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ナムジャイブログ

2013年08月05日

バンコクの路上でアベノミクス

 バンコクにいる。今日の昼、ホテルの近くでクイッティオというそばを食べた。1杯40バーツだった。2ヵ月前は35バーツだった気がする。昨年は30バーツだった。
 バンコクはいま、値上げラッシュである。気がつくと5バーツ高くなっている、といったことは日常茶飯事だ。円安傾向に値上げが重なって、出費がかさむばかりだ。
 タイ人向けの日本料理店の定食は200バーツを超えるメニューが並んでいる。日本円にすると、600円ほど。タイ人が平気な顔で注文する。家族4人で店に入り、飲み物なども頼むと1000バーツ近くになる。
 日本がタイ人の短期滞在ビザを免除したことのあり、いまのタイはちょっとした日本ブームが起きている。あるタイ人が、日本の温泉旅館について訊いてきた。
「2食付きで1万5000円ぐらいからあると思いますよ」
 と伝えると、彼はこういった。
「高くないね。2食付きなんだろ。タイのリゾートホテルは、シーズンに入ると、4000バーツはする。それには食事代は入っていないでしょ。海に行けばシーフードも食べるから出費は6000バーツぐらいになる。日本円にすると1万8000円だよ」
 たしかにひとりでリゾートホテルに泊まると、日本の温泉旅館より高くなる。
 タイとのつきあいは長いが、いまだにわからないのが、彼らの金銭感覚である。給料と身につけるものや買い物、食べ物の値段の折り合いがつかないのだ。
 月給が1万5000バーツほどのOLが、どうして5000バーツもするバッグを買うことができるのだろう……と悩む。車の価格は日本と大差がない。給料は日本人の3分の1ほどというのに、どうしても簡単にローンを組んでしまうのだろうか。
 タイ人の知人とタイの給料日に会ったことがあった。ATMに付き合ったが、彼はそのときに3000バーツもおろした。
「今日は前から食べたかった北京ダックの名店に行くからさ」
「そんなに使って大丈夫なの?」
 彼の給料は9000バーツほどなのだ。給料日とはいえ、1回の食事で給料の3分の1を使ってしまう感覚。僕はついていけない。
「あとは毎日、インスタントラーメンでしのぐしかない」
 と彼は笑うが、次の給料日までたっぷり1ヵ月があるのだ。
 日本政府はアベノミクスに舵を切った。なんとかデフレを脱却したいのだという。しかしその足どりは頼りない。しかしもし、日本人がタイ人のような性格なら、あっという間に効果が出る。そもそも、アベノミクスなどという政策をとらなくてもいいのだ。
 政府が標榜するのは、タイ人のように、後先も考えずに日本人が財布の紐を緩める経済環境づくりなのだろう。しかし堅実な日本人の腰は重い。
[政策でデフレを脱却するというより、日本人の性格改善に手をつけたほうが早道じゃないの?]
 バンコクに住む日本人が冗談をいう。しかし日本人は性格を変えられない。だから、タイという国に憧れてしまう。インフレのバンコクの路上で、そんなことを考えてみる。

(お知らせ)
 朝日新聞のサイト「どらく」連載のクリックディープ旅が移転しました。「アジアの日本人町歩きの旅」。アクセスは以下。
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Posted by 下川裕治 at 12:49│Comments(0)
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