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ナムジャイブログ

2017年04月10日

桜の下で酒を飲む日本の美学観光

 日本は桜の季節を迎えている。
 3月の末、バンコクから香港経由で帰国した。日本行きの飛行機は、混み合っていた。やっと確保できた便は午前3時台にバンコクを出る便だった。
 乗り込んでみると、機内を埋めるのはタイ人と香港や中国からの人ばかりだった。隣に座ったタイ人は、東京に桜を見にいくのだという。毎年のことらしい。
 数年ほど前から、日本に向かう便に乗る外国人が増えてきた。それまでは日本人の割合が圧倒的に多かった。ようやく日本に絡んだ便もグローバルスタンダードということだろうか。
 花見にやってきた世界の人々が戸惑うことに、日本人の酒の飲み方がある。日本は世界的に見ても、飲酒に寛容な国だ。戸外で人が集まり、酒を飲むことが禁じられている国は少なくないからだ。
 酒と煙草。世界では、このふたつへの風当たりが強い。
 インドネシアでは、昨年あたりから、コンビニでビールを買うことができなくなった。イスラム原理主義の影響か……とも思ったが、ちょっと違う。そのきっかけはスラバヤだった。若者がビールを飲み、騒動を起こしたことがきっかけだという。
 シンガポールでも公共の場所では、夜の10時半から翌朝の7時まで酒類の販売が禁止されるようになった。さらに酒類制限地域がつくられた。リトルインディアやゲイラン地区で、そこでは土曜日の朝から月曜日の朝まで酒を飲むことができない。そのきっかけは、リトルインディアで酒に酔った男たちが起こした騒乱だった。
 タイは酒類の販売時間が制限されていたのだが、軍事政権になり、列車の車内が禁酒になった。ロシアも列車内では酒を飲むことはできない。
 それぞれの事情があるが、飲酒が引き起こす騒乱を政府は警戒する流れである。
 ところが、桜の季節に日本にやってくると、昼間から公園などで酒盛りである。日本人は酔うこともなく、おとなしく飲んでいるかというと、そうでもない。泥酔する人もいる。ときに喧嘩も起きる。
 桜見物にやってきた人は、日本はなんと寛容な国かと思うのかもしれない。
 酒が引き起こす騒乱。それはおそらく、人々が抱えるストレスにつながっている。ということは、日本人は世界の人々に比べて、ストレスを感じていないのだろうか。そういうと、多くの日本人は首を傾げるだろう。しかし日本人は習慣として、酒を飲む花見を受け入れる。
 桜は日本の財産だろう。それを見に世界の人々が訪れる。しかし、彼らが見たいのは、桜の下で酒を飲む日本人の美学なのかもしれない。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=タイからラオスへの旅。そして、世界の長距離列車旅を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 19:55│Comments(0)
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