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ナムジャイブログ

2018年02月05日

ホンコンやきそばにそそられる

 先日、東京のある中国料理店に入った。それほど大きな店ではなかったが、3代続く老舗だという。メニューを開くと、赤い文字で書かれた料理があった。
 香港やきそば──。
 なんでもこの店のベスト3に入る料理なのだという。
 だったら食べてみようか……ということになり、焼売と一緒に頼んでみた。
 なかなかボリューミーな1品だった。柔らかめの麵に多めの野菜が入っている。味付けはオイスターソースだった。
 香港やきそばという名前が気になった。香港で食べたことがなかったからだ。支払いついでに、主人に訊いてみた。
「どうして香港やきそばっていうんです?」
 するとご主人はちょっと困ったような顔をした。
「先代が名づけたようです」
 日本の中華には、その意味で謎の料理がいくつかある。天津丼、麻婆丼、中華丼……どれも中国で食べたことがない。いや、中国には存在していないはずだ。天津甘栗の類なのだろうか。
 やきそばをネットで検索してみた。そこで出てきたのが、上海やきそばや台湾やきそばだった。どれも上海や台湾では目にしたことがない。
 調べると、柔らかめの麵に、豚肉、ニラなどを入れ、オイスターソースで味を調えたものを香港やきそばというらしい。上海やきそばや台湾やきそばとの区別となるとかなり曖昧な世界に入り込む。
 やきそばに香港や上海と名づけることに文句いうつもりはない。気になったのは、なぜ中華の世界に、地名入りメニューが多いのかということだった。
 やはり中国料理の存在感と密度の問題だろうか。
 料理名に中国の地名をつけるのは、売りあげが増えることを願ってのことだ。日本人は中国系の地名がついていると、食欲をそそられるらしい。しかしどこか時代がかった空気がある。いまになると、中国地名メニューに食指は動かない。僕が香港やきそばを食べた店も、文字が赤くなっていなかったらスルーしていた気がする。
 中国料理人気の衰退だろうか。現地に行っても、そんなものはないことがわかってしまったからだろうか。つまりは本物志向?
 中国地名メニューはやがて消えていく気がする。漂うレトロ感と安っぽさは嫌いではないが。調べると、ホンコンやきそばというインスタントの袋麵に出合った。北海道を中心に売られているらしい。これは無性に食べたくなった。チープ感がなんともいえない。通販で買ってみようと思っている。

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○クリックディープ旅=ベトナムの旅。ハノイからホーチミンシティへ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 15:35│Comments(1)
この記事へのコメント
香港にない香港焼きそば…
香港で売ったら以外に人気出ちゃったりすると面白いです。

ナポリに無いナポリタンは、もはや日本のB級グルメですよね。
確かにナポリタン先輩のようにはいかなそうですね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2018年03月06日 17:55
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