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ナムジャイブログ

2019年11月18日

貧窮するほど利他性が高くなる

 利他という言葉がある。自分を犠牲にして他人の利益を図ること……という意味だと説明されている。わかりにくい表現に映る。無私といったほうがしっくりとくる。
 利他という言葉を知ったのは、ある本だった。社会学者が書いていた。そこにはこう書かれていた。
「貧窮するほど利他性が高くなる」
 貧しい人ほど、自分を無にして、他人のために尽くすということになる。逆にいえば、裕福な資産家は他人のために犠牲を払わないということだ。
 実感でもある。30年近く、バングラデシュ南部のコックスバザールで小学校を運営している。僕個人ではない。運営グループの責任者を僕が務めているといったほうがいい。
 運営はすべて寄付でまかなってきた。いつも資金は不足していた。現地の学校から催促がくるわけではないが、先生たちの給料が滞ることは何回かあった。
 しばしばメンバーで集まった。どうしたら寄付が多くなるか……知恵を絞る。いろんなことをした。NGO系のフリーマーケットで、バングラデシュの手作り菓子を売ったこともある。現地で買った民族衣装を販売したこともある。公的な援助を得るために、申請書をいったい何枚書いたことか。そのなかで、必ず、多くの資産をもった方に寄付をしてもらおうという話が出てくる。
 学校運営はひとりの日本人が現地で熱帯熱マラリアに罹り、死亡したことがきっかけではじまった。メンバーは彼の友人が何人かいた。彼らが情報を寄せてくれる。
「A君は家が駅前に広い土地をもっている資産家なんですよ。アパートの家賃収入だけで生活できるっていってた。1万円ぐらいの寄付をくれるんじゃないかな」
 メンバーと一緒にその知人を訪ねてみる。話は聞いてくれる。しかし寄付はもらえないことが多かった。そんなときに味わう複雑な思い……。そこでわかってくるのだ。寄付を送ってくれるのは、資産家ではない普通の人たちだということが。資産家を批判しているわけではない。寄付をいただいた資産家の方もいる。あくまでも傾向の話だ。金というものは、そういう性格をもっているもののようなのだ。
 学校修繕のためのクライドファンディングを行った。総額で200万円を超える寄付をいただいた。クラウドファンディングにはリターンというシステムがある。現地の工芸品や僕の本をお礼に送る。その発送作業をはじめている。これが意外に大変だ。宛名のラベルを貼り、袋に詰め、発送する。
 宛名のシールを貼りながら、いろいろ考える。寄付していただいたお金には、どんな意味が込められているのだろうか。利他という言葉が浮かんでくる。

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Posted by 下川裕治 at 12:58│Comments(0)
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