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ナムジャイブログ

2017年02月06日

タイ人はやはりわからない

 タイ人と接するようになって、かれこれ40年もたつのだが、やはりわからない人たちだと思う。
 先日、ある食事会に誘われた。なんでもオンヌット通りの先のほうに、すごくおいしいシーフードの店があるのだという。食事会は金曜日の夜だった。皆、会社からタクシーに分乗して向かうという。その車に乗せてもらうことにした。
 あたり前の話だが、金曜日の夕方は渋滞が激しい。いつもは、「金曜日の夕方なんてひどい渋滞だから、タクシーなんて乗らない」といっていたタイ人が、皆でタクシーに乗るという。僕は途中までBTSで行ったほうがいいんじゃ……といったが、即座に却下された。食事会に行くときは、皆でタクシーということらしいのだ。
 しっかりと渋滞につかまった。車はまったく動かない渋滞である。結局、目的の店に着くまで1時間半もかかってしまった。
 皆、空腹である。エビや魚の鍋、カニ入りチャーハン、タイ風のさつま揚げ、魚のすり身を使ったおつまみのような料理……をがつがつと食べる。僕はビールを飲んだが、ほかのメンバーは、食べることに集中している。
 1時間ほどで食べ終わった。ひとりがメニューをスマホで撮り、なにやらメモをとっている。訊くと、こんな言葉が返ってきた。
「おいしかったから、次に頼むものを決めていたんです」
「また来るのか……」
 どれも満足できる味だった。料金も高くない。しかし、遠い。
 すると皆、帰り支度をはじめている。家の方向と渋滞を考えて、タクシーの分乗メンバーが決まっていく。まだ渋滞が残っている。帰りも1時間以上か……。店を出て夜空を見あげてしまった。
 やはりタイ人はわからない。
 タイに関する本が発刊される。『週末ちょっとディープなタイ旅』(朝日文庫)。そのなかで、プミポン前国王の死去にかかわる話も加えた。皆、黒い服装で喪に服した。しかし、仕事が休みになるわけでもない。そして、実際はいったいいつまで……と訊きたくなるほど、喪の期間はだらだらと続く。
 服飾業界は、次々に新しいデザインの黒い服をつくる。プミポン前国王はラーマ9世だったから、「9」の文字が入ったTシャツが売れていく。こんな商売をしていいのだろうか。日本の喪とはあまりに違う。そこから見えてくるタイ中間層の発想にも、タイ人はあまり関心を示さない。
 やはりタイ人はわからない。
 永遠にわからないのかもしれない。
 タイの本を書くときに、いつも味わう戸惑い。それは、本を何冊重ねてもかわらない。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドでいちばん長い列車の旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 14:05│Comments(1)
この記事へのコメント
タイの人たち…車の中にいる時間は
たとえ渋滞であってもサバーイなんですかね。

どこかで聞いた事あるのですがマイカーの中では渋滞でもストレスにならない
と聞いたことがあります。

どこか…ドライブ感覚なのですかね?
Posted by たぬきまるだいすけ at 2017年02月14日 19:58
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