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ナムジャイブログ

2015年08月03日

バイクに抜かれるミャンマー列車旅

 1週間ほどミャンマーを歩いてきた。タイのカンチャナブリから乗り合いバンやタクシーを乗り継いでダウェイに出た。そこから列車でヤンゴン、マンダレー、ラーショーへと北上した。ミャンマー北部は大雨の土砂崩れに見舞われ、ラーショーの手前までしか行くことができなかったが。
 ユーラシア大陸の南端駅から北端駅まで列車で進むという企画の旅である。鉄道はきっちりとつながっていないから、途中、陸路の移動も含まれる。出発はシンガポール。ようやくラーショーまで進んだわけだ。
 ミャンマーの列車は遅い。線路の老朽化とメンテナンスの杜撰が重なり、車両は上下左右に激しく揺れる。一瞬、スピードが出ているような錯覚に陥るが、実際は時速20~30キロしか出ていない。
 ゆっくりと動く車窓の風景。そのなかを、荷物を満載したバイクがとことこと走っていく。どういうつくりになっているのか想像するしかないのだが、バイクの後部座席に支柱を立て、左右に竿のような棒をとりつけ、そこに野菜、肉、果物などがぎっしり詰まったビニール袋を、数にして40~50個吊るしている。ときに数十羽の鶏を吊るしているバイクも目にする。
 最初は行商バイクかと思った。村々をバイクで走り、生鮮品や雑貨を売っていく。
「どうも違うらしいんですよ。バイクを買って、家で店をはじめる人が増えているんだそうです。バイクは個人商店の輸送手段。運転しているのは家の主人らしい」
 知人が教えてくれた。ミャンマーでは安い中国製バイクが売れているという。
 バイクメーカーはとうに分析していることなのだろうが、アジアと日本ではそれを買うときの感覚が違う。アジアでは、バイクを買ったらいくら儲かるか、とそろばんを弾いて買う。ミャンマーはその典型なのだろう。バイクを1台買い、後部座席に人を乗せて運んだら……、店をはじめたら……と頭のなかで電卓を叩いている。タイのバイクタクシーの運転手も同じだろう。しかし日本は違う。配達という分野はあるが、趣味やツーリング目的の人がかなりいる気がする。
 ミャンマーの道は気が滅入るほど悪い。それを補っているのがバイク輸送なのだ。その損得勘定に合ったバイクの価格がつけられると爆発的に売れる。経済成長とは、実はそういうことなのだろう。
 そんなことを考えながら、ぼんやりと車窓を眺める。バイクの後部座席には、必ず荷物か人が乗っている。なにも乗せていないバイクはまず目にしない。
 遅い列車は、そんなバイクに追い抜かれていく。ミャンマーの列車旅である。


Posted by 下川裕治 at 15:26│Comments(1)
この記事へのコメント
バイク一台あれば仕事ができる!
給料は安いかもしれないけれど
働く意思があれば働ける
それって素晴らしい事ですよね!

でもそのバイクが高いのでは…
同じ価格ならジャパンブランドは
負けないはず!!
日本のメーカーに頑張って欲しい!
彼らの考える費用対効果に
ぴたっとハマる価格のバイクを
ぜひ作って欲いものです。

そして車窓から日本製のバイクに追い抜かれる…
どうせならそんなシーンを見てみたいです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年08月06日 17:38
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