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ナムジャイブログ

2016年03月21日

最北端の駅の真贋

 いまロシアのムルマンスクにいる。昨夜遅くに、サンクトペテルスブルグからの列車で到着した。ユーラシア大陸の最南端駅から最北端駅まで、列車で縦断するという企画である。
 ユーラシア大陸の最南端の駅はシンガポール。そこを出発したのは、昨年の夏。マレー半島を北上し、ミャンマーをさらに列車で北に向かった。中国は雲南省から内モンゴル自治区へ列車で移動し、モンゴルを列車で抜け、シベリア鉄道に揺られた長い旅だった。途中、3回、日本に帰国した。
 ムルマンスク駅は北緯68度58分。北極圏である。ここまで北上すれば十分……という思いはったのだが、鉄道地理に詳しい人たちはそれでは許してくれない。日本人は厳密な人たちなのだ。
 そんな人たちが調べたところでは、ここからさらに100キロほど先の、ムルマンスク・ニケリ駅が、乗客が乗り降りする駅としては最北端なのだという。
 そこまで、いかなくてはいけないのか……。
 最後のシベリア鉄道は長かった。イルクーツクから列車に乗り、途中、クラスノヤルツクという街で1泊した。そこから再度シベリア鉄道に揺られた。3泊4日、列車に乗り続けてモスクワに。モスクワに着いた足でサンクトペテルスブルグ。ここで、揺れることがないベッドで眠りたかったのだが、翌日の列車は満席。しかたなく、そのまま列車で北上を続けた。
 クラスノヤルツクから列車に乗っている時間は70時間近くに達していた。かなり疲れていた。到着したムルマンスク駅の窓口で訊いてみた。
「あの……ムルマンスク・ニケリまでは?」
「列車はなくなりました。バスがあるだけですよ」
 やった。
 ということは、このムルマンスク駅が最北端駅ではないか。発券窓口のおばさんの背後に後光が射していた。
 おそらく乗客が少なく、ムルマンスクから先は貨物専用線になってしまったような気がする。いつもなら、こうして鉄道路線が少なくなっていくことに寂しさを感じるのだが、このときばかりは違った。駅前で万歳のポーズで写真を撮った。
 5日ぶりにシャワーを浴び、揺れないホテルのベッドで眠った。
 不快な目覚めだった。ムルマンスク・ニケリ駅が最北端ではなくなったことで、そう、ノルウェーのどこかの駅が最北端だ、と鉄道に詳しい人からいわれる夢を見てしまったのだ。
「仮にそうだとしても、ノルウェーまで行く気力はありません」
 夢のなかで訴えていた。
 誰に対して?
 相手の顔はよくわからない。僕に似ていたような気がする。



Posted by 下川裕治 at 13:10│Comments(2)
この記事へのコメント
学生時代にノルウェーのナルビク駅に行ったことがあります。それがノルウェー最北端の駅かと(トーマスクック時刻表の路線図上では)。ナルビクの緯度は北緯68度27分らしいので、ムルマンスクのほうが、北になるのではないでしょうか。
Posted by 浅井健太郞 at 2016年03月24日 13:59
とんでもない夢ですね!(笑)
PCの前で笑っちゃいました。
夢に見るほど恐怖しつつも
少し後ろめたかったのですね
『これでいいのか俺!』自問自答ですね。

発券窓口のおばさんの背後にさす後光・・・僕も見てみたいです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年04月02日 00:32
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