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ナムジャイブログ

2019年05月20日

必死に日本に浸る

 5月16日の夕方に帰国した。5月24日に沖縄に向かう。その翌日には沖縄からタイに向かう。1週間だけの東京滞在である。
 最近、仕事が立て込み、海外に出ることが多い。日本滞在が短くなってきている。
 東京ではやらなくてはいけないことが山ほどある。今回は2冊の本。1冊は初校ゲラを返し、もう1冊のゲラを受けとる。ゲラというのは、本になる前の紙に印刷されたもの。そこに、赤字という修正を入れていく。ネットを使ったデータのやりとりがしにくい。編集者との細かい打ち合わせもある。
 その間に6月末が締め切りという本の打ち合わせもしなくてはならない。
 病院に行く日程も入っている。僕は心房細動という持病を抱えている。不整脈といわれるものだ。治療は難しいが、脈の間隔があいたときに血栓を起こさないように、血液の凝固度をさげなくてはならない。その薬が効いているかという血液検査を1ヵ月に1回の割合で受けなくてはならないのだ。
 それに合わせて帰国するようなところもある。
 今回は僕が加わっている句会もある。俳句をつくり、皆で評価する。俳句には兼題といわれるものがある。その文字を入れて俳句をつくらなくてはならない。
 今回の兼題は若葉……。
 僕がしばしば滞在するタイにも若葉の季節はある。先週、温泉に浸りまくっていた台湾は新緑だった。
 それを眺めながら、若葉を入れた句をつくろうとはするのだが、これがまったくできない。俳句というのは、日本の自然に縁どられている。極めて日本的なものだと思う。やはり日本にいないと綴れないのだ。
 ベランダから近所の住宅の木々を眺めてみる。事務所に行く途中、コンビニで100円のコーヒーを買い、近くの公園のベンチに腰かけて新緑を追う。
 帰国して3日。今日、公園で木々を眺めると、その頂が電線の高さを超えた。3日間で木々は、きっと5センチぐらい高くなったのかもしれない。
 そこから俳句……。頭のなかを日本にしないと、句が浮かんでこない。
 こんなことでは、いい俳句もつくれないと思う。もっと日本の自然を丁寧に観察する月日が必要だと思う。しかしその時間がない。
 わずか1週間。その間に、必死に日本に浸ろうとする。しかし、基本的に日本に暮らしている人にはかなわない。
 いったいいつ、日本を飽きるぐらい眺める日々がやってくるのだろうか。
 そんなことを考えている間にも、木々は光合成を繰り返し、若葉に覆われていく。その営みは、僕をあざ笑っているようでもある。

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Posted by 下川裕治 at 19:43│Comments(0)
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