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ナムジャイブログ

2014年11月10日

グーグルの波も消えた?

 いまになってはじまったことではないのだが……。いや、最近、規制が強くなってきのだろうか。中国のインターネットである。検閲をめぐって中国政府とグーグルとの折り合いがつかず、グーグルが中国から撤退したのは4年ほど前。それ以来、何回か中国に出向いた。たしかに中国でのグーグルの接続は不安定だった。Gメールも同様である。
 波のように……。中国を訪れた外国人がよく使う言葉だった。インターネットの接続が波のようなのだ。波がきているときはつながるのだが、一定の時間がすぎると、波が消えてしまう。
 インターネットの接続に詳しくはない。だから、「波」という表現になってしまう。しかし中国にやってきた旅行者の間では、しばしば話題になった。
「いま波がきています」
 そういう連絡が入る。慌てて、メールを立ち上げたことが何度もある。
「いや、その波もないんです」
 先週、上海に行ったが、その少し前に中国を訪ねた知人が伝えてくれた。なんでも天安門事件から25年で、規制を強めているという話なのだが。上海に着き、ホテルでネットにつないでみた。メールを見た。届いたメールのタイトルはわかるのだが、内容を開くことができなかった。波がくる予感はまったくなかった。
 和平演変という言葉がある。情報の交流、経済支援などを通して、社会主義国の民主化を進めるという自由主義圏の発想である。どこか東西冷戦時代が蘇ってくる言葉だが、中国はこの和平演変を極端に嫌っている。
 かつての社会主義国の多くは、和平演変を嫌っていた。しかし西側社会から入り込む情報を遮断することは難しかった。
 中国は、旧ソ連や東欧は和平演変によって社会主義が崩壊したととらえている。そう分析する以上、中国は自由主義圏からの情報の浸透をくい止めなければならない。
 しかしそれはとんでもなく大変なことのように映る。とくにインターネットが普及してから、その負荷はさらに増したはずである。ネット情報を遮断するために、いったいどれほどの人が係わっているのだろうか。
 いまの世界で、政治的な意図によって、外国からのネット情報を遮断しようとしている国は多くない。中国と北朝鮮はその数少ない国でもある。
 それは人間の知りたいという欲求への挑戦でもある。制度やシステムを超えたところにその心理はある。
 しかし中国に暮らす外国人たちはなかなか頼もしい。そのなかでしっかりと情報を得ている。フェイスブックやラインが使えないという不自由はあるかもしれないが、それ以外の方法でしっかりネット情報を得ているし、海外との連絡もネットを使っている。規制などどこ吹く風といった感がある。慌てるのは旅行者だけだ。
 もっとも僕は、ネットが通じないことをいいことに、軽い足どりで上海の街を歩いていたのだが。



Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(0)
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