 やはり緊張する。


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Posted by 下川裕治 at 12:11Comments(2)

2021年11月22日

世界一周の旅がはじまった

 バンコクにいる。7ヵ月ぶりのタイでもある。11月からタイの入国手続きがかなり楽になった。隔離が1泊でOKになったのだ。
 タイではもう隔離と呼ばない。テスト&ゴー。つまりPCR検査を受け、その結果が出るまでの1泊という考え方だ。
 しかし入国にはタイランドパスを事前に申請し、入国の許可を得なくてはならない。ネット申請になり、添付するのはワクチン接種証明書、保険、テスト&ゴーのホテルのバウチャー、そしてパスポートである。
 いまは問い合わせ先が明記されたが、僕が申請したときはなんの記載もなかった。申請を送信すると、すぐに受け付けたという内容の返信がきた。そして1週間以内に結果を伝えると書かれていた。
 待つだけだった。
 もし却下されると、航空券やホテル代はどうなるのだろうか。しかし待つしかない。心穏やかというわけにはいかない日々をすごすことになる。
 5日目の夜、メールは届いた。許可されていた。ホッとした。
 コロナ禍のタイ入国は2回目である。1回目の入国のときは、飛行機が着いてから、空港を出るまで2時間近くかかった気がする。それに比べると手続きは簡素化されていた。
 通路に椅子が並べられ、そこで書類の事前チェック。パスポートに挟むのは、タイランドバスの出力紙、日本で受けたPCR検査の陰性証明、搭乗券だけだった。
 その先でそれらの書類をチェック。10分ほどで終わってしまった。その先はイミグレーションで入国スタンプを捺してもらえばいいだけだった。なんだか気が抜けるような手続きだった。
 テスト&ゴーのホテルまでは専用車で運ばれる。車内の緊張感も薄くなっていた。7ヵ月前は、運転手も防護服を身に着け、車内はそこかしこにビニールが貼られていた。それが消え、すっきりとした。
 車はテスト&ゴーホテルに直行すると思っていた。ところが途中、病院に入っていく。
「ここは?」
「ピヤバット病院」
 運転手はそう答えた。病院の駐車場がドライブスルー形式のPCR検査場になっていた。ここで検体を採取し、結果を翌日、ホテルに伝えるという。以前はホテルに看護師が待機し、PCR検査を行った。合理化ということだろうか。
 テスト&ゴーホテルというが、実際は隔離である。僕はいちばん安値グループのローヤルラタナコーシンホテルを選んでいた。7ヵ月前に14日間の隔離を経験したホテルである。そこに陰性という連絡が入ったのは翌日の昼だった。ここで開放された。
 バンコクは旅のスタートの街である。この先、トルコ、ギリシャ、メキシコへと旅は続く。世界一周の旅なのだ。
 入国規制の緩和は、欧米のほうが進んでいる。隔離はない。しかし健康状態の申請やワクチン接書証明など、いくつかの書類が必要である。ファイルには10枚を超える書類が入っている。
 はたしてこれで世界一周はできる?
 今日(11月22日)の飛行機で、まずトルコのイスタンブールに向かう。


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Posted by 下川裕治 at 12:20Comments(0)

2021年11月15日

【ツイキャス配信告知】下川裕治の「バンコク精霊流し(ローイクラトン)」家飲みのお供に

11月18日からバンコクに行くことになりました。7ヵ月ぶりです。今回はローイクラトンとカオサンでライブ配信することになりました。有料ですが。もうそういう時代だと周りからいわれ。なかなかタイにいけない方、カオサンのいまが気になる方。観てみてください。
それと11月20日には、タイへ行くためにいま必要なタイランドパス。そのとり方を解説します。実際に取得経験を通しての話。タイ行きを計画している方は参考になるはず。
以下は対外的な案内です。よろしくお願いします。
当日、見逃しても2週間以内なら見ることができます。

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◆下川裕治の「バンコク精霊流し(ローイクラトン)」家飲みのお供に◆

開催日:2021年11月19日(金) 20:30



日本の精霊流しに似ているタイのローイクラトン。実際は豊年祭の感覚が強い。
雨季が終わったこの時期、バナナの幹や葉でつくったクラトンを川や湖に流す。その情緒はタイらしくない?
昨年はコロナ禍で中止になってしまったローイクラトン。今年は開催されます。

ようやく簡単に行くことができるようになったタイ。
タイとは腐れ縁……という旅行作家が、バンコクのローイクラトンをライブ配信。

バンコクで何回か体験したローイクラトンの思いで、そしていまのタイ、日本をろうそくが揺れるクラトンを眺めながら語ってもらいます。
https://twitcasting.tv/c:shimokawayuji/shopcart/114949


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◆下川裕治の「バンコク・カオサンまったりライブ配信」◆

開催日:2021年11月20日(土) 20:30



一時は世界最大のバックパッカー街といわれたカオサン。
数えきれないほどのゲストハウスがひしめき、彼ら向けの多くの店が軒を連ねていた。

新型コロナウイルスの嵐が吹き荒れ、外国人バックパッカーがタイに入国することが難しくなってしまった。
しかしようやくコロナ禍も収束の兆し。すこしずつカオサンも戻りつつある? どうなんだろう。

この街とは切っても切れない関係にある旅行作家の下川裕治が、まったり散策。カオサンを語ります。
ある世代にとって、カオサンは単なるゲストハウス街ではなかった。彼らはこの街が好きだった。
なにもしなくても、誰からもなにもいわれない街。

ここに人生を見ていた若者もいた。そこから下川裕治の著作「日本を降りる若者たち」が生まれた。主人公は外こもりの若者たち。
そんな話をカオサンの路上からライブ配信します。
https://twitcasting.tv/c:shimokawayuji/shopcart/114953


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◆下川裕治の「タイランドパス、日本帰国。ここだけ情報」◆

開催日:2021年11月21日(日) 10:00



タイが東南アジアの先陣を切るように、旅行者の入国制限緩和に踏み切った。11月1日からだ。
日本人はタイランドパスで申請し、審査を受けると、ほぼ隔離なしでタイに入国することができる。
その手続き。申請するためにやらなくてはいけないこと。そしてそのコツ。

タイは緩和されたが日本は? 日本も緩和の方向にあるが、その手続きはまた違う。
旅行作家の下川裕治氏は、その手続きを経てタイに入国。現状を伝えます。

同時にバンコクの旅行会社に勤務し、タイにやってくるさまざまな日本人をフォローしている、アクロストラベル&レジャーの山内茂一さんに、さまざなま実情を伝えてもらいます。
1時間半に渡って質問に答えていく緊急ライブ。年末にタイ旅行を考えている人に向けた「ここだけ情報」をたっぷりと。
https://twitcasting.tv/c:shimokawayuji/shopcart/114955
  

Posted by 下川裕治 at 11:16Comments(0)

2021年11月15日

バンコクでライブ。19日から3日間も

 タイに行くことになった。
 そう書けるのは、12日の夜、タイに入国を許可するメールが届いたからだ。
 11月1日からタイの入国規制が大きく緩和された。それまでは10日間の隔離が必要だったが、1泊2日になった。アジアの入国規制は厳しい状態が続いている。どの国が緩和に動く? タイが先陣を切った形になった。
 タイではもう隔離といわない。Test&Go。つまりタイでPCR検査を受け、それが陰性だったらチェックアウトという意味だ。ホテルは待機場所という発想だ。
 日本入国時にもPCR検査がある。唾液の検査だが、2時間ほどで結果がでる。空港で待機する形をとっている。タイでもそれはできると思うが、客が減ったホテルの救済策にも映る。
 タイへの入国許可はタイランドパスに変わった。そこにパスポート、ワクチン接種証明書、1泊2日のホテルのバウチャー、医療保険を添付してメールで送る。
 後は待つだけなのだが、不安は募る。もし許可されなかったら……。いろいろ無駄が出てしまう。
 航空券は1年以上前、タイから東京に戻った残りを使った。
「今回は予約を入れると、もう変更はできません」
 航空会社からそういわれた。感染者が多かった時期、タイに行くことはできなかった。予約の変更の繰り返しだった。通常、航空券の有効期限は1年。それを越えているが、特例として認めてくれた。逆から考えれば、もう変更を繰り返す時期は終わったといっていることになる。海外への旅は解禁……に舵が切られた感がある。
 許可されないとホテル代も無駄になる。僕の場合、バンコクでのライブ配信も予定されていた。それらがすべて流れてしまう。申請から5日目の夜、タイから許可するメールが来たときはホッとした。いまは新設されたようだが、僕が申請した時期は問い合わせ先もなかったのだ。
 ライブ配信は初体験である。それも今回は800円と1000円という有料ライブだ。
「下川さんのイベントはちゃんと有料にすべきですよ。新刊が出たときのトークイベントは有料になっているじゃないですか」
 本を書いてきて生きてきたという自負がある。講演やトークイベントは、あくまでも本の販売のためと思ってきた。
「しかしそんな時代じゃないんですよ。ネットは下川さんのもっといろんな部分を読者に伝えることができる」
 頭ではわかっていても、感覚がついていかない。しかしタイに隔離1日で行くことができるようになった高揚感のなかで話が進んでいく。3回も生のライブ配信をすることになってしまった。
 19日の夜の8時半(タイの6時半)からローイクラトンを眺めながら、タイ社会の優しさの話を。
https://twitcasting.tv/c:shimokawayuji/shopcart/114949
 20日の夜はカオサンから発信。時間は8時半(タイの6時半)から。僕らの世代にとってカオサンはなんだったのか……。
https://twitcasting.tv/c:shimokawayuji/shopcart/114953
 21日は朝の10時(タイの8時)から、タイ入国の手続きの実情を体験談を交えて伝えます。
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Posted by 下川裕治 at 09:19Comments(0)

2021年11月08日

足がすくんでしまう

 東京の飲食店にアルコール類や時間の制限がなくなってから2週間ほどがすぎた。飲食店の経営者たちは、どんな思いで制限解除を受けとったのだろうか。しかしその後、僕の耳には悲鳴ばかりが届く。
「解除されても、すぐにはお客さんは戻ってこないでしょう」
 とテレビのインタビューに答えている経営者は多かったが、内心、息つく暇もないほど席が埋まるシーンを思い描いていたのに違いなかった。しかし本当に客が少ないようなのだ。こんな声を聞いた。
「週末はなんとか増えるんですが、平日は閑古鳥。もう東京都からの協力金もない。コロナ禍以上に不安ですよ」
「これから倒産する店が増える気がします。これまでは給付金や協力金があった。しかしもうなにもない。客がこなかったら、本当に終わりです」
 感染者が多く、病院は急増する患者にあえいでいた頃、飲食店は援助というかごのなかにいた。店を閉めても、行政から給付される資金があった。満足な額ではなかったかもしれないが、たしかな振り込みがあった。
 しかし新型コロナウイルスが収束する可能性が見えつつあるいま、飲食店は素手で闘わなくてはいけなくなった。それが元に戻るということだが、そのテンションに慣れない空気がある。
 それはマスクも同じかもしれない。東京の感染者数は30人にも満たない日々が続いていいる。東京の人口を考えれば、この状態で市中感染する可能性は限りなく低い。
 しかし電車に乗ると、全員がマスクをつけている。僕も外せない。つけていたほうが楽なのだ。マスクさえつけていれば、後ろ指をさされることもない。
「マスクをしていると楽だっていうこと、コロナ禍の時代に、皆、覚えちゃったのかもしれない。女性だったら化粧の手を抜いても大丈夫。男性もきつい視線に晒されないような安堵をマスクはもたらしてくれる」
 マスクで守られていたのだ。精神的に。
 新型コロナウイルスの感染が収束するとすれば、元の生活に戻ることを意味する。それは活気がある世界かもしれないが、ストレスフルな日常がまた戻ってくることを意味している。自宅でのテレワークも減っていく。
 それはひどくエネルギーを使う世界に映ってしまう。いまの日本人には、高度経済成長期のようなぱちぱちと弾けるように体が発するパワーがない。そういう、くだり坂の経済状況のなかでコロナ禍に巻き込まれた。もともとテンションが高くなかった人々のなかには、コロナの時代に守られ、心地よかった人もかなりいる。その保護膜が消えていってしまう。
 猛烈な物価高が世界を覆うともいわれる。胃が痛くなるようなポストコロナの時代が待っている。その前で、僕も足がすくんでしまう。

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Posted by 下川裕治 at 11:37Comments(0)