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ナムジャイブログ

2017年12月04日

手錠をはめられていたタイ人

「楽になった……」
 渋谷の地下鉄で、あたり前のように自分で切符を買うタイ人をつい見つめてしまった。買い方を説明する必要もない。はじめて日本にきた初日。彼らはもう自分で切符を買う。
 画面を見ると、英語に切り替えている。こんなことがどうしてわかったのだろう。
 バンコクを走る、BTSやMRTに慣れたためだろうか。英語に対する抵抗感は薄くなった。難しい英語ではないが。
 久しぶりに日本にやってきたタイ人を案内した。以前はもう、手とり足とり状態。地下鉄の切符も買ってあげた。おそらく発券機には英語もあったと思うが、なにもかもわからない……という感じで、発券機に近づこうともしなかった。
 ここ5年ほどで、タイ人は大きく変わった。海外に出ても物怖じしなくなった。やってきたタイ人は8人だったが、そのひとりは、地下鉄の車内で日本人と英語で話していた。込み入った話は難しいが、「タイから来た」ぐらいの英語をしゃべる。
 おそらく海外旅行にでかけた日本人より気楽に現地の人と話をする。タイ人の社交性がプラスに働いていた。
 さまざまなシステムがバンコクに似ているから戸惑うこともないのだろう。エスカレーターの乗り方。料金を払う方法、トイレマークを見つけ、「ちょっと行ってきます」と声をかけて走っていく。そうトイレマークをいまのタイ人はすぐにわかる。コンビニやファストフードはそのシステムも同じだ。
 どこか歩き方も堂々としている。
「次はひとりでも来れそう」
 ひとりのタイ人がそういった。
 2日前、台北の空港にいた。隣の搭乗口はハノイ行きのベトナム航空だった。出発が近づき、30人ほどのベトナム人が台湾人につき添われて現れた。全員、手錠をはめられていた。若い男女の集団だった。おそらく皆、不法就労だろう。
 日本と同じだった。一度、テレビの収録に立ちあったことがある。不法就労のひとりのタイ人の帰国を追いかけた。その女性と同じ便を僕らもとった。
 その女性は入国管理局に出頭した。子どもを身ごもっていた。2週間ほど収監された。搭乗口で待っていると、その女性が、入国管理局の職員に付き添われて現れた。タイ人らしい笑みを送ってきた。しかし手錠がはめられていた。
 手錠をはずすのは搭乗券を切る直前だ。それまで横にぴったりと職員がつく。
 不法就労のベトナム人を本国に送還する台湾の段どりを見ながらあのシーンを思い出してしまった。
 あれから15年。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドネシアの列車旅。ジャワ島編からスマトラ編へ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載がはじまった。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:39│Comments(1)
この記事へのコメント
英語を話せるタイ人が増えてきた
気がします。

東京駅でディズニーランドに行きたいとホームで聞かれたことが有ります。
話しているうちにタイ人だという事がわかったので話が弾み
舞浜方面のホームへ案内しました。
その後も注意してみているとタイ人の観光客はここ数年で増えているように感じます。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2017年12月12日 15:20
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