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ナムジャイブログ

2020年03月09日

ペシャワール会は1割

 バングラデシュの南部、コックスバザールの小学校の改修工事がほぼ終わった。僕がその運営に30年かかわってきた学校である。
 改修資金はクラウドファンディングで寄付を募った。多くの方に賛同していただいた。
 いま、その会計報告のために、改修工事にかかった費用を計算しているのだが、これが予想以上に大変だ。改修工事といっても、材木やセメント代、工事にかかわった人件費などの領収書はベンガル語。どれがそれにあたるのかの照合に時間がかかる。もうひと息というところまで辿り着いたが。
 改修費が予想以上にかかった。学校の先生たちの給料を少しはアップできるかと考えたのだが、なかなか難しい。
 この工事の立ち合いなので、僕は2回、現地に向かった。リターンの商品を袋に詰めて発送する作業にも時間がかかった。何人かの人に手伝ってもらったが、その費用が出そうもない。僕の渡航費も自腹になりそうだ。
 本当はもっと計画だってやらないといけないのかもしれないが、学校の修繕をはじめると、次々に問題が発覚し、費用がかさんでしまった。
 援助にかかわっていると、現地への渡航費やさまざまな作業にかかった時間に対して、いくらもらったらいいのかで悩む。寄付でいただいた資金である。そのどのくらいを運営費としてもらっていいものか、という問題である。今回は運営費がほぼない状態になってしまったが、今後のことを考えれば、きちんとしたガイドラインをつくったほうがいい気がする。
 以前、知人の新聞記者が、世界の名だたる援助団体の運営費を調べあげた。多いところは8割を運営費にあてていた。援助団体が大きくなると、かなりのスタッフを抱えることになる。彼らは専従だから給料を払わなくてはならない。寄付のための宣伝費も必要になる。
 昨年の12月、アフガニスタンで援助活動をしていたペシャワール会の代表の中村哲氏が死亡した。武装グループに襲撃されてしまったのだ。
 水路をつくり、乾燥した土地を作物が育つように変えていく。それがアフガニスタンにとってどれほど重要なことか、僕は痛いほどわかる。何回かアフガニスタンを訪ねているからだ。作物を育て、収入を得ることができれば、彼らはゲリラ兵として雇われることをやめる。平和への道筋ができていくのだ。
 知人の新聞記者は、ペシャワール会の運営費も調べた。
「1割なんですよ。援助団体のなかでは圧倒的に少ない」
 1割──。
 中村氏にあやかるわけではないが、僕らの運営費のガイドラインはそのへんにしようと思う。今後は。

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Posted by 下川裕治 at 11:50│Comments(1)
この記事へのコメント
中村哲さんは、NHKのドキュメントで、拝見しました。とてもかわいたところに、うるおいをもっていきました。運営費のことは、わからないですが、下川さんもすごいことをやってのけてるんだなと、あたまが、あがりません。
Posted by たかしま at 2020年03月10日 08:07
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