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ナムジャイブログ

2016年01月18日

蔡英文はきっと台湾の民度の象徴

 1月16日に日本に戻った。前夜、台北に降り続いていた冷たい雨を知らないような冬の青空が広がっていた。
 それが恒例のように、15日の夜、台北にいた。翌日に総統選を控えていた。台湾の総統選は、いつも、親中派の国民党と、中国と距離を置こうとする民進党の一騎打ちになる。今回は、ほぼ結果はわかっているという総統選だったが、その空気を味わいたかった。
 今回、民進党の最後の集会は、総統府前の凱達格蘭大道で行われることになっていた。これまでの選挙では、国民党がしばしば集会を開いた場所だった。そこで今回は民進党。やはり結果はわかっていたのかもしれない。
 民進党の前回の集会は、板橋の競技場だった。スタンドに座ってステージにあがる支持者たちを見ることができたが、今回は通りの特設会場。途中の道から支持者たちの列が続き、なかなかメイン会場に近づくことはできなかった。それでも人をかいくぐって前に進み、照明の台座によじ登ってステージを眺めた。
 雨具を着た熱心な支持者たちが前列を埋める。ステージでは支持者の演説や「ヒマワリ学生運動」のテーマソングを若者が歌う。それなりの盛りあがりはあった。
 民進党の総裁候補は蔡英文だった。
 地味な女性だった。4年前も立候補し、ステージにあがったが、ほかの政治家のようなオーラがまったくなかった。演説からもパワーが伝わってこない。国際経済法の学者だから……という人もいるが。
 民進党のなかでの党歴も長くない。新北市の市長選や前回の総統選に出馬したが、どちらも落選している。
「だからなんですよ」
 台北に住む知人はいう。8年間、国民党の馬政権が続いたが、その前は民進党の陳水扁が総統だった。しかし資金スキャンダルが表面化し、最終的には逮捕される。国民党に比べれば、清廉なイメージを前面に出していた民進党が抱えた現実はかなり重かった。そこからの脱却に8年かかったということかもしれないが、そのためには蔡英文という地味なキャラクターが必要だった気がする。
 開票結果は日本で知った。予想通り、蔡英文は680万票を得る大勝。立法院でも民進党は過半数を獲得した。
 翌日の日本の論調は、「台湾人意識」一色だった。たしかに世代交代的な意味合いは強い。中国か独立かという対抗軸のなかで生きてきた政治家の時代は終わったのかもしれない。しかし、そう決めつけることに、若干の違和感がある。
 経済力では、台湾は中国に大きく水をあけられた。そこで台湾が主張するのは民度のような気がする。初の女性総統はその対抗軸の象徴だった気もするのだ。



Posted by 下川裕治 at 18:36│Comments(1)
この記事へのコメント
中国をひどく憎んでいる訳では無いのですが・・・
台湾が香港のようにならないように中国と距離を置いてほしいです。
台湾が・・・香港もウイグルもチベットも独立した国として認められるようになればいいなぁと思います。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年01月30日 21:44
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