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ナムジャイブログ

2016年05月02日

ゴールデンウィークの部屋こもり

 ゴールデンウィークに入る前、奈良県の十津川村に行ってきた。『ノジュール』という雑誌の取材だった。
 旅に絡んだ取材は休日や連休を避ける。混みあう時期は、移動も大変になる。取材相手も観光客の対応に忙しい。かくして、世間がゴールデンウィークに入ったときには原稿に追われることになる。いくら行楽日和であっても。
 いまはボロボロの状態である。台湾の本の原稿を書かなくてはならない。6月に発売になる本のゲラも、読まなくてはならない。ユーラシア大陸最南端駅のシンガポールから、最北端駅であるロシアのムルマンスクまでの列車旅の本のゲラである。十津川村の原稿も締め切りがゴールデンウィーク明け。30分眠って、3時間原稿を書くような生活に陥っている。
 十津川村は、日本でいちばん長い路線バスに乗る旅だった。大和八木から新宮まで166.9キロを6時間半ほどで走る。それに乗り、途中の十津川村で途中下車。世界遺産に登録されている熊野古道を歩いた。
 世界遺産に登録されている熊野古道はいくつかある。そのなかで、十津川村を通っているのは、小辺路(こへち)と呼ばれる古道だ。
 熊野古道というと、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社への参詣道ということになっている。そのなかで小辺路は、熊野の神社と高野山を結ぶ道として知られている。
 十津川村で、この道に詳しい人たちから話を聞きながら、古道を歩いた。そこでこんな話を聞いた。小辺路は参詣道というより、生活の道だったのではないか……と。
 熊野三山から高野山、そして大阪へと続く道の中で、小辺路は最も短い道だった。尾根や谷を越えていく、参詣道というより登山道に近いが、歩いていたのはこのエリアの人々や商人も多かったという。
 日本に残るこの種の古道は、そんな性格をもったものが多い。世界遺産とか、観光のことを考えれば、参詣道といったほうが都合がいいからだ。しかし実際は生活の道という要素を兼ねていた。
 参詣道という解釈にもひねりが必要な気がする。日本人は参詣という宗教的な免罪符をつけながら、実際は旅という息抜きの要素を味わっていた。
 古道が整備されていった背後には、宗教とは無縁の仕事や生活が潜んでいる気がする。道とはそもそもそういうものだ。
 それに比べれば、いまの時代の旅はあまりにダイレクトだ。もう少し、昔のようなひねりがあってもいい気がしなくもない。
 しかし、今年のゴールデンウィークは、余裕がない。旅のシーズンに、部屋にこもり、原稿を書いている。
 このブログを書きあげたら30分ほど寝ることにする。起きたら原稿が待っている。

■このブログ以外の連載を紹介します。

○ユーラシア大陸最南端から北極圏の最北端駅への列車旅は、まもなく、ロシアに入国。
http://www.asahi.com/and_M/clickdeep_list.html

○人々が通りすぎる世界の空港や駅物語。1回目はマニラ。
http://dot.asahi.com/keyword/どこへと訊かれて/

○苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまはタイ南部をうろうろしてます。
http://tabilista.com/cat/se-asia/

○LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記は
http://tabinote.jp/


Posted by 下川裕治 at 14:04│Comments(2)
この記事へのコメント
熊野古道、なんだかとても魅力を感じる響きです。
昔の人たちはお参りの名の元に、なかなか行けない旅を楽しんでいたそうですね。
国内にはまだ行ったことがないところがたくさんあるので、たまには未体験の場所にも目を向けてみようかなと思います。
とは言え、今は沖縄に心をとらわれているような状態ですが・・・。
Posted by たぬきまるようこ at 2016年05月04日 23:24
下川さん・・・お疲れ様です。
GWだと言うのに原稿に追われているのですね。

旅と言う息抜きの要素、免罪符
面白いです!

昔の人は伊勢参りなど一生に一度は行くのが良しとされていたと聞きます。
これもまた旅をしたいから~
の免罪符と思うと何だか面白くなってきます

現代の僕もまた・・・
そんな免罪符が欲しいのです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年05月25日 01:11
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