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ナムジャイブログ

2015年10月05日

駅のホームから眺める月

 僕のなかでは、月は鉄道に繋がっている。月をぼんやり眺めた記憶を辿っていくと、いつも列車や駅が蘇ってくる。
 以前、長い列車旅に出たことがあった。ユーラシア大陸の東端から西端まで列車で旅をするという企画だった。夜行列車に乗り続ける旅である。
 眠れない夜、デッキに立って空を眺める。半分ほどに欠けた月が出ていた。そのとき、列車はカザフスタンの乾燥地帯を西に向けて走っていた。
「そういえば、北京から乗った列車から見た月は満月だったな……」
 などと呟く。
 もう半月も旅を続けている。
 月というものは、どこか感傷を誘うようなところがある。
 2年をかけ世界を一周した知人と話をしたことがあった。
「夜、ゲストハウスかなにかの庭で月を眺めるでしょ。この月を日本人も見ているのかなぁなんて考えちゃいますよね」
 その気分は僕にもわかる。
 乾燥地帯の旅を続けていると、太陽の強さにへとへとになる。列車の車内に差し込む光は痛いほどだ。そして太陽が西に傾いていくと、車内にほっとした空気が流れはじめる。
 満月の夜、その光に照らされた砂漠をぼんやりと眺める。岩やオアシスの木々が青白く浮かび上がる。
 砂漠を進む隊商たちは、暑い時期には夜に移動したという話を聞いたことがある。
 乾燥地帯だから雲は少ない。満月の夜は、灯などなくても歩くことができる。
 先週、スーパームーンを眺めた。月が地球にいちばん近づき、大きくなる。その月をそう呼ぶようだ。
 夕暮れどき、東京の阿佐ヶ谷駅のホームにいた。少し気になって東の空を見ると、赤みを帯びた大きな月が、ぽっかりと浮かんでいた。
 たしかに大きな気がするが……。
 月や太陽は地平線近くでは大きく見える。しかしその理由ははっきりしない。家やビルと比較して見るため、大きく見える目の錯覚ともいわれている。
 ビルが多い東京では、地平近くの月を見ることができる場所は限られてしまう。駅のホームはそのひとつだ。
 やはり僕にとっての月は、鉄道につながっている。



Posted by 下川裕治 at 12:00│Comments(2)
この記事へのコメント
ここ数日忙しく疲れていたせいか、夜空を見上げることがなかったなぁと気付かされました。
涼しくなって空気が澄んできたので、きっと綺麗なお月様が…と早速ベランダに出てみましたが、今は見えず残念。
明日こそ見えますように。
Posted by たぬきまるようこ at 2015年10月06日 23:29
海外へ一人で行くと夜、なんだか寂しくなってしまう事があります。
そんな時に月を見ると何だかとっても不思議な気持ちになります。

海外に行くと、言葉が違う、匂いが違う、空の青さが違う、街並みが違う、食べ物が違う、でも月だけは日本と一緒。

日本から出たくてタイに行ったのに…
日本と変わらぬ同じ月を見ていると
ほっと安心しつつも、しみじみとしてしまう。
月を通して日本の家族と繋がっている気がするのです。
そんな不思議な気持ちになります。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年10月08日 17:41
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