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ナムジャイブログ

2018年03月05日

ベトナムの元気に高雄で出合う

 台湾の高雄。駅前の安宿にいる。高雄には、ネット予約ができるもっといい宿があることもわかっている。が、時代にとり残された台湾の駅前旅館風宿が気に入っている。
 駅前旅館のなかでも、ビジネスホテルもどきの宿を選んだ。1泊650元、約2300円。台北に比べるとだいぶ安い。
 間もなく『週末ちょっとディープなベトナム旅』(朝日新聞出版)が発売になる。その「あとがき」で、台湾桃園国際空港で目撃した、ベトナムの若者の話を書いている。たまたま、空港の搭乗口で日本行きの便を待っていたときだった。隣がベトナム航空のハノイ行きだった。僕が乗る便より30分ほど早く出発する。なにげなく見ていると、手錠をはめられたベトナム人の若者が20人ほど、入国管理局の職員に連れられて現れた。女性も5人ほどいた。
 しばらく前の日本と同じだった。オーバーステイである。ビザが切れた後も働いていたから不法就労でもある。僕がかかわったのはタイ人だった。日本各地で捕まり、最終的には、成田空港の収容施設に送られる。親しいタイ人が何人かいた。
 自由に面会はできた。日程が合うと、彼らと同じ便でバンコクに向かった。僕が搭乗口で待っていると、彼らが手錠をはめられて現れた。出国審査は終えている。しかし逃亡することを防ぐために、手錠をはめる。収容所内では手錠に縁はなかったのだが、搭乗口までの間だけ、両手首に手錠が光っていた。
 彼らは僕を見つけると、タイ人らしい笑顔をつくった。搭乗口の手前で手錠が外され、彼らは自由の身になる。
 タイが高度経済成長を迎えていた。この時期、海外への出稼ぎが増える。国内の景気はいい。その波に乗るにはまとまった資金が必要だった。そこで海外だったのだ。
 いまのベトナムが同じ状況だった。いま東南アジアのなかで、いちばんの好景気の国といっていいのかもしれない。そんな話を「あとがき」で書いた。
 高雄の駅前の安宿街。そこにはベトナム人向きの店が何軒もあった。インドネシア人向けも店もあるが、ベトナム人向けの店がはるかに多い。ベトナム料理を出し、カラオケもできる。もちろん、ベトナムの歌だ。
 ちょうど、今日は日曜日。工場が休みなのだろう。彼らは高雄駅に集まってきていた。そこで仲間と会う。
 おそらくそのなかには、不法就労組もいるはずだった。一斉摘発を受けると、台湾の空港で目にしたベトナム人のように手錠をはめられて搭乗口まで歩くことになる。
 しかし空港で見たベトナム人も、そして高雄駅前で目にするベトナム人も笑顔である。体からエネルギーが弾けている。ベトナムの元気に、高雄の駅前で出合った。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=カンボジアの旅。ベトナムから陸路国境を越えてカンボジアへ。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機


Posted by 下川裕治 at 13:50│Comments(1)
この記事へのコメント
ベトナムで働く軍資金稼ぎ…
ちゃんとお給料貰えていると良いのですが、
違法なだけに足元見られそう。
給与未払い、サービス残業…
彼らが手にするお金が気になります。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2018年03月06日 17:37
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