2019年06月10日
サムローンのナムプリック
タイのショッピングモールには、必ずといっていいほどフードコートがある。事前にクーポンやカードを買って支払うシステムのため、クーポン食堂という人もいる。
高級ショッピングモールのそれは、趣向を凝らし、高い料理を置き、話題を集めるが、ロータスやビッグCといった量販店のそれは庶民派。1品40バーツから60バーツといった料金になる。
正直、料理のレベルは低い。タイ人の知人のなかには、「ロータスやビッグCのフードコートは絶対に行かない」という人もいる。
しかし楽。バンコクではひとりでいることが多いから、ふっと寄ってしまう。
いつも頼む定食があった。ナムプリックである。ナムプリックというのは、タイ特有のディップで、魚、肉、野菜……なんでもつけて食べることができる。フードコートのそれは、定食になっていて、揚げた魚、野菜、天ぷらもどきなどがご飯の周りに盛られる。
好きな料理だ。タイの家庭に下宿をしていたとき、毎日のように食べていた。ナムプリックというのは、タイの家庭の常備食。いつもあったのだ。そのとき、刷り込まれてしまった。
しかしバンコク市内のロータスやビッグCのフードコートから、ナムプリックの店が消えつつある。人気がないらしい。いま風のタイ料理ではないのだろう。
先日、ケーハまでのびたBTSのスクムビット線に乗った。「歩くバンコク」のページをつくるためだった。途中のサムローンで降りてみた。ビッグCが見えた。近づくとそこはインペリアルというタイのローカルデパートと合体した店だった。
サムローンはサムットプラカーン県。地方都市の空気に満ちていた。いまのバンコクでは姿を消しつつる市場も健在。熱気のなかに野菜や魚、肉、総菜、花、携帯ショップが雑然と並んでいる。ビッグCに入ってみた。予感があったのだ。
ここのフードコートには、ナムプリックを置く店がある……。
あった。それも45バーツ。味はいまひとつだったが、ナムプリックはナムプリックである。
昔のバンコクという街で、タイという国を知ってしまったタイプの日本人は、こうして郊外に出ていくしかないらしい。雰囲気からすると、サムローンはバンコクからいちばん簡単に行くことができる地方都市だ。そこまでフードコートのナムプリックを食べに出かける? ビッグCと合体したインペリアルというデパートも地方に移転。この先にはロビンソンというデパートもあるという。
昔のバンコクを郊外や近隣県に移し、バンコクは肥大化していく。65歳になった僕も、それを追って郊外へ。そういうことか。
■バグラデシュの小学校を修復するクラウドファンディングをはじめています。詳細は以下から
https://a-port.asahi.com/projects/sazanpen/
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズが連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
高級ショッピングモールのそれは、趣向を凝らし、高い料理を置き、話題を集めるが、ロータスやビッグCといった量販店のそれは庶民派。1品40バーツから60バーツといった料金になる。
正直、料理のレベルは低い。タイ人の知人のなかには、「ロータスやビッグCのフードコートは絶対に行かない」という人もいる。
しかし楽。バンコクではひとりでいることが多いから、ふっと寄ってしまう。
いつも頼む定食があった。ナムプリックである。ナムプリックというのは、タイ特有のディップで、魚、肉、野菜……なんでもつけて食べることができる。フードコートのそれは、定食になっていて、揚げた魚、野菜、天ぷらもどきなどがご飯の周りに盛られる。
好きな料理だ。タイの家庭に下宿をしていたとき、毎日のように食べていた。ナムプリックというのは、タイの家庭の常備食。いつもあったのだ。そのとき、刷り込まれてしまった。
しかしバンコク市内のロータスやビッグCのフードコートから、ナムプリックの店が消えつつある。人気がないらしい。いま風のタイ料理ではないのだろう。
先日、ケーハまでのびたBTSのスクムビット線に乗った。「歩くバンコク」のページをつくるためだった。途中のサムローンで降りてみた。ビッグCが見えた。近づくとそこはインペリアルというタイのローカルデパートと合体した店だった。
サムローンはサムットプラカーン県。地方都市の空気に満ちていた。いまのバンコクでは姿を消しつつる市場も健在。熱気のなかに野菜や魚、肉、総菜、花、携帯ショップが雑然と並んでいる。ビッグCに入ってみた。予感があったのだ。
ここのフードコートには、ナムプリックを置く店がある……。
あった。それも45バーツ。味はいまひとつだったが、ナムプリックはナムプリックである。
昔のバンコクという街で、タイという国を知ってしまったタイプの日本人は、こうして郊外に出ていくしかないらしい。雰囲気からすると、サムローンはバンコクからいちばん簡単に行くことができる地方都市だ。そこまでフードコートのナムプリックを食べに出かける? ビッグCと合体したインペリアルというデパートも地方に移転。この先にはロビンソンというデパートもあるという。
昔のバンコクを郊外や近隣県に移し、バンコクは肥大化していく。65歳になった僕も、それを追って郊外へ。そういうことか。
■バグラデシュの小学校を修復するクラウドファンディングをはじめています。詳細は以下から
https://a-port.asahi.com/projects/sazanpen/
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズが連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
Posted by 下川裕治 at 13:06│Comments(0)
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