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ナムジャイブログ

2014年03月24日

欧米人バックパッカーのためのエリア

【通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
 裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。タイのスリンからカンボジアに入国し、ベトナムへ。ハノイからディエンビエンフー。そこからラオスに入国し、ムアンクアから船でノーンキャウに着いた。
     ※       ※
 ようやく雨があがった。ノーンキャウに1泊した朝、オウ川に架かる橋に出かけた。橋の上には、町の人が数人集まっていた。皆、増水した川の流れを見つめている。
 この一帯に降った雨は、数日、続いたようだった。僕らはベトナムのディエンビエンフー以来、ずっと雨のなかを旅してきた。冷たい長雨は、この地方でも珍しかったらしい。
 褐色の川面を大木が流れていく。上流では増水した水で川岸がえぐられたのだろう。そこに生えていた木々が流れてきていた。大きな木が橋の下を通るたびに、声が湧き起こった。そのなかに、ひとりの欧米人がいた。
「昨日、この町で自転車を借りて、近くの村をめざしたけど、雨がひどくて、途中で引き返してきたんです。今日は大丈夫そう」
 そういって彼は空を見あげた。
 昨夜、何人もの欧米人バックパッカーに出会っていた。雨のなか、食堂を探した。開いているのは一軒しかなかった。高床式の家を利用した食堂だった。二階が食事をするスペースになっていた。そこにあがると、大きなテレビモニターがあり、ハリウッド映画が流れていた。夜になり、することもない彼らはここに集まってきていた。毛布を足にかけ、ワインを飲みながらビデオに見入っていた。
 何人かはルアンパバーンから自転車でやってきていた。彼らがもっていたガイドブックを見せてもらった。この一帯を自転車でまわるコースやプランがしっかりと紹介されていた。英語が通じる村の食堂、途中で水を補給できる雑貨屋、そしてコースタイム……。
 この一帯はサイクリングに最適なところのようだった。
 ムアンクアからの旅を思い出していた。ラオスに入り、急に旅が楽になった。英語が気持ちのいいぐらい通じるのだ。しかし数時間もすると、そのカラクリが見えてくる。ラオスの山のなかで暮らす人たちは食堂など縁のない人が多い。町一軒の食堂の客の大半は欧米人なのだ。いや、彼らを当て込んで食堂ができたのかもしれない。つまりそこしか英語が通じないつくられた世界でもあるのだ。町に一軒しか食堂がないのだから、高いのか、おいしいのかの比較もできない。ベトナムのように、言葉は通じないが、店がぎっしりとある世界とは違った。それほどまでに、この一帯の人の密度は低いようだった。
 ルアンパバーンから、このノーンキャウまでは道が通じている。その日、僕はバスでルアンパバーンに向かった。途中、何人もの欧米人を追い抜いてバスは進んでいった。(以下次号)

(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。



Posted by 下川裕治 at 11:26│Comments(0)
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