2018年01月08日
山道を歩いてみようと思う
2018年になって1週間がすぎようとしている。
昨日、鎌倉の山を歩いた。建長寺から瑞泉寺までの尾根道。ゆっくり歩いても3時間ほどの気楽なハイキングだ。
最近、足の筋肉の衰えを痛感するようになった。国内外を問わず、取材で坂道や階段をのぼることがときどきある。
年末にも中国の新疆ウイグル自治区の庫車(クチャ)から80キロほどのキジル石窟を訪ねた。ほぼ垂直にそびえる崖に掘られた石窟をめぐっていくのだが、その途中は階段になっている。そこをのぼりながら、何回か休んでしまった。以前なら、軽々とのぼったような気がする。
年とともに、筋肉が落ちてきていることがよくわかる。これは鍛えるしかない。
鎌倉の山を歩いたのは、そのためでもあった。これから月に1回ぐらいは、山道を歩こうと思う。幸い、混み合う休日を避けることができる仕事である。仕事の合間を縫って、平日に、高尾山や丹沢に足を向けることは難しくない。
鎌倉の山道をぽつぽつ歩きながら、冬場の東京の近郊の山はいいと思った。登山道は、うっすらと落ち葉が積もって歩きやすい。天気もよかった。はじめは厚手のジャンパーを着ていたが、しだいに汗ばんでくる。太陽が当たる道はことのほか明るい。
木の切り株に座って休んでも、不快な虫がいない。東京近郊の低山は、夏場は蚊に悩まされる。丹沢は梅雨にのぼると山ヒルが大変らしい。そういう虫が姿を消す冬の山はいたって快適なのだ。
日本のなかでも、冬の山歩きが心地いいエリアは限られる。東北や北海道になると雪の世界になってしまう。東京から南の太平洋沿岸だろうか。次は伊豆の山もいいかもしれない。
そんなことを考えながら山道をひとりで歩く。そのうちに、これはまずいのではないか……と思った。また、ひとり遊びなのだ。それが年をとったということなのかもしれないのだが、最近、ひとりでいることが多い。
かつて開高健がいった言葉を思いだす。
「酒はひとりで飲んではいけない。楽しすぎるからだ」
山歩きもそれに通じるものがある。
気難しそうな老人の姿が浮かんでくる。楽し気に話をしながら山道を歩くグループの脇を、ただ黙って歩いていく老人。どこかストイックで、話しかけるのもはばかられる。その道を進んでいるような気にもなる。
新年から仄暗い話になってしまった。
しかし今年はできるだけ、山を歩いてみようと思う。仕事ばかりに追いまくられる日々をなんとかしないといけないと思っているからだ。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドネシアの列車旅。ジャワ島編からスマトラ編へ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
昨日、鎌倉の山を歩いた。建長寺から瑞泉寺までの尾根道。ゆっくり歩いても3時間ほどの気楽なハイキングだ。
最近、足の筋肉の衰えを痛感するようになった。国内外を問わず、取材で坂道や階段をのぼることがときどきある。
年末にも中国の新疆ウイグル自治区の庫車(クチャ)から80キロほどのキジル石窟を訪ねた。ほぼ垂直にそびえる崖に掘られた石窟をめぐっていくのだが、その途中は階段になっている。そこをのぼりながら、何回か休んでしまった。以前なら、軽々とのぼったような気がする。
年とともに、筋肉が落ちてきていることがよくわかる。これは鍛えるしかない。
鎌倉の山を歩いたのは、そのためでもあった。これから月に1回ぐらいは、山道を歩こうと思う。幸い、混み合う休日を避けることができる仕事である。仕事の合間を縫って、平日に、高尾山や丹沢に足を向けることは難しくない。
鎌倉の山道をぽつぽつ歩きながら、冬場の東京の近郊の山はいいと思った。登山道は、うっすらと落ち葉が積もって歩きやすい。天気もよかった。はじめは厚手のジャンパーを着ていたが、しだいに汗ばんでくる。太陽が当たる道はことのほか明るい。
木の切り株に座って休んでも、不快な虫がいない。東京近郊の低山は、夏場は蚊に悩まされる。丹沢は梅雨にのぼると山ヒルが大変らしい。そういう虫が姿を消す冬の山はいたって快適なのだ。
日本のなかでも、冬の山歩きが心地いいエリアは限られる。東北や北海道になると雪の世界になってしまう。東京から南の太平洋沿岸だろうか。次は伊豆の山もいいかもしれない。
そんなことを考えながら山道をひとりで歩く。そのうちに、これはまずいのではないか……と思った。また、ひとり遊びなのだ。それが年をとったということなのかもしれないのだが、最近、ひとりでいることが多い。
かつて開高健がいった言葉を思いだす。
「酒はひとりで飲んではいけない。楽しすぎるからだ」
山歩きもそれに通じるものがある。
気難しそうな老人の姿が浮かんでくる。楽し気に話をしながら山道を歩くグループの脇を、ただ黙って歩いていく老人。どこかストイックで、話しかけるのもはばかられる。その道を進んでいるような気にもなる。
新年から仄暗い話になってしまった。
しかし今年はできるだけ、山を歩いてみようと思う。仕事ばかりに追いまくられる日々をなんとかしないといけないと思っているからだ。
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドネシアの列車旅。ジャワ島編からスマトラ編へ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
Posted by 下川裕治 at 10:22│Comments(0)
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