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ナムジャイブログ

2015年09月07日

中国人がいなくてよかった

 日本にやってくる中国人観光客事業にかかわる日本人から、こんな話を聞いた。
「旅行者はやはり個人でしょ」
 旅の本質とか、充実度といったことではない。個人旅行者しか儲からない……そう彼はいうのだった。
 日本にやってくる中国人観光客の多くは団体客だ。そして彼らが乗るバス、買い物をする店や食事をするレストラン……それらが中国人の経営だったり、中国の資本という傾向がますます強くなってきているのだという。典型は豪華クルーズ船でくるツアーらしい。観光や買い物は中国系旅行社で手配され、食事も中国人経営の店。自由時間はまったくない。泊まるのは船だから、日本側に落ちる金額はかなり少ないのだという。
 これは日本に限ったことではない。団体観光客を自国資本の店に囲い込んでいく方法は中国のお家芸というわけでもない。カンボジアのシェムリアップに行くと、コリアンレストランが目立つ。ここに韓国人の団体客が吸い込まれていく。韓国に環流していく金を、カンボジア人は指をくわえて眺めるしかないのだ。
 中国人団体客にそれが目立つのは、数の問題なのかもしれないが、中国の手法にはどこか覇権主義のにおいが漂ってきてしまう。中国が海外で受注した公共工事に似ている。中国は本国から機材や人を送り込んでくる。現場に立てる、『工事中』という看板までもってくる。それはネットの世界で。グーグルやヤフーを排除する発想と似ている。
 この手法は、戦後、日本の金融行政を揶揄する言葉として使われた護送船団方式を思い出してしまう。海外旅行も、それによって得る利益を中国系企業にうまく振り分けていく方法である。
 しかし旅行というものは、公共工事や金融行政に比べれば個人の領域が大きい。団体で日本にやってきた中国人にしても、次は個人で来てみたい……と思うようだ。当然のことだろう。自由であるほど楽しいものが旅である。
 そんな人は、日本人が書いた店へのコメントを見るそうだ。自動翻訳にかけると、だいたいの意味がわかるらしい。中国人は中国語サイトのこの種のコメントは信用しない。店側が書いていると疑っている。しかし日本人は、素直なコメントを書くことを知っているのだ。彼らから見れば、日本人は人のいい民族に映るのかもしれない。
 個人旅行の中国人のブログのなかには、「中国人がいなくてよかった」という内容がかなり増えているという。
 そして中国人の個人旅行者は、日本人が経営する店に足を運ぶ。
 説明が長くなってしまった。これが「旅行者はやはり個人でしょ」という真意である。
 しかし中国は膨大な人口を抱えている。沿岸部を中心に個人旅行者が増える一方で、内陸からの団体旅行者も増えていく。中国はひと筋縄ではいかない国だ。



Posted by 下川裕治 at 15:07│Comments(1)
この記事へのコメント
今日、パタヤで目撃したのですが
中国語の旗を持ったツアー会社の大名行列がビアバーなどいかがわしいお店しか無いソイを闊歩していました。

ウォーキングストリートならまだしもこんな所に…
どこのお店に入るという訳でも無いのに
何か楽しいのやら。
と思っていたのですが、そんな私も最初の海外旅行はHISの団体旅行
バンコク〜アユタヤで大名行列でした。
その後HISの自由行動プランを数回経て今の個人旅行になりました。

ちなみに私がそんないかがわしいソイを歩いていたのは本当に偶然でやましい気持ちなんか少ししかありません(笑)
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年09月12日 02:21
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