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ナムジャイブログ

2013年10月21日

安住の安宿が消えていく

 台北の安宿でこのブログを書いている。
 18日の夕方、東京で『週末台湾でちょっと一息』という僕の本の講演会があった。たくさんの人が集まってくれたが、そのなかで、ひとりの中年男性からこんな質問を受けた。
「息子と一緒の台北に行って、本に書いてある和泰大飯店を探したがみつからなかったんですが」
 台北駅の北側には、かなりの数の安宿がある。和泰大飯店はそのなかの1軒。気に入った宿で、ここ1、2年の常宿にしていた。
「そんなことはないと思いますけど……」
 翌朝のエアアジアで台北に来た。和泰大飯店はあった。しかしブザーを何回押しても返事がない。見ると横に貼り紙があった。改装工事に入り、しばらく休業と書いてあった。
「ここもか……」
 台北駅の北側の安宿はどれも古い。時代にとり残されている。この種の宿はいま、再開発の波に晒されている。建て替えられ、こぎれいなビジネス風ホテルに変わっていくことがよくある。昔、よく泊まった梅軒という宿は、蘭庭というしゃれたホテルに変身した。もちろん宿代は2倍ほどになったが。
 和泰大飯店は、ビルの5階のワンフロア―を使った宿だった。建て替えられることはないと思っていたのだが、改装ということになってしまった。宿代は800元、日本円で2400円ほどだった。改装後はやはり、2倍ぐらいになってしまうのだろうか。
 宿を探した。そこでみつけたのが、いま泊まっている北門大旅社である。ここも古いホテルだ。おばさんがひとり、フロントに座っている。1泊700元。しかし部屋には、「免費無線寛頻上網」と書いてある。Wi-Fiが無料ということだ。
 宿泊客は少ない。20部屋ぐらいありそうなのだが、宿泊客は3、4人。フィリピン人のおばさんがひとりで、部屋の掃除を担当している。それだけでまわっている宿である。
 このホテルの行き先にも雲が垂れ込めていそうだ。これからしばらくは、この宿に厄介になりそうだが、突然、建て替え話が降りかかる可能性が高い。そして、僕は行き場を失い、台北駅の北側を東奔西走することになるのだろう。安住の安宿は台北の街ではみつかりそうもない。
 あと10年、台北駅北側の安宿は生き延びてくれるだろうか。
 それはアジアの街に共通したことのようにも思える。これから僕はその憂き目を、さまざまな街で味わっていくのかもしれない。

(お知らせ)
朝日新聞のサイト「どらく」連載のクリックディープ旅が移転しました。「アジアの日本人町歩きの旅」。アクセスは以下。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html


Posted by 下川裕治 at 18:42│Comments(3)
この記事へのコメント
静岡は清水の旅好き親子です。宿のこと取り上げてもらい感謝しています。次回は下川さんの常宿に泊まり、寧夏夜市のビーフンと、下水湯なども食べてみたいと思います!小学5年の息子もすっかり下川ファンになっちゃいました!
Posted by 台北珍道中 at 2013年10月21日 20:40
台北でたくさんの安宿を泊まり歩いた末に見つけた一軒の常宿‘梅軒‘。かれこれ3ヶ月分は宿泊した梅軒。改装工事中に泊まったのを最後に値段が倍増して泊まれなくなった。。すごく寂しかった。。新しく見つけた安宿‘首府大旅社‘まだ3回しか泊まってませんが、結構気に入ってます。板橋の府中駅近くで場所も良く美味しい店も近くに沢山あります。台北板橋の‘首府大旅社‘機会があれば泊まって見てください。
Posted by rao at 2013年10月24日 08:53
以前、台北を旅行した際はネットを駆使して自分でメールでやり取りして予約を取りましたが洗濯機まで付いている広いウイークリーマンションが3000円しないくらいで泊まれて非常に快適でした。

居心地がいいので滞在中ずっと泊まりたかったものの後半は空いていないと言われ現地でネットを駆使して日貸しのマンションを何とか借りました。タイで買ったGSMの携帯がかなり役立ったのを覚えています。
Posted by Taro at 2013年12月03日 20:38
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