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ナムジャイブログ

2013年03月11日

花粉靄のなかの登山

 バンコクから帰国すると、東京は冬から春に変わっていた。10度台後半の気温は、ことのほか心地いい。
 タイを中心にした東南アジアを訪ねることが多い。やはり暑い。夜は寝苦しい。
 冷房をかけたり、消したりする夜をすごすことになる。いつも思うことだが、東南アジアでの夜の眠りは浅い気がする。それを補う昼寝ということなのかもしれないが、最近の東南アジアでは、昼寝もままならないような生活習慣が広まりつつある。
 そんな国から日本に帰る。いまの季節は、よく眠ることができる。夜なかに起きることがない。熟睡というやつだ。今回はバンコクから北京経由で帰国した。バンコクと北京の間は夜行便になる。やはり寝不足だったのだろう。日本に帰った夜、昏々と眠り続けた。
 春眠暁を覚えず。
 そんな眠りだった。
 しかし最近、春の眠りを味わうことができない日本人が増えている。花粉症である。スギ花粉のアレルギーで、目が痒く、くしゃみや鼻水が止まらなくなる。夜もよく眠ることができない。
 幸い、僕の体は、スギ花粉に鈍感にできているらしい。だから、というわけではないのだが、今日、奥多摩の御岳山にでかけた。
 すごい花粉の量だった。御岳山はケーブルカーで登るのだが、その窓から、舞う花粉が見える。白い筋をつくり、山から下っていくのだ。登山道の周りも、うっすらと黄がかかっている。花粉靄という言葉はないと思うのだが、まさにそのなかを歩くことになる。この花粉が、東京の人たちを悩ませていることになる。
 山を歩く人もマスクをする人が多かった。しかしこの時期、山にやってくる人は、花粉症というわけではない。花粉症の人なら、息もできなくなってしまうという。重症の花粉症患者は、自宅の窓をぴたりと締め、息を潜めるようにして、休日をすごしているのに違いない。外出などできないのだ。
 スギ花粉症の原因はわかっている。スギの植林を進めすぎたのだ。1種類の樹木を一斉に山に植えると、こんな事態を生むことを日本人は知らなかった。
 日本はいま、中国からの黄砂にも悩んでいる。これは中国の黄土高原の砂が巻き上げられ、風に乗って日本にも降りかかってきているのだ。その一因は、木を切りすぎたことだともいわれている。
 人類はやはり愚かなのだろう。自然に手を加えていくと、さまざまなしっぺ返しを食らってしまうのだ。
 少なくとも、かなりの日本人は、スギの植林で春眠を奪われてしまった。この時期、山に登ることができるということは、きっと幸せなことなのだろう。

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Posted by 下川裕治 at 13:03│Comments(0)
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