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ナムジャイブログ

2015年07月20日

タイ人の労働意欲が空まわりする?

 宿の前の小さな店で、30バーツのそばを食べ、バイクタクシーに乗って、エムクオーティエというショッピングモールに出かけた。そのなかにある紀伊國屋書店で講演とサイン会があったからだ。
 バンコクでは話題のモールである。BTSのプロムポン駅。その南側にはエンポリアムという高級ショッピングモールがある。駅の北側に2番目のエンポリアムができた。それがエムクオーティエである。
 バイクタクシーを降りたとき、おじさんから、行く先を訊かれた。エムクオーティエといっても通じない。
「エンポリアム2」
「あれか」
 おじさんは無表情のまま指さした。汗の饐えたにおいが鼻についた。
 エムクオーティエは迷子になりそうなモールだった。館内には庭園があり、レストランはらせん状の通路に沿って続いていた。高級店が並んでいるが、店のレイアウトにそれぞれ工夫の跡がある。単なる大きな建物というだけではないデザインコンセプトがあるような気がした。
 アジアはいま、巨大ショッピングモールのブームである。ベトナム、カンボジア……。まるで経済成長を誇示するかのような建物が建ちあがる。エムクオーティエは、その先をめざしているようにも映る。
 しかし収まりのつかないものが、突きあげてくる。それは胃のなかにある30バーツのそば? バイクタクシーのおじさんの体が発する汗のにおい?
 格差社会である。その幅は年を追って広がっているようにも見える。アジアの人々は平等意識が薄い。政治家は貧しい人々を救済するというが、それは富裕層の既得権を守ったうえでの話だ。それはどの国でも同じなのかもしれないが、アジアのそれは、あきれるほどに露骨だ。エムクオーティエは、その象徴にも映る。
 貧しい庶民はエムクオーティエのなかをぶらぶら歩き、やがてここで惜しげもなく金を使う生活を思い描く。そこから生まれる上昇志向が、経済成長に結びついていく。それがアジアの成長のカラクリだろうか。
 最近、バンコクの街を見て呟いてしまうことがある。
「タイ人って、こんなに働いただろうか」
 飲食店で働くタイ人はけなげでもある。チェーン店の店員はサービスのマニュアルをきっちりとこなす。
 その労働意欲を支えるものは、努力が報われるという見晴らしのいい社会だ。しかしタイの軍事政権には逆向きのベクトルが働いているように思う。政治の混乱が招いたことでもあるのだが、軍による政治運営はあまりに長く、ときに陳腐だ。そのなかで、なにかが空まわりしているような気がしてならない。



Posted by 下川裕治 at 10:00│Comments(1)
この記事へのコメント
チェーン店のサービス
MBKの中にあるメイドカフェ
『めーどりーみん』
日本と同じ接客をしていました。
お決まりの言葉(日本語で)、かわいらしいポーズ等
すべてマニュアル化されていて
それをこなしている。
大したもんだと感心しました。

軍事政権はなんだかとても気持ちが悪いです。

クリーンな政治家は確かに理想ですが
多少の賄賂とか、ずる賢い方がが政治は上手く行くような気がします。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年07月24日 16:31
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