インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2016年06月13日

一応全線に乗ったのだが……

 いま、タイのスパンブリーにいる。タイの鉄道にすべて乗るという取材を続けている。今日は朝6時に起き、ナムトックまで列車に乗り、折り返しの列車でノンブラドック。そこからスパンブリーが終点の支線に揺られてきた。
 この取材は東南アジアが対象なのだが、まずはタイの列車に全部乗ろうとした。主だった路線は以前に乗っていた。残っていたのは支線だけだったが、これが予想以上に大変だった。支線に乗るために、これまで乗った幹線に再び乗ったり、LCCを利用した。仕事のついでにバンコクを訪ねた折に、こつこつと乗りつぶしてきた。5ヵ月かかって、一応、全線に乗った。
 一応というのは、記憶が曖昧な路線がひとつだけあるのだ。ウドンターニーからノンカーイの間である。ノンカーイは若い頃から何回か訪ねていた。多くが夜行バスを利用したが、1回、列車を利用したことがあるような気がするのだ。
 数年前、列車でノンカーイに向かったことがあった。各駅停車に乗っていったのだが、その列車が遅れ、ウドンターニーで引き返してしまった。つまりウドンターニーから先は列車に乗っていない。その顛末は長くなる。「東南アジア全鉄道走破の旅」を検索し、この取材の連載をしているサイトで読んでほしいのだが、問題は、ウドンターニーからノンカーイ間に昔、乗ったかどうかだった。はっきりとした記憶が蘇ってこない。ということは、やはり乗っていないのだろうか。とすると、タイの国鉄の全線にはまだ乗っていないことになる。
 悩ましい話だった。この区間だけ、乗るために、またイサンに行かなくてはならないのだろうか。
 先週バンコクで講演があった。バンコクでロングステイをしている人たちのグループに呼ばれた。どんな話がいいのだろう、という相談で、この列車旅を伝えると、「おもしろいのでその話にしてください」ということになった。
 講演は無事に終わったが、そのなかで、こう話した。
「日曜日にナムトックとスパンブリーに行きます。もし都合がつけば、一緒にどうでしょうか。講演が終わった後で、声をかけてください」
 しかし講演の後、僕に声をかけてくる人は誰もいなかった。ロングステイの会のメンバーは70歳代の人も多い。自分には大変だと思ったのだろうか。帰りながら自問する。
「話は聞きたいが、そんなばかばかしい旅を誰がしますか」
 そう思っているようにも思えた。
 冷静になって考えてみれば、タイの鉄道に全部乗ってなんだというのだろう。
 しばし落ち込む夜だった。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=ユーラシア大陸最南端から北極圏の最北端駅への列車旅。ロシアに入国。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまはタイ南部をうろうろしてます。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 13:41│Comments(2)
この記事へのコメント
下川先生のファンです。
本はほとんど全て持っています。
ウェブの連載も読んでいます。
新刊発売記念イベントにも何回か行きました。
私だったら、下川先生と少しでも一緒に旅ができるなんて夢のようですが。。
Posted by りゅうじ at 2016年06月23日 01:31
ファーランポーンから夜行列車でノンカーイまで行きました。
そこからラオスに行ったのですが・・・
多分その手前でウドンタニを通っています。
下川さんがもし行っていなかったら・・・
僕は下川さんの未踏の路線をよだれを垂らし寝ながら
通過したという事になるのでしょうか(笑)

・・・下川さんなら多分通っていますよね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年06月27日 02:17
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。