インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2010年02月03日

もう明洞へ行くのはやめよう

 日曜日の夜だったからなのかもしれない。一軒のタッカルビの店。小さな店ではなかったが、気がつくと、周りにいるのは日本人だけだった。
 まるで日本にいる気分だった。
 明洞──。ソウルの中心街である。
 3日前にタイから東京に戻った。自宅に2泊し、韓国のソウルに向かった。各駅停車に乗る旅の取材だった。
 釜山駅を夕方に出発した列車に乗り、倭館という小さな駅で降りた。気まぐれ旅だった。駅前の旅館に荷物を置き、夕飯を食べに出た。
 韓国の田舎町では食事に困る。韓国の人々は、顔立ちや発想が怖いほど日本に似ているというのに言葉が通じない。メニューにはハングル文字だけが並び、とりつくしまもない。英語や日本語を口にしても、頼りない笑みが返ってくるばかりだ。もちろん漢字の筆談にも頼れない。
 結局、あてずっぽうにメニューを指差すことが多い。それでもはずさないのが韓国料理なのだが、いったいなんという料理を食べたのかもわからない。
 そんな田舎を経てソウルに入った。ソウルのなかでも明洞だけが違う。ここだけがみごとなほど日本語が通じる。店のメニューには日本語が躍る。一辺が500メートルほどの土地に、日本語が通じる店が詰まっている。
 昨年、280万人の日本人が韓国を訪ねた。国単位でみると中国が300万人強。韓国は2番目である。しかし中国は広く、北京、上海、大連……と訪れる日本人は散らばる。しかし韓国は、大多数の観光客がソウルに集まっている。そしてその多くが言葉に困り、食事どきになると明洞に集まってくる。
 その日本人密度には言葉を失う。一瞬、ここは日本ではと思うことすらある。
 タイを訪れた日本人は、昨年、84万人ほどだった。その多くがバンコクのスクンビットやシーロム界隈に集まってくる。その一帯に足を踏み入れると日本人が多さに驚くが、明洞はその比ではない。タイの3倍を超える日本人が、はるかに狭い一帯に集まってくるのだ。そして明洞を一歩離れると、突然、ハングル一色の世界に放り込まれる。
 日本租界……。
 明洞でタッカルビを口に運びながら、そんなことを考えていた。もう明洞で食事をするのはやめよう。僕のような人間は、そうするべきだと呟いていた。


Posted by 下川裕治 at 15:06│Comments(1)
この記事へのコメント
【植民地時代の地名がまだあちこちに】「慶北漆谷(キョンブク・チルゴク)郡の倭館(ワグァン)邑は1905年、京釜線鉄道が開通し、駅名を倭館駅と命名し、地名として定着した。チャン・ヨンボク漆谷文化院長は「一時、地名の変更が検討されたが、朝鮮時代にも倭館という名前があり、費用もかかるため保留となった」と述べた。2010年02月03日15時09分 / 提供:中央日報」
「倭館(ワグァン)」が気になったので調べてみました。
倭館(ワグァン)はテグ・大邱の次の停車駅とか。その次の駅は亀尾(クミ)駅。
今回は韓国のローカル線の旅ということですが。
言葉が通じないのはつらいですね。
みなみやまは韓国ではテンジャンチゲ(大豆味噌汁)を最近は食べます。
テンジャンチゲ(味噌汁) イッソヨ(ありますか)?
です。おかずとご飯がついてきます。
昨年夏は、カンボジアのプノンペンの韓国レストランで食べました。このフレーズは便利です。
Posted by みなみやま at 2010年02月08日 21:00
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。