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ナムジャイブログ

2014年10月27日

また香港に行く

 先週、北アルプスの徳本峠に登った話をした。峠から上高地側に降りてくると明神池があり、山小屋が建っている。そこでひとりの中年登山客のこんな言葉を聞いた。
「中国人より礼儀がいい」
 山小屋近くには野生の猿がいる。マイナス20度にもなる上高地の冬に備えて、木の実をいっぱい食べ、脂肪をつけた体はもっこりと太っていた。猿たちは休憩する登山客のじゃまをしないように、小屋の前庭の脇を通り、すっと木に登った。それを見た登山客が、そういったのだった。
 よほど中国人のマナーの悪さが気になっている人らしい。
 礼儀に欠ける中国人の話は、いまや世界のどこでも耳にする。パリでは、友人と食事をするとき、「そこは中国人がいない?」という会話が普通になっている。夏には沖縄の石垣島でも、中国人の話をきいた。
「あの人たちは、いったんなんなんですか」
 おそらく世界でいちばん敬遠されている観光客だろう。しかし彼らの金離れはいい。観光業にかかわる人たちは、彼らに笑顔を向ける自分が腹立たしくもあるのだろう。
 中国人のマナーの悪さを、僕は20年以上前から書いてきた。しかし彼らはいっこうに改めようとしない。
 それぞれの国には独自の習慣がある。そのまま振る舞うと、海外では顰蹙を買う。バブル時代の日本人がそうだった。しかし、しばらくたつと、そんな話も消えていく。おそらく日本人は、他人の視線を敏感に察する民族なのだ。
 そこへいくと中国人への苦言は消える気配がない。20年以上も世界を席巻している。
「あれだけの人口がいるんだからしかたないことでしょ」
「外国に何回も行った上海や北京の人はわかりつつありますよ」
 気遣いの声も聞こえてくるが、やはり皆が気になっている。それでも中国人批判が鳴りやまないのは、中国人が気にしていないからだろう。世界の人々が自分たちをどう見ているか……ということへの関心が薄いのだ。
 中国という国は、常に強い権力に支配されてきた。それはいまの中国共産党も例外ではない。そのなかで生きる人々は、いつも支配する人の顔色を窺っている。それは、周りの庶民が自分をどう見ているかという意識よりはるかに強い。周囲がなんといおうと、上が認めれば正義。それが中国人の論理のような気がする。だから旅先でも、自分たちの流儀で振る舞ってしまう。
 路上を占拠する香港の学生や民主派の意識の底にこの問題がある。しかし彼らもまた中国人なのだ。
 明日、香港に行く。金鐘や旺角に行ってみる。路上占拠を見るのは、これで2回目だ。またこの問題で悩んでみる。



Posted by 下川裕治 at 12:52│Comments(0)
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