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ナムジャイブログ

2020年05月04日

新型コロナウイルスと同調圧力

 世界は新型コロナウイルスの感染を防ぐ対策に追われている。多くがロックダウン方式で。しかし完全な鎖国状態にして、国内ロックダウンをしない国や、スウェーデンのように集団免疫をめざす国もある。集団免疫は、多くの人が感染し、免疫をもつことで感染を防ぐ方法だ。致死率を低くできれば、理想的な方法ともいわれる。第二派、第三派の流行を防ぐことができるからだ。
 日本はレベルの違いはあるがロックダウン方向である。しかし、特措法といわれる新型インフルエンザ等対策特別措置法の枠内で措置で自粛要請に留まっている。つまり、「飲食店は夕方8時までの営業に」と自粛をお願いするレベルだ。強制力はなく、罰金規約もない。
 世界の多くの国が、ロックダウンと罰金をセットにしている。日本で緊急事態宣言後の記者会見で、記者が、「世界に類をみない対策」といったのは、自粛要請に留まっていたからだ。
 しかし日本には、自粛要請を強制力として作用させる空気がある。同調圧力である。
 同調圧力とは、少数派の意見をもつ人を、暗黙のうちに多数意見に合わせてしまうことだ。これは日本だけにあるものではないが、日本のその圧力はほかの国より強いといわれる。日本人は他人の行動に敏感なのだ。
 たとえば戦前の日本。軍国主義に走っていくなかでは同調圧力が強く働いていた。
 今回の自粛要請に応じない店があった。その店に対して、日本は同調圧力が強く作用する。「自粛要請なんだから、応じないという自由があるでしょ」という意見は、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐという大義を背負った相互監視のなかで、しだいに追い詰められていく。
 ある大臣が、それを、「日本人のDNA」といったが、政府が同調圧力を広めようとしているわけではない。日本人のなかに自然に生まれる。もっとも政府はそれを利用しようとしている節がないではないが。
 繁華街には自粛要請に従わない店はある。それをチェックし、都や県などに伝える自称「自警団」も生まれているという。それは少数派の意見をネット上で攻撃する正論モンスターを思い起こさせる。
 自警団に文句はいいにくい。支持する人もいるかもしれないが、言葉にならない不快感を抱く人もいる。僕もそのひとりだ。自粛要請を否定するつもりはないが、そこから生まれる同調圧力に違和感を覚えてしまう。海外の紛争地へ出かけた日本人が犠牲になったときの「旅の自己責任論」のときも同じ思いを抱いたものだった。
 同調圧力は、ときに日本の美徳のように語られることもあるが、逆のベクトルが作用するとき、日本人であることが嫌になる。仮に日本が同調圧力で新型コロナウイルスを克服したと分析されると、いままで以上に居場所を失ってしまうように思うのだ。

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Posted by 下川裕治 at 12:48│Comments(3)
この記事へのコメント
自粛生活が始まって、どうしてか大好きな読書すら億劫になってしまっていました。でも下川さんの本を開いたら、またたくさん旅がしたい!と少しずつ元気が出てきました。日本じゃないどこかへ早く行きたいなぁ
Posted by 110 at 2020年05月05日 11:14
たしかに。

中東あたりで武装勢力に拘束された日本人が解放され日本に帰国したとき、「なにはともあれ殺害されずに帰ってきたのだから喜ばしいことだ」と私は思いますが、インターネット上ではその解放された日本人を総だたきしている・・・。
Posted by ダイスケ at 2020年05月07日 12:28
本当にその通りだと思う。密告など好きそうだし、日本は戦前からあまり変わっていない気がする。テレビやヤフーニュースを真に受けて、政府側に立ち、したり顔で少数派をいじめるといった人が多い。それが自分にマイナスに返ってくることが分からないのですね。
Posted by にし at 2020年05月08日 12:51
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