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ナムジャイブログ

2021年11月01日

ポストコロナという辛い現実

 クラウドファンディングをはじめた。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/501440
 これまで2回、バングラデシュ南部のコックスバザールにある小学校へのクラウドファンディングを行ってきた。
 僕がこの学校の運営にかかわって30年になる。基本的に日本人からの寄付でまかなわれていたが、メンバーの高齢化が進み、資金難に陥っていた。
 1回目のクラウドファンディングは、老朽化した校舎の修繕という直近の問題を解決することだった。しかしそこには別の意図もあった。
 学校は、日本からの寄付と余裕のある家庭からもらう授業料で運営されていた。割合では半々だった。将来を考え、授業料からの収益を増やしたかった。そのために安全な環境は必要だった。
 多くの寄付をいただいた。その資金で学校の修繕は終わったが、さて……というときに新型コロナウイルスの感染が広まってしまった。学校は政府の指示で休校。その期間は今年の9月まで、1年半も続いた。
 僕がかかわるのは私立小学校である。政府は休校通知をしただけで、私立学校の先生への給与補償はなにもなかった。そこで2回目のクラウドファンディングを急遽、行うことになる。9人の先生への給料を少しでも払うためだった。
 9月、学校は再開された。しかしウイルスの感染を警戒し、生徒は週に1日、2日といった日数しか登校を許されていない。この状態では授業料をもらうことは難しい。
 ポストコロナは、賑わいが一気に戻り、コロナ禍前の環境になると思う人もいるのかもしれないが、学校運営にかかわると、それは甘い夢物語に映る。ポストコロナはコロナ禍以上に辛い。
 そこで3回目のクラウドファンディング企画になった。学校をなんとか維持することが目的だが、マンスリー型のクラウドファンディングが可能になったことも大きかった。
 マンスリー型というのは、1回の寄付ではなく、「月1000円といった額を毎月寄付」というスタイルだ。
 通常のクラウドファンディングとマンスリー型は大きく違うことはよくわかっている。僕のこの学校のかかわりにしても、通常の寄付型だったらどんなに楽で心も休まっただろうと思う。1回、お金を渡せば、そこで援助は終わる……しかしそれは幻想だった。そんなことはありえない。支援の現場に立ち合う人は皆、その現実を知っている。
 支援というものはきれいごとではないことのほうが多い。支援する側には、常に支援金を集めるというストレスに苛まれている。教育への支援とは、基本的にマンスリー型なのだ。
 しかしそう限定してしまうと、援助は隘路に入り込んでいってしまう。多くの支援団体がそこで悩んでいた。僕もそうだった。
 それを打開したのが、クラウドファンディングというよりネットの環境だったように映る。それまで寄付金を集めるということは、対面して頭をさげることだった。しかしネットの世界では、正しく情報を伝えると、目に見えない人々に支援の実態が伝わり、気楽に寄付を送ることを可能にした。リターンという見返りも大きかった。
 しかしそこにも限界がある。僕がかかわる学校のように、2回もクラウドファンディングを経験すると、その先にはなかなか動けない。コロナ禍という事情があったにせよ、寄付をもとに学校の自立に導いていくことがなかなかできないのだ。
 ポストコロナという辛い状況を考えれば、マンスリー型にするのは無理があるのかもしれない。しかし僕には、通常のクラウドファンディングを続ける感性がなかった。
 いま6人の方が賛同してくれた。顔こそ見ないが、その人たちの意志はうれしい。

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Posted by 下川裕治 at 09:53Comments(0)