インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2017年05月15日

アジアの田舎がロサンゼルス化する

 アジアの地方都市に向かうことが多い。首都は巨大化し、そこに暮らすアジア人はここ10年、急速に増えた中間層が多い。彼らは世俗化し、保守化の道を進んでいる。それはなにもアジアに限ったことではないが、守りに入ってしまった人々の街はつまらない。無鉄砲な、弾けるエネルギーが薄れていく。気が遠くなるようなゆるさも入り込まない。
 しかし最近のアジアの地方都市で困ることがある。車社会が広まってきていることだ。ミャンマーもその傾向が強い。タイなどは車がなかったら、食事にも行けない街がある。
 旅行者は困るのだ。かつては市場の周りに規模こそ小さいが、アジアのにおいを振りまく店が集まっていた。
 知らない街を訪ねるから、ホテルの場所もわからない。ミャンマーは外国人が泊まってもいいホテルは限られているから、どうしてもバイクタクシー頼みになる。そのホテルの周りに、1軒の店もないと悩んでしまう。ホテルのフロントに訊くと、バイクで10分ほどのところにおいしい店がある……などと教えてくれるのだが。
 車社会で車がない旅行者は、自分で店を探すことができない。かつてはよく、市場の周りをうろうろしたものだった。どの店にしようか……。勘が頼りだった。混み合っているからおいしいのかもしれない。あのテーブルに置かれているのはどんな料理だろう。そうして入った店で、ときに失敗もするが、絶品に出合うこともある。失敗したときは、こう思う。明日は隣の店だ……。
 車社会はそういうことができない。教えられた店しか選択肢がない。
 アメリカのロサンゼルスがそんな街だ。何回か訪ねているが、いまだに街の感じがつかめない。店の情報はあるが、車がないから、チェーン店のジャンクフードのテイクアウトで終わってしまう。
 アジアの地方都市は、こぞってロサンゼルス化が進んでいるということか。
 車社会はインターネット社会によく似ている。はっきりした目的があるときは的確な情報が手にはいるが、1軒の店を訪ね、隣のほうがよさそうだ……といって違う店に入る偶然性がない。手に入る情報は他人が発信したものだ。自分でみつけた店ではない。街全体の姿が見えにくく、点の情報だけが入ってくる。
 車社会の旅は、インターネットに頼る旅になっていってしまう。もし、自分好みの店を探したいのなら、店が集まっている都会に腰を据えるしかない。
 保守化した大都市を嫌って地方に出てもそこには車社会が待っている。
 これから、どうやって旅をしたらいいのか。バイクの後部座席に座りながら悩んでいる。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=タイからラオスへの旅。そして、世界の長距離列車旅を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。難関のミャンマーの列車旅が続く。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 13:59│Comments(2)
この記事へのコメント
GWに下川さんの本片手にラオスのタラートへ行ってきました。失敗したら隣のお店、、、という訳にはいかない街の規模でしたが、何もなくても満たされた休日を過ごせました。
Posted by J110 at 2017年05月19日 21:31
食事で失敗するのは悲しい。
だって車でわざわざそこまで行って
残念な料理だったりした時には悔しさが倍増しますよね。

念入りな聞き込みが大事になってきそうですが…
アメリカ人は味覚がぶっ飛んでいる人多いイメージ、聞く人を慎重に選びたいです。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2017年07月18日 18:02
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。