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ナムジャイブログ

2020年06月22日

無菌状態のアジア

 絶望的な数字に映った。
 日本で行われた新型コロナウイルスの抗体検査である。東京と大阪、宮城で約8000人を調べた。東京は0.1%、大阪は0.17%、宮城は0.03%。つまりほとんどの日本人が抗体を獲得できなかったという結果だった。
 抗体検査の精度や、抗体がどのくらい持続するか……など、抗体検査には異論がある。しかし大きな傾向でみれば、やはり日本人の大多数は抗体をもっていないと考えていい。
 感染者が多いエリアでも、抗体を獲得した人は予想より少ないといわれる。ニューヨーク州の最新のデータでは12.3%。スウェーデンは集団免疫をめざしたが、6.1%に留まっている。集団免疫とは、人口の60~70%が抗体をもてば、流行を防ぐことができるという理論だ。
 免疫を得る方法はふたつある。ひとつは感染して治癒することで抗体を獲得すること。そしてワクチンである。人類は集団免疫でいくつかの感染症を抑え込んできた。
 ワクチンの開発が間に合わないいま、感染によって抗体をもつ人を増やすことになるのだが、新型コロナウイルスは、どうも抗体を獲得する割合が低いようなのだ。
 ということは、第二波、第三波に対して、再びロックダウンと隔離という方法で向かうしかない。そう考えただけで気が重くなる。経済への負担も大きい。
 ポストコロナの話は、ロックダウンと隔離を前提にして進んでいるようにも思う。現実的な論点かもしれない。
 しかし感染症の専門でもなく、世界の人々の感性の違いを多少は語ることができる経験からすれば、もうひとつの選択肢があるような気がするのだ。
 いま世界の国々のなかで、観光客を簡単なチェックだけで受け入れはじめた国は、ギリシャ、トルコ、ウクライナ、メキシコなどである。東南アジアや極東の国々は、仕事関係の人に新型コロナウイルスの陰性証明をつける形での入国許可の調整がはじまったレベルだ。観光客が自由に行き来できるようになるのは10月ともいわれている。
 この違いはなんだろうかと思う。感染者数をみると、トルコは約18.6万人、メキシコは約17.5万人に達している。それに対して日本は約1.78 万人、タイは3000人強、台湾は440人強にすぎない。
 欧米に比べると、アジアには封じ込めに成功したエリアが多い気がする。SARSの教訓が生きているともいわれる。しかし無菌状態に近づけただけで、新型コロナウイルスを本質的に克服したわけではない。5年、10年、いや50年という時間軸でみたときの脆さが気になる。人間の体は、ウイルスをとり込むことでしか先に進めないと思うからだ。
 以前、この連載で、欧米人のウイルスに対する鈍感さに触れた。ポストコロナを考えたとき、鈍感さという選択肢があっていい気がするのだ。精神的な重圧も少ない。欧米人の血にその鈍感さがあるとしたら、ひとつの救いにも映るのだが。

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Posted by 下川裕治 at 15:33│Comments(1)
この記事へのコメント
去年の今頃は街中、中国人、韓国人、タイ人、香港、台湾、アメリカ、様々な国からの旅行者で街中活気があった。反対意見も多かったけど僕はあの混沌とした雰囲気が好きだった。世界中の人が鈍感に色んなスタイルで旅を楽しめれば、国家間で歪み合っていても民間レベルではなんとなくうまくいってしまうだろうと確信していたのに・・・。
ドンキの免税カウンターや牧志市場の中国人スタッフ達は今どうしてるのだろう。
Posted by なかも at 2020年06月23日 18:42
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