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ナムジャイブログ

2017年03月06日

厳冬のシベリア鉄道から

 このブログは、週末には書くように心がけている。そのときに日本にいるとは限らず、海外のホテルや空港などで書くこともある。飛行機のなかで書いたことはある気がする。しかし揺れる列車やバスのなかで書くのは、なかなか難しい。
 しかしいま、列車のなかでこの原稿を書いている。アジアの列車に比べると揺れが少ない。なんとか気分が悪くならずに書き進められる。
 シベリア鉄道に乗っている。これまで4回ほど、この鉄道には乗った。しかし始発から終着駅まではさすがに長く、一気に乗ったことはなかった。今回はその最長区間に乗っている。ウラジオストクからモスクワまで6泊7日。いま4日目だ。
 1週間乗り続けるということは、このブログを書く週末が含まれてしまう。そう考えると、やはり長い列車旅なのだ。
 先ほど、エニセイ川に沿ったクラスノヤルスクに20分ほど停車した。気温は氷点下だが、2日前のマイナス20度エリアに比べれば、ずいぶん楽になった。
 車窓に目をやる。雪に覆われたシラカバの林が延々と続く。延々という言葉も、シベリアでは意味が違ってくる。最低でも2~3時間、いや半日……同じ風景が続く。その奥に広がるのはタイガの森だろうか。音ひとつしない。静寂がシベリアの森を包んでいる。
 しかし気分は少し楽になってきている。ウラジオストクからハバロフスクを経て、バイカル湖に近いイルクーツクまで3日列車に乗った。ハバロフスクからイルクーツクまでは寒かった。マイナス20度を下まわっている気がした。停車駅でホームに降りるのだが、3分もいられなかった。
 森には生き物の気配すらなかった。渡り鳥は皆、南に移動しているのだろう。イルクーツクに近づき、川沿いに黒い中型の鳥を目にしたとき、なにかほっとした。あれはカラスだろうか。
 なんとか原稿は書けそうだが、これをどうやって送るかという問題が残る。ロシアのインターネットシムカードをウラジオストクで入れた。電波を拾えば、テザリングができるので送信できる。しかしシベリアは広い。圏外になってしまうことが多い。仮に電波があっても弱かったり……。
 平均すると4、5時間に1回は停車する。大きな街だ。そこでは忙しくなる。キオスクや駅前の売店で食料を補給しなくてはならない。言葉が通じないから思うように買うことはできない。気分転換でホームを歩いたり、少しは運動をもしたいのだが、ネットをつないで原稿を送らなくてはならない。そのためには車内に戻ることになる。
 急いでネットに接続し、作業を進めていくと発車する。そして5分もすると電波は消えてしまう。そのあとはもう、ただ雪原を眺めるしかない。長い旅だ。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドでいちばん長い列車の旅を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 12:45│Comments(1)
この記事へのコメント
移動中の列車は電波のない世界・・・
それが数日にもわたるなんて。。。
瞑想でもしていたら悟りが開けそうな時間ですね。
時々オアシスのように現れる駅では、
電波を拾ったり食料を調達したり・・・
いつかは乗ってみたいです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2017年04月04日 10:08
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