2014年04月14日
ラオス領内のメコン川にはじめての橋
【通常のブログはしばらく休載。『裏国境を越えて東南アジア大周遊編』を連載します】
【前号まで】
裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。カンボジア、ベトナムを北上。ディエンビエンフーから、ラオスのムアンクア。そこから川を下りルアンパバーンへ。そこから西へ向かう
※ ※
ルアンパバーンから、メコン川の西岸のサヤブリに向かった。バスは午前9時に発車した。車内はほぼ満席になったが、欧米人のバックパッカーの姿がなかった。メコン川の東側やルアンパバーンには、あれだけいた欧米人が消えた。
ガイドブックに載っていないのかもしれないが、これから先がラオスのローカルな世界になっていく。
バスは南に進んだ。坂道を下っていく。メコン川をどこかで越えなければならない。川に向かって降りていくような感覚の道を2時間ほど走った。
そこそこの規模の街があった。メコン川にそった街のようだった。
僕はてっきり、メコン川はフェリーで渡るものだと思っていた。
メコン川に架かる橋は多くない。ラオスがかかわるエリアでは、首都のビエンチャンとタイのノンカーイの間に架かる友好橋。そしてタイのムクダハーンとラオスのサワナケート間の第2友好橋。これしか知らない。僕が向かうサヤブリはラオスである。メコン川のラオス領内を流れるエリアに、橋が架かったという話は聞いたことがなかった。
バスは丘を越えた。眼下にメコン川が見えてきた。
「ここを下ってフェリーか……」
と窓の外を眺めていた。
ところがバスはそれほど下ることなく、平坦な道を進んで、川の上に出てしまった。
「橋?」
橋が架かっていたのだ。立派な橋だった。乗客たちも食い入るように川に視線を集めている。後ろに座っていた男性は立ちあがるようにして川面を見ている。
乗客の顔は、なんだか呆けていた。驚きとか、感嘆といった表情ではない。どう対応したらいいのか……考えあぐねている。そんな感じだった。
橋ができて間がたっていないようだった。乗客のなかには、はじめて橋を渡る人も多いのかもしれない。
僕も戸惑っていた。タイとの間なら、物資の輸送のための橋をつくる理由はわかる。しかしここはラオス領内なのだ。
「ついにできてしまったか……」
メコン川西岸は、不便なエリアだった。ビエンチャンやルアンパバーンから行くことは大変だった。メコン川を越えなくてはいけなかったのだ。西側はタイ国境の深い山が続いている。ラオスのなかでも遅れた一帯だったのだ。
そこをつなぐ橋が架かってしまった。
サヤブリの小さなバスターミナルには12時に着いた。橋ができたことで、所要時間はずいぶん短縮されたのだろう。なんだかあっという間なのである。
バスターミナルにはホンサー行きのバンが待っていた。1時に出発するという。ちゃんと接続しているのだろうか。
ラオスとは思えないことだった。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
この旅の写真やルート地図は、以下をクリック。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html。
「裏国境を越えて東南アジア大周遊」を。こちらは2週間に1度の更新です。
【前号まで】
裏国境を越えてアジアを大周遊。スタートはバンコク。カンボジア、ベトナムを北上。ディエンビエンフーから、ラオスのムアンクア。そこから川を下りルアンパバーンへ。そこから西へ向かう
※ ※
ルアンパバーンから、メコン川の西岸のサヤブリに向かった。バスは午前9時に発車した。車内はほぼ満席になったが、欧米人のバックパッカーの姿がなかった。メコン川の東側やルアンパバーンには、あれだけいた欧米人が消えた。
ガイドブックに載っていないのかもしれないが、これから先がラオスのローカルな世界になっていく。
バスは南に進んだ。坂道を下っていく。メコン川をどこかで越えなければならない。川に向かって降りていくような感覚の道を2時間ほど走った。
そこそこの規模の街があった。メコン川にそった街のようだった。
僕はてっきり、メコン川はフェリーで渡るものだと思っていた。
メコン川に架かる橋は多くない。ラオスがかかわるエリアでは、首都のビエンチャンとタイのノンカーイの間に架かる友好橋。そしてタイのムクダハーンとラオスのサワナケート間の第2友好橋。これしか知らない。僕が向かうサヤブリはラオスである。メコン川のラオス領内を流れるエリアに、橋が架かったという話は聞いたことがなかった。
バスは丘を越えた。眼下にメコン川が見えてきた。
「ここを下ってフェリーか……」
と窓の外を眺めていた。
ところがバスはそれほど下ることなく、平坦な道を進んで、川の上に出てしまった。
「橋?」
橋が架かっていたのだ。立派な橋だった。乗客たちも食い入るように川に視線を集めている。後ろに座っていた男性は立ちあがるようにして川面を見ている。
乗客の顔は、なんだか呆けていた。驚きとか、感嘆といった表情ではない。どう対応したらいいのか……考えあぐねている。そんな感じだった。
橋ができて間がたっていないようだった。乗客のなかには、はじめて橋を渡る人も多いのかもしれない。
僕も戸惑っていた。タイとの間なら、物資の輸送のための橋をつくる理由はわかる。しかしここはラオス領内なのだ。
「ついにできてしまったか……」
メコン川西岸は、不便なエリアだった。ビエンチャンやルアンパバーンから行くことは大変だった。メコン川を越えなくてはいけなかったのだ。西側はタイ国境の深い山が続いている。ラオスのなかでも遅れた一帯だったのだ。
そこをつなぐ橋が架かってしまった。
サヤブリの小さなバスターミナルには12時に着いた。橋ができたことで、所要時間はずいぶん短縮されたのだろう。なんだかあっという間なのである。
バスターミナルにはホンサー行きのバンが待っていた。1時に出発するという。ちゃんと接続しているのだろうか。
ラオスとは思えないことだった。(以下次号)
(写真やルートはこちら)
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Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(0)
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