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ナムジャイブログ

2015年05月11日

がんばれお父さん

 先日、ソウルで韓国人向け日本風居酒屋に入った。日本と韓国の間には、さまざまな問題があるが、それぞれの文化が、互いに深く入り込んでいるという面もある。それは食生活や、居酒屋でも同じだ。
 世界には日本人向けの居酒屋は多いが、現地人向けに現地人が経営する日本風居酒屋の充実度では、韓国がトップを走っている気がする。独自のメニューも開発している。
 その日本風居酒屋で、いちばん人気の日本酒といえば、『がんばれお父さん』なのである。だいたいどの店にもある。新潟県の酒造メーカーがつくっているのだが、日本では知っているのは新潟県の人たちぐらいかと思うのだが、韓国の知名度……となると。
 僕らはビールを飲んでいた。隣にカップルがやってきて、まず頼んだのが、『がんばれお父さん』だった。出てきたのはハーフパックの日本酒だった。この店は、アイスペールに氷を入れ、そこに空のお銚子を入れるセットがついてきた。カップルは慣れているようだった。女性が封を開け、それをお銚子に移して、しばらく待ち、冷えたところで、小さなグラスで乾杯。のっけから日本酒なのだ。
「だいたい日本の若い女性が、日本酒をあんなに普通に飲みます?」
 同行していたカメラマンが、戸惑いがちに呟く。たしかにそうだった。
 韓国の女性は酒に強い。ソジュという焼酎に鍛えられているからだろう。ソジュは20度前後。女性たちも割らずに飲む。それに比べれば、日本酒は弱い酒だ。
「しかしどうして『がんばれお父さん』なんだろう?」
 こちらが悩んでいるうちに、カップルはつまみを頼み、ぐいぐい日本酒を飲む。ハーフパック、つまり5合を飲み干すと、平然とした顔で店を出ていった。
 カメラマンと顔を見合わせた。日本人の沽券? それほどでもなかったが、僕らも頼んでみた。普通の日本酒だった。しかし5合の酒はかなり酔う。韓国人は、男も女もかなりの酒飲みである。
『がんばれお父さん』のハーフパックは4万ウオン弱だった。つまり4000円。
「日本の安めの居酒屋で、5合で4000円の日本酒、高くて頼む人、あまりいない気がするな。韓国人って金ありますね」
 実際、飲食の世界では、日本はかなり安い国だ。そこに円安が重なり、最近、アジアに出向くと、現地の人のほうが豊かに見えてしかたない。
 しかしなぜ、『がんばれお父さん』?
 現地や日本でいろいろな人に訊いてみたのだが、その理由になると、話に霧がかかってきてしまのである。


Posted by 下川裕治 at 19:09│Comments(2)
この記事へのコメント
がんばれおとうさん。
韓国で単身赴任しているお父さんに向けたエールだったら素敵な気がします。
でも
日本で晩酌で出てきたら
ちょっと…プレッシャーです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年05月18日 00:31
自分も海外に単身赴任のお父さんへのエールだと思います。家族と離れて暮らすお父さんは、辛いと感じる人が多いです。
独りでいることが好きなお父さん用の日本酒の名前は
「羽をのばせお父さん」でどうでしょうか?
Posted by 冒険野郎に憧れ野郎 at 2015年06月20日 13:18
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