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ナムジャイブログ

2018年01月22日

モンスーン体質

 バンコクから台北に向った。午前2時台というつらい時間帯の飛行機だった。空港を出ると小雨が降っていた。傘をさすほどではないが、そのなかを歩くと髪が濡れるような雨だった。台北駅に着き、安宿のベッドで布団にくるまった。
 風邪が、なかなか抜けない。喉と頭が痛い。台北では人の関係とお金が絡んだ交渉が待っているから、気分も思い。
 3時間ほど寝ただろうか。シャワーを浴びて街に出る。朝からなにも食べていないことに気づいた。宿の近くの麵屋でワンタン麵を食べる。1杯40元。日本円で150円ほどだろうか。麵を啜りながら、「あったかい」とつい呟いてしまった。
 バンコクに比べれば、だいぶ気温がさがっているはずだ。部屋を出る前に、下着の上に長袖シャツを着て、ジャンパーを羽織っている。麵が温かいと思える気候になった。
 約束の場所に向かって、台北の街を歩いていた。
 おやっと思った。なんとなく楽なのだ。喉の不調、重い頭……。劇的に治ったわけではない。薄紙が1枚はがれた感覚……。
 打ち合わせは長く続いた。夜も8時をすぎた台北の路地を宿に向かって歩いた。どこからともなく、滷味のにおいが漂ってくる。ルーウエイと読む。漢方薬や醤油が入り混じったような台湾のにおいだ。滷味と看板に書かれた食堂も少なくない。どこかほっとするにおいでもある。
 翌朝は、午前6時の関空行き飛行機だった。午後3時から名古屋で講座が待っていた。それに間に合わせるためには、この時間になってしまう。
 台北から名古屋に向かう便もあった。しかし高かった。
 台北の宿を午前3時に出た。台北の街はまだ雨が降っていた。小雨である。そのなかを台北駅脇のバスターミナルに向かう。
 日本はいい天気だった。関西空港から南海電鉄で難波に出た。近鉄で名古屋に向かうつもりだったからだ。
 電車が、天下茶屋をすぎたあたりだろうか。
 体が、ふっと軽くなるような感覚があった。また1枚、薄紙がはがれた?
 台北以来、僕が気になっていたのは湿度だった。気温がさがっていくので気づきにくかもしれないが、体調がよくないときにこのルートを辿ると、体が湿度に反応しているのがわかる。モンスーン地帯の湿度の高いエリアに入っていくのだ。
 すると少しずつ風邪が治っていく。
 僕はモンスーン体質なのだと思った。
 名古屋駅に降りたとき、ビルの間にのぞく空を見あげてしまった。日本の空はなんと穏やかなのかと思った。きっと風邪が治ったのだろう。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=インドネシアのスマトラ編が終わり、ベトナムの旅がはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 12:05│Comments(0)
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