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ナムジャイブログ

2019年12月04日

味覚気候図ができたら……

 今日、サハリンのユジノサハリンスクから東京に戻った。ユジノサハリンスクの気温は昨夜、マイナス12度だった。東京は今日、12度だったとか。生暖かくさえ感じた。
 ユジノサハリンスクではアパートに滞在していた。部屋は集中暖房で暖かい。外はマイナス10度以下という環境に置かれてと、味覚が変わるような気がした。
 朝、目が覚め、なにか飲もうとする。日本だったらコーヒーというところなのだが、どうしてもその気になれない。湯を沸かし、紅茶を淹れていた。紅茶は砂糖を入れないで飲むことが多いのだが、甘さがほしくなる。角砂糖を3個。毎朝、そうしていた。
 マイナス10度を下まわる屋外を歩く。カフェに入っても、コーヒーに手がのびない。やはり紅茶になってしまう。ユジノサハリンスクのカフェは、はじめから砂糖が入っていることが多かった。
 なにかコーヒーは強く感じるのだ。体が寒さで弱ってしまうと、紅茶を求めるといことなのだろうか。
 今回はサハリンに暮らすという企画だったから、カメラマンと一緒に料理もつくった。八百屋でビーツを買い、玉ねぎやトマトと一緒に煮込んでボルシチに挑戦してみた。
 つくってみてわかったのだが、ボルシチというスープは、トマトスープのビーツ入りという感じだった。ビーツの歯ざわりはダイコンに似ているが、これをスープに入れると、柔らかい甘さが出る。人によると、ビーツは土の味がするのだという。たしかに素朴な甘みである。
 ロシア料理は優しい味の料理群だと思う。その一因は、ビーツにあるのかもしれない。
 今日、もち帰ったビーツでボルシチをつくってみた。家には牛肉やジャガイモもあったので入れてみた。妻のアドバイスがあったからだ。トマトは缶詰を使った。
 できあがったボルシチは、なかなかの味だったが、牛肉やトマトの味が強い気がした。ビーツの存在感が薄れていってしまう。
 そういうことかもしれなかった。
 日本人が日々、口にしている食材。そしてそれが形づくる味覚というのは、1日の最高気温がマイナス5度といった世界とは違う。それより10度以上気温が高い世界の食材なのだ。ユジノサハリンスクから、ウラジオストク経由で帰国したが、飛行機から見おろす関東平野には緑があった。この違いなのだ。
 そして体というものは、気候に左右され、気温がさがるほど、優しい味に吸い寄せられていく。
 味の強さを測る基準があれば、気温の変化とかなりだぶってくるように思える。そんな味覚気候図ができたら……。
 東京には4日間だけいる。土曜日には香港にいる。味覚など考える余裕はないかもしれないが。

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Posted by 下川裕治 at 12:07│Comments(0)
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