2015年08月24日
朝鮮族と在日の狭間
僕の韓国旅をまとめた、『週末ソウルでちょっとほっこり』が発売された。そのなかで朝鮮族について触れている。清の時代から戦前にかけた時代を中心に、朝鮮半島から中国に渡り、戦後も中国に留まった人々である。
韓国の経済成長が進み、出稼ぎという形で韓国にやってきた。いまでは在日朝鮮・韓国人並みの資格を得ることができるようになったが。
しかし彼らが働く場は恵まれているわけではない。ソウルの飲食店で働いている人も多い。韓国人と一緒に店に入ると、彼らは敏感に見分ける。発音が違うのだ。いまのソウルの飲食店では、中国からの留学生も働いている。彼が話す韓国語とも違う。
日本の飲食店でも、中国人留学生が働いている。日本人は単純に判断すればいいが、韓国人は、留学生か朝鮮族かを区別する。
そこには朝鮮族には親日派が多いという問題もある。台湾の人々と同じようなベクトルが働いているのだろうか。朝鮮族の多くは、現在の北朝鮮から中国に渡ったというしこりも消えない。
韓国と中国──。その関係は、日本と中国のそれとは異質だ。南北に分断される前は、国境を接する国だった。
中国からの観光客を、世界でいちばん最初に受け入れた国が韓国だった。いま、ソウルには夥しい数の中国人が訪れる。今年は年間800万人に近づくのではないか、と韓国観光公社は予測していた。日本の約3倍ほどになる。もっともその後、MARS騒動があり、空港のイミグレーションにできていた長い列もなくなってしまったが。
済州島を中国人観光客はビザなしで訪ねることができる。日本でいったら、沖縄を訪ねる中国人観光客へのビザを免除するようなものなのかもしれない。それに乗じてか、中国の業者が済州島に中国人向けの老人ホームをつくる計画を打ち出し、韓国内ではずいぶん問題になった。
日本と中国という、アクの強い国に挟まれた韓国は、その間をうまく泳ぎ切っていかなくてはならない。片方に与すれば、片方から抗議に晒される。
その歴史のなかを歩んできた国である。その問題を人にあてはめれば、在日と朝鮮族ということになる。
一冊の本を書きながら、そんなことを考えていた。戦後70年という節目もあり、編集者はその表現に神経を使う。それは日本から見た韓国像なのだが、日本語で書かれ、日本で販売される本だからしかたのない話でもあるのだ。翻弄されつつまとまった本を読み返してみる。少し答えに近づいた気がする。
韓国の経済成長が進み、出稼ぎという形で韓国にやってきた。いまでは在日朝鮮・韓国人並みの資格を得ることができるようになったが。
しかし彼らが働く場は恵まれているわけではない。ソウルの飲食店で働いている人も多い。韓国人と一緒に店に入ると、彼らは敏感に見分ける。発音が違うのだ。いまのソウルの飲食店では、中国からの留学生も働いている。彼が話す韓国語とも違う。
日本の飲食店でも、中国人留学生が働いている。日本人は単純に判断すればいいが、韓国人は、留学生か朝鮮族かを区別する。
そこには朝鮮族には親日派が多いという問題もある。台湾の人々と同じようなベクトルが働いているのだろうか。朝鮮族の多くは、現在の北朝鮮から中国に渡ったというしこりも消えない。
韓国と中国──。その関係は、日本と中国のそれとは異質だ。南北に分断される前は、国境を接する国だった。
中国からの観光客を、世界でいちばん最初に受け入れた国が韓国だった。いま、ソウルには夥しい数の中国人が訪れる。今年は年間800万人に近づくのではないか、と韓国観光公社は予測していた。日本の約3倍ほどになる。もっともその後、MARS騒動があり、空港のイミグレーションにできていた長い列もなくなってしまったが。
済州島を中国人観光客はビザなしで訪ねることができる。日本でいったら、沖縄を訪ねる中国人観光客へのビザを免除するようなものなのかもしれない。それに乗じてか、中国の業者が済州島に中国人向けの老人ホームをつくる計画を打ち出し、韓国内ではずいぶん問題になった。
日本と中国という、アクの強い国に挟まれた韓国は、その間をうまく泳ぎ切っていかなくてはならない。片方に与すれば、片方から抗議に晒される。
その歴史のなかを歩んできた国である。その問題を人にあてはめれば、在日と朝鮮族ということになる。
一冊の本を書きながら、そんなことを考えていた。戦後70年という節目もあり、編集者はその表現に神経を使う。それは日本から見た韓国像なのだが、日本語で書かれ、日本で販売される本だからしかたのない話でもあるのだ。翻弄されつつまとまった本を読み返してみる。少し答えに近づいた気がする。
Posted by 下川裕治 at 13:14│Comments(1)
この記事へのコメント
最近でこそやっと聞かなくなりましたが
嫌韓と言う言葉を耳にするたびに妙な違和感を覚えました。
言われっぱなしじゃナメられる。
というのも分からないではないのですが
韓国が中国と日本の間を逆鱗に触れぬよう泳いでいたのだとしたら…
その川が嫌韓で狭くなってしまい
韓国はさぞ泳ぎにくいだろうと同情をします。
旅先で出会った韓国人が優しかったからそう思うのかもしれません。
嫌韓と言う言葉を耳にするたびに妙な違和感を覚えました。
言われっぱなしじゃナメられる。
というのも分からないではないのですが
韓国が中国と日本の間を逆鱗に触れぬよう泳いでいたのだとしたら…
その川が嫌韓で狭くなってしまい
韓国はさぞ泳ぎにくいだろうと同情をします。
旅先で出会った韓国人が優しかったからそう思うのかもしれません。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年09月04日 18:07
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