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ナムジャイブログ

2015年01月19日

効かない人

 目の検診を受けた。年齢的に緑内障とか白内障が出てもおかしくないらしい。この検診は瞳孔を開けて調べると医師から説明を受けた。
「検査の後、人によっては半日ぐらい目がよく見えない状態になります。瞳孔が開いているわけですから。光が入りすぎるんです。その日は大丈夫ですか?」
 そういわれて検診日を決めた。
 眼科医を訪ね、瞳孔を開ける薬を点眼された。それから待合室で30分ほど待つようにいわれた。時間が過ぎ、看護婦さんがきて、瞳孔をチェックしてくれた。「まだですね」。それからさらに30分ほどが経ち、ようやく検診になった。
 さまざまな機械を使った検査が終わり、医師の横に座った。
「普通に見えるんですけど」
「体質がありますからね。でも、瞳孔は開いてます。気をつけて帰ってください。本当に変化はないんですか。そうですか……」
 たしかに不思議な光の入り方だった。焦点もやや合わせにくい。しかし街並みを普通に見ることができた。
 効かない人……。
 昔からよくいわれた。薬の効きが人より悪いらしい。体が鈍感なのかもしれない。
 アレルギーもない。花粉症とは無縁の人生を歩んできた。なんとなく、自分の体は鈍いという思いは昔からあった。
「アジアで食事をしていて、ちょっとおかしいな、と思ったら、食べないことにしています。それが食あたりにならない最大のコツですよ」
 知人からそういわれたことがあった。僕はその言葉に耳を疑った。
「ちょっとおかしい?」
 そんなことを思ったこともなかった。その人が異星人のように映った。
 アジアで人に会うと、「昨日は下痢で大変でした」といわれることがある。そう聞いたとき、いつも首を傾げる。下痢ぐらいで、人にいうことだろうか……と。僕はしばしば下痢をする。それはもう日常に近い。大変なことではないのだ。
 ほかの人が大変だと思うことが、自分には些細なことに映ることを喜んでいいのかどうかわからない。
 たとえば食生活。「最近、野菜不足で体が重いんです」などといわれると返答に困る。実感がないのだ。そういえば向田邦子がエッセイのなかで、すき焼きを食べた後は肌のつやが違うと書いていた記憶がある。敏感な人なんだな、とそのときは思ったものだった。
 無農薬とか有機栽培もそんな気もする。僕にしても、安全な食べ物がいいのだが、体が反応するこだわりがない。どこか頭で考えているだけなのだ。
 体が鈍感なことは、これでけっこうつらいものだ。


Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(0)
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