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ナムジャイブログ

2019年07月15日

ため息ばかりついている

「12万円で世界を歩くリターンズ」(朝日文庫)の売れ行きが好調のようだ。となると、当然、第2弾の話がもちあがってくる。
 この本は、30年前に発刊された「12万円で世界を歩く」と同じコースを、いま歩いてみよう、という内容である。今回は、スマトラ島の赤道、ヒマラヤのトレッキング、アメリカをバスで一周、バングラデシュに向かっている。「12万円で世界を歩く」では、12のコースに挑んだ。そのなかから、第2弾用のルート選ぶことになる。
 しかし気が重い。
 今回、旅をしてわかってしまったことがある。それは当時、輝いていた交通機関が、30年の間に衰退し、勢いをなくしているということだった。
 たとえばタイやインドネシアの長距離バスである。いまのアジアはLCCに勢いがある。そのなかで長距離バスは客足が遠のき、便数減少。なかには廃止されたルートもあった。走っていても、30年前より所要時間がかかることもあった。
 街の人に訊くと、皆、口をそろえたように「LCC」という。たしかに同じぐらいの運賃なら、だれでも飛行機を選ぶ。そのなかで、30年前と同じように旅をするということは、衰退交通機関にあえて乗るという時代錯誤のなかを歩くことになる。
 30年前、僕が乗った長距離バスは輝いていた。各社はサービスを競い合っていた。そういう乗り物で旅をするだけで、それまでの日本人の旅よりかなり安く移動することができた。本のなかでは、「きつい」、「長い」などと連発しているが、現地にしてみれば花形の乗り物だったのだ。それがいまは、一気にしぼんでしまっている。
 アメリカのグレイハウンドもそうだった。飛行機に押されるなかで、路線も少なくなった。シカゴからスポケーンの間はグレイハウンドの運行がなくなり、地場のバス会社が受けもっていた。当然、運賃も高くなる。そのなかで、なんとか12万円でやりくりしようとすると、30年前以上に貧しい旅になってしまうのだ。
 第2弾はカナダの北極圏や中国の長江を遡る旅などを考えているのだが、はたしてどうなることか。とくに中国は鬼門である。この30年の間に、恐ろしいほどの経済発展を経験してしまった。長江を船で……などと口にすると、「そんなものは遠い昔になくなってしまったよ」という言葉が返ってきそうだ。
 経済発展が急な国は、時間の進み方も早いのだ。そのなかで翻弄されることはわかっている。
 第2弾……。
 その前でため息ばかりついている。

■バグラデシュの小学校を修復するクラウドファンディングをはじめています。詳細は、「A-Port バングラデシュ」で検索を。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=台湾の超秘湯の旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまも続いています。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 11:53│Comments(0)
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