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ナムジャイブログ

2015年08月10日

インドシナ鉄道を制覇する?

 帰国し、『一両列車のゆるり旅』(双葉文庫)の発刊イベントがあった。その後の打ち上げの席では列車旅の話が多くなる。
「実はインドシナ半島の国の鉄道路線のほとんどに乗ってしまったんです。それも各駅停車で。マレーシアは全部乗って、残っているのはベトナムの1路線、タイで3路線、ミャンマーで5路線ほどだけなんです」
「やりましょうよ。全路線、制覇」
「……や、やりますか」
 鉄道に乗ることは好きだが、全路線を制覇するつもりなどなにもなかった。うろうろと旅を続けているうちに、こういうことになってしまったのだ。
 しかし残った路線を思い描いて、気が重くなった。たとえばタイ。残っているのは、ナコーンラーチャシーマーからウボンラーチャターニーの区間、東に向かう路線はカンチャナブリから先のナムトック……といった具合に、路線の先の方が残っている。それに乗るためには、バンコクからすでに乗った路線に乗らなくてはならない。
 ミャンマーのヤンゴン周辺にはダゴン大学支線とかレーロイン線といった短い区間の列車も乗っていない。ミャンマーだから本数は数えるほどだろう。1日1本という話もある。1往復で1日が終わっていく。
 制覇するには、とんでもなく日数がかかるのだ。
 宮脇俊三の『時刻表2万キロ』がそうだった。当時の日本の鉄道にすべて乗る話なのだが、最後のほうになると、地方の短い路線が残ってしまうのだ。それに乗るために、すでに乗車した区間を延々、列車に乗らなくてはならなくなる。
 前回、ミャンマーの列車旅の話をした。そのとき、カメラマンのほかに50代の同行者がいた。彼はアジアの旅には慣れてはいたが、こんなにも鉄道に乗り続けることははじめてのようだった。そして最後には腰を痛めてしまった。
 明日は我が身だと思った。アジアの列車には乗り慣れている。ミャンマーの列車のジャンピングにはなんとかついていったが、もう少しで腰にきたような気もする。
 インドシナの列車制覇は、老体に鞭打つような旅に映るのだ。
「なんて酔狂な……」
 そういわれても、返す言葉もない列車旅なのである。
 インドシナ列車の制覇旅をやることになるのだろうか。
 暑い東京で、ぼんやり考えている。



Posted by 下川裕治 at 13:06│Comments(1)
この記事へのコメント
下川さんは黙々とヒットを打ち続けるイチローの様です。

ある時は4割台への期待、
あるときはスーパープレーと

そういった人生を歩んできて
気がつけばメジャー通算3000本安打
という偉業に近づいて来ているのですから。
下川さんも結果としてインドシナ鉄道を制覇する事は意識して旅をしていなかったでしょうが、結果が後から付いてきて
おおきな偉業が目の前に来ているのですね。
それは凄いと思います。日本人にはそういないと思います。貴重な旅人なのです。

私は食いしん坊なのでアジアの美味しい食べ物を食べて食べてー
そしていつか小さな偉業を
アジアの食べ物を制覇するようになれたらいいなと思います。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年08月12日 00:26
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