インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2016年09月19日

おもてなしという自己満足

 読売新聞アジア国際版に面白いコラムをみつけた。上海に住む知人の萩原晶子さんが書いていた。
 上海式サービスの話だ。上海では、過剰ともいえるサービスがうけているのだという。オープンした上海ディズニーランドでも、スタッフがしきりと入場客に話かけるらしい。写真を撮るなら、ここからのアングルがいいですよ……などと。飲食店も、過剰サービス店が店舗を増やしているという。その内容を読むと、日本人なら腰が引けてしまいそうだが、上海人はこのほうがいいらしい。
 話は当然、日本式の「おもてなし」に発展する。日本を訪ねた上海の人たちは、日本式のサービスを絶賛する。しかし上海では、無理やりとも思えるサービスが受けるのだという。そのあたりを、萩原さんらしい筆致で描いていた。
 その感覚がよくわかる。
 こういうことをいうと反感を買うかもしれないが、日本人が口にするおもてなしは自己満足の領域に映る。自分たちが提供するサービスを、世界の誰もが理解して受け入れているとは限らないからだ。
 たとえば、バングラデシュ。訪ねたい場所までの道を人に訊く。すると、必ずといっていいほど、道を教えてくれるのではなく、その場所まで連れていってくれる。ときに自転車リキシャを止め、一緒に乗ってくれる。自転車リキシャ代は僕が払わなくてはならない。金がない旅行者だったからけっこう応えた。
 しかし彼らに文句をいうつもりはない。彼らの誠意なのだ。バングラデシュ流おもてなしでもある。いい人なのだ。
 たとえば日系航空会社の客室乗務員のサービス。乗客の要求に応えるだけでなく、乗客の思いを察知して、それを提供するという発想だと聞いた。のどが渇いた表情というものがあるのかわからないが、そういうサインを察知して、「お茶をお持ちしましょうか」と声をかけるサービスである。読み違いはあるだろうが、乗客は悪い気はしない。きっと、「いいサービス」と評価するのだろう。
 日本にやってきた中国人も同じだろう。彼らも日本式のサービスを理解する感性をもっているから、それを絶賛する内容を微信などで発信する。しかしそれを自国のサービスにとり込もうとはしない。中国人と日本人は感性が違うことを知っているからだ。
 おもてなしとは、本来、自然に出てしまうサービスだと思う。今の日本は訪日客の増加で、過剰なおもてなしが幅を効かせているが、やがて疲れてくる。そこからが本来のおもてなしの世界に入っていく。外国人は怖いほどにそのサービスを感じとる。海外にいったときを思い出してほしい。それと同じなのだ。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=台湾のディープ旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。マレーシアの鉄道の完乗し、ベトナムへ。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:28│Comments(2)
この記事へのコメント
初めてマレーシアに行ったときに戸惑ったことを思い出しました。
どの接客スタッフも(中華系は違いましたが)愛想がなく睨むような視線で、それまでタイや台北、韓国しか行ったことがなかった自分には、あまりの違いにちょっと気持ちが萎えてしまったくらいです。
でも、そう言った対応が当然の環境に生活する人々からしたら、他人にニコニコして接する日本人などは、逆に不気味に感じるのかもしれませんね。
でも、私は過剰にならない程度の日本の「おもてなし」は結構好きです。
Posted by たぬきまるようこ at 2016年09月28日 13:14
バングラデシュの人優しいですね。
きっと教えたいけど話せない、伝えられないのですかね。
海外の人に地図を書いてもらうと時々とんでもない物を描いてくれることがあります。絶対たどり着けないような、、、

でも必死に描き馴れない地図を描いてくれると親切さが嬉しかったりします。

おもてなし、親切ってその国の特徴が色濃く出るのかも知れないですね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2016年10月18日 19:58
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。