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ナムジャイブログ

2019年12月09日

香港トランジット

 昨夜、バンコクに着いた。東京からキャセイパシフィック航空を使った。朝の9時台に成田空港を出発する便に乗った。午後の1時すぎに香港に着く。バンコクに向かう便は夜の9時台の飛行機にした。こうすれば、トランジットだが、香港で6時間ほどの時間を確保できる。香港に入国し、街を見ることができるのだ。
 空港から紅磡行きのバスに乗った。終点の紅磡駅近くに香港理工大があった。先日のデモで学生たちの拠点になった大学である。多くの学生がたてこもった。その大学を見ておきたかった。
 バスは旺角で渋滞に巻き込まれた。理由はすぐにわかった。壊された信号がまだ復旧していなかったからだ。車が信号なしで交差するから、どうしても徐行運転になる。
 香港理工大のキャンパスはしんと静まり返っていた。入り口は閉鎖され、なぜか黒人の男たちが警備にあたっていた。
 その後の選挙で、民主派は大勝した。今週からゼネストが計画されているという噂もあった。民主派の要求に、香港の行政長官はなにも応えていない。これからも、香港の騒乱は、波状的に繰り返されていくだろう。
 再びバスで空港に戻った。香港の空港では珍しく、入場チェックがあった。
 バンコク行きの飛行機の搭乗口は混みあっていた。中国人の団体客が席を埋めていた。
 騒がしいほどだった。香港の騒乱など、なにも知らないかのような笑い声が搭乗口に響き渡る。いや、実際、中国人の多くは、香港で起きていることの詳細を知らない。
 中国はそういう国だ。それに対する香港の人々の怖れは、反発の要因でもある。
 バンコクに向かう中国人の表情は明るい。それはいまの香港の人々との決定的な違いに映る。かつて中国は貧しかった。しかし中国の暮らしは、年を追って便利になり、中国人は豊かになってきた。そんな日々に満足しているかのような空気が、いまの中国には流れている。
 しかし香港には逆のベクトルが作用している。かつて中国人が憧れた香港が、失速しつつあるのだ。その不満がいま、デモや騒乱に結びつき、選挙の結果を導いた。
 しかし中国人は気づいていない。香港は中国よりはるかに民度の高い社会だった。それが中国に吸収されていくことへの反発ということに。悩みのレベルが違う気がする。
 バンコク行きの飛行機は満席だった。僕の隣は、中国人の団体客だった。男性の客室乗務員が英語で声をかけると、彼らは、夕食はいらないといったしぐさをした。ところがその後でやってきた女性の客室乗務員に、畳みかけるように中国語を口にし、夕食はいらないといっていた10人ほどが、一斉に夕食を注文した。彼らに囲まれ、ひとり座席でため息をつく。いまにはじまったことではないが。

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Posted by 下川裕治 at 17:47│Comments(0)
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