2020年02月24日
中国人がいない空港
空港から熱が消えた。
この2週間の間に7空港を利用した。順に追っていくと、羽田空港、那覇空港、宮古空港、成田空港、スワンナプーム空港、プノンペン国際空港、ドーンムアン空港。いちばん閑散としていたのはスワンナプーム空港とドーンムアン空港だった。空港の混み具合は、時間帯によっても違う。一般論にもっていくのは強引という気がするが、これまでの経験では、イミグレーション周辺だけではなく、その外側のバスやタクシー乗り場などもいつも喧騒が渦巻いていた。いまはそれもない。
今回、2回、タイのイミグレーションを通ったのだが、2.3人の列があるだけだった。いつもは長い列に、「30分はかかるな」などと覚悟を決めるのだが、拍子抜けしてしまうほどだった。
理由は中国人。とくに中国人の団体客がいないからだ。団体客という存在は、中国人ではなくても騒々しいものだ。それぞれが知り合いになっているのだから会話も弾む。しかし中国人は、体から発散するエネルギーが違う。経済成長に支えられた豊かさへの自信のようなものが熱源である。
中国人団体客に混じってしまうと、個人客は気圧され、文句のひとつもいいたくなるのだが、いざ、彼らがいなくなると、また寂しさを感じてしまうから不思議なものだ。
沖縄、東京、バンコク……。どこも激減した中国人に悩んでいる。彼らの見境のない購買力に支えられてきた業種も多い。
那覇の国際通りは、ドラッグストアー銀座と呼ばれるほどだった。どこも中国人観光客を狙っていた。ぱたっと姿を消した中国人を前に、撤退しようとしている店舗もあるという。
「どこも本土から出店したチェーンですよ。儲からないとわかると、すぐに店をたたむ。そんなことをされたら、街が空洞化していってしまうさー」
那覇に住む知人は唇を噛む。新型コロナウイルスの感染力は、日本の街を変えてしまうほどの影響力を発揮してしまった。
「感染が沈静化しても、元に戻るまでには2年はかかる」
そう読んでいる日本人は多い。ところが香港に住む日本人はこんなことをいう。
「SARSが終わり、香港に観光客が戻ってきました。最初にやってきたのが欧米人。安くてお得感があるからって。日本人は最後。なんとなく怖いから香港を避けてしまう。この意識の違いってなんでしょうね」
地球はこれからも、さまざまなウイルスの感染に見舞われていくだろう。そのたびに大混乱が起き、経済が停滞していく。終息したら必要なことは早い回復だろう。そこで問われるある種の鈍感さ。それが人々の生活を救うということなのだろうか。
■“旅情報ノート”クラブの内容は、以下のサイトで http://www.arukubkk.com/
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=サハリンに暮らす旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=台湾の秘湯シリーズがはじまりました。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
この2週間の間に7空港を利用した。順に追っていくと、羽田空港、那覇空港、宮古空港、成田空港、スワンナプーム空港、プノンペン国際空港、ドーンムアン空港。いちばん閑散としていたのはスワンナプーム空港とドーンムアン空港だった。空港の混み具合は、時間帯によっても違う。一般論にもっていくのは強引という気がするが、これまでの経験では、イミグレーション周辺だけではなく、その外側のバスやタクシー乗り場などもいつも喧騒が渦巻いていた。いまはそれもない。
今回、2回、タイのイミグレーションを通ったのだが、2.3人の列があるだけだった。いつもは長い列に、「30分はかかるな」などと覚悟を決めるのだが、拍子抜けしてしまうほどだった。
理由は中国人。とくに中国人の団体客がいないからだ。団体客という存在は、中国人ではなくても騒々しいものだ。それぞれが知り合いになっているのだから会話も弾む。しかし中国人は、体から発散するエネルギーが違う。経済成長に支えられた豊かさへの自信のようなものが熱源である。
中国人団体客に混じってしまうと、個人客は気圧され、文句のひとつもいいたくなるのだが、いざ、彼らがいなくなると、また寂しさを感じてしまうから不思議なものだ。
沖縄、東京、バンコク……。どこも激減した中国人に悩んでいる。彼らの見境のない購買力に支えられてきた業種も多い。
那覇の国際通りは、ドラッグストアー銀座と呼ばれるほどだった。どこも中国人観光客を狙っていた。ぱたっと姿を消した中国人を前に、撤退しようとしている店舗もあるという。
「どこも本土から出店したチェーンですよ。儲からないとわかると、すぐに店をたたむ。そんなことをされたら、街が空洞化していってしまうさー」
那覇に住む知人は唇を噛む。新型コロナウイルスの感染力は、日本の街を変えてしまうほどの影響力を発揮してしまった。
「感染が沈静化しても、元に戻るまでには2年はかかる」
そう読んでいる日本人は多い。ところが香港に住む日本人はこんなことをいう。
「SARSが終わり、香港に観光客が戻ってきました。最初にやってきたのが欧米人。安くてお得感があるからって。日本人は最後。なんとなく怖いから香港を避けてしまう。この意識の違いってなんでしょうね」
地球はこれからも、さまざまなウイルスの感染に見舞われていくだろう。そのたびに大混乱が起き、経済が停滞していく。終息したら必要なことは早い回復だろう。そこで問われるある種の鈍感さ。それが人々の生活を救うということなのだろうか。
■“旅情報ノート”クラブの内容は、以下のサイトで http://www.arukubkk.com/
■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=サハリンに暮らす旅を連載中。
○旅をせんとやうまれけむ=つい立ち止まってしまうアジアのいまを。
○アジアは今日も薄曇り=台湾の秘湯シリーズがはじまりました。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
Posted by 下川裕治 at 12:42│Comments(2)
この記事へのコメント
下川さん、きっと、いく先々で中国人と接触しているんだろうなと、国際的な人に視野をむけると、そう思いました。お身体に、気をつけてください!
Posted by たかしま at 2020年02月24日 22:18
下川さんの言う鈍感さよくわかります。
デモ真っ只、香港へ行ったときの周りの反応を思い出します。旺角あたり路地のアパートなんか眺めていると、もう日本人の観光客はこんなところ寄り付かないだろうなって思ってしまう。あんな所にある茶チャンテーンこそ香港ネイティブを感じられるところなのに。
デモ真っ只、香港へ行ったときの周りの反応を思い出します。旺角あたり路地のアパートなんか眺めていると、もう日本人の観光客はこんなところ寄り付かないだろうなって思ってしまう。あんな所にある茶チャンテーンこそ香港ネイティブを感じられるところなのに。
Posted by 磯部成志 at 2020年02月28日 15:23
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