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ナムジャイブログ

2015年11月02日

日本人を手配する中国人たち

 何年か前、電気量販店でパソコンを買った話を書いた。早朝から並び、3万円台のノートパソコンを買った。そのパソコンの調子がおかしい。再び、朝の6時に起き、量販店に向かうことになった。
 同じ量販店だったので、方法はだいたいわかっていた。朝から並び、整理券をもらう。それを8時過ぎに抽選引換券に替え、福引のときのような抽選器をまわす。ガラガラと呼ばれる道具だ。
 抽選は建前である。そうしないと徹夜で並ぶ人が出て、周辺の店に迷惑がかかってしまうからだ。一応、朝の6時から並んでいいという案内がチラシに書かれていた。
 並ぶのはほとんどが中国人である。おそらく転売が目的だと思うのだが、量販店もそれを防ぐために、ひとり1台しか売らない。今回は4種類のパソコンが、各200台用意されていた。
 駅からの道を進むと列が見えた。先頭グループは折り畳み式の椅子まで持ち込んでいた。
「ん?……」
 前回は中国人だったが、今回は日本人が数十人、列をつくっていた。煤けた男たちだった。ホームレスとはいわないが、その境界線をうろうろしているタイプである。老人が目立つ。
 そこに手配師らしき男が現れ、ひとり、ひとりに4万円ほどの現金を渡していた。当選すると、その場でパソコンを買うことになるが支払いは現金。それを男たちに配っていた。
 そこを通りすぎ、列の最後尾についた。もらった整理券の番号は300番台だった。人気の機種は早くなくなってしまう。僕がほしい機種を皆が狙っているなら、難しい順位だった。
 8時半過ぎ、先頭から抽選が始まった。煤けた日本人、そして中国人が次々に当選したパソコンを手に、会場から出てくる。皆、ブルーレイ付きパソコンで、僕のほしい機種とは違う。なんとかゲットできそうだった。
 そのとき、ひとりの煤けた男から声をかけられた。
「コウさんの知り合い?」
「はッ?」
 手にしたパソコンを届ける先を探しているようだった。
 以前に列に並んだときも、8割以上が中国人だった。転売目的であることはわかったが、自分たちで並んでいた。今回、彼らは貧しい日本人を動員してきた。中国人の指示で、日本人が列に並び、手数料をもらうのだ。
 もうそういう時代なのだろう。
 しかしなぜ、あの男は僕に声をかけたのだろうか。
 締め切りに追われている。寝不足が続いている。床屋に行く時間もない。そんな僕の風体が声をかけた理由だろうか。
 これはなんとかしなくてはいけない。


Posted by 下川裕治 at 15:23│Comments(3)
この記事へのコメント
いやはや中国人というものはその様な
人の使い方が上手いというか…
以前中国で新築マンションの抽選会も
田舎から来た出稼ぎの人を使って
同じような事をしていたような…
あさましいと言うか……
商売上手なんでしよう。

ところで下川さん。
髪の毛がポワポワしないクリーム
ちゃんとつけて行きましたか?
Posted by たぬきまるだいすけ at 2015年11月03日 03:26
最近の中国人のパワーには何かと圧倒されますね。
日本人も負けないようたくましく生きていかなければいけないのかもしれません。
それにしても、そんな風に手数料を払っても儲けが出るんですね。
中国国内で販売するのでしょうか。
Posted by たぬきまるようこ at 2015年11月04日 12:01
はじめまして。下川裕治先生の書籍やブログも参照して、中国に越境する日本人移住者(和僑)について研究をしてきました。 中国在住日本人500名以上のブログや取材記事情報もリスト化して、1年半にわたる中国居住生活と、そこで出会った500名以上の日本人移住者のビジネス・生活を描き現したエスノグラフィーです。小野真由美さんは早稲田の大学院で存じ上げているのですが、下川先生のご連絡先がわからず、こうしてご連絡をすることご了解ください。本のタイトルは『中国で生きる和僑たち -そのビジネス・生活』です。amazonで購入できるようになりました。
Posted by Cozy at 2015年12月09日 11:21
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