インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2016年01月04日

ビールのシンガポール式隘路

 間もなく1冊の文庫本が発売になる。『週末シンガポール、マレーシアでちょっと南国気分』。朝日新聞出版から発行が続いている週末シリーズの1冊である。
 このシリーズ本はバンコクにはじまり、台湾、ベトナム、沖縄、香港・マカオ、ソウルに続く1冊である。週末シリーズということになっているが、僕の本だから、ガイド的な要素は少ない。その国に踏み込んだ内容を書かせてもらっている。版を重ねているのは、アジアを描く書籍の多くが、観光に偏りすぎていたからのように思う。それだけアジアが身近な存在になっているのだろう。何回か訪ねていれば、「なぜ?」が生まれてくる。そんな疑問に、的確な答えを出すことができているかはわからないのだが。
 シンガポールでは昨年、困った法律が施行された。夜の10時半から翌朝の7時まで許可を得ていない店は、酒類を出すことができなくなったのだ。そこに追い打ちをかける新たな規制も発表された。「リカーコントロールゾーン」というもので、このエリアに指定されると、土曜日の朝7時から月曜日の朝7時までビールを飲むことができなくなってしまうルールだった。僕が根城にするゲイランとリトルインディアは、そのエリアになってしまった。
「夜と週末はビールもだめか」
 と天を仰いだが、この法律は公の場所だけが対象だった。
「公園や公道はだめってこと? だったら僕が毎晩座るホーカーズは、大丈夫じゃない」
 と胸をなでおろしたが、ホーカーズは実は公道の上にある店だ、という解釈は聞こえてきて、シンガポールのグレーゾーンに入り込むことになる。ホーカーズはシンガポール式の屋台村なのだが、個人所有ではなく、国家環境庁や住宅公団などが所有している。つまり公の場所なのだと……。
 一気にシンガポールの空に暗雲がたちこめてしまった。これは実際にホーカーズに座るしかない。しかし答えはでなかった。夜の10時半でビールが飲めなくなるホーカーズは多かったが、なかには12時近くまで飲むことができるところもあった。週末の対応もまちまちだった。
 原稿を書きながら、何回もシンガポールに住む知人に連絡をとった。
「状況、変わってきてますね。ホーカーズのなかに公道と公道ではない場所が存在するみたい。公道ではないテーブルは飲んでいいみたいなんです」
 とてもこのブログのスペースでは説明できないややこしいシンガポール式隘路だった。詳しくは本ということなのだが、本でも正確には書ききれなかった。ホーカーズに座ってみるしかない。ビールが面倒な街になった。


Posted by 下川裕治 at 09:40│Comments(3)
この記事へのコメント
なんとも息苦しい国になっていきますね。飲めないと言われると余計に飲みたくなりますね。

僕がまだ小学生の頃30年前ぐらいに
父親が何度か仕事で出張していました。

その頃の話で「これからマレーシアはどんどんすごい国になるぞ!」
確かに経済的には立派になったけれど
すごいの方向が変なところに向かってしまって居るのですね。

白河の清き流れに魚棲まず濁れる田沼今は恋しき
川柳の意図している事は違えどこんな気持ちです。
すこし濁れる場所を作ってほしいものです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年01月17日 17:17
あ、マレーシアでなくて
シンガポールの間違いでした。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年01月30日 21:46
父が出張して言っていたのは
マレーシアでなくシンガポールことでした。
間違いです。(恥&笑)
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年01月30日 21:48
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。