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ナムジャイブログ

2010年05月03日

シンガポールという隘路

 考えてみれば、この街にやってきたのはもう20回を超えるかもしれない。いや30回を数えるかもしれない。しかし1泊以上滞在したことは、そう2~3回しかない。いつも1泊。ひどいときは数時間……。
 シンガポールにいる。
 昨夜、マレーシアのグマスという街から列車に乗って、ジョホール海峡を越えた。そして街中に1泊。今日、バンコクに向かう。
 シンガポールはいい街だ。朝、宿のまわりを歩きながら呟く。気温と湿度は高いが、空気のなかに木々や草の香りが含まれている。鳥の声はときにやかましいほどだ。ビルが乱立する街なのに、この自然はありがたい。つい、時間を忘れて街のなかを歩いてしまった。
 いつもそうなのだ。
 1泊した朝のシンガポールは、羨ましいほどの公園都市の姿を見せてくれる。こういう街に暮らすことができたら、きっといい心も豊かになるだろうと思う。タイのバンコクやチェンマイにロングステイする老人は多いが、暮らす環境を考えればシンガポールではないか。まあ、物価はかなり高いが。
 しかしこの街を半日も歩くと、どうしたらいいのかわからなくなるような感覚に陥る。街は便利だ。地下鉄もスムーズだ。街では英語が通じるから、なんの抵抗もない時間が過ぎていく。
 そして呟いてしまう。
 もう、いいかな。
 旅人から眺めると、シンガポールはそういう街なのである。
 これに似た話を、僕は拙著などで書いてもきた。しかし街は生き物だから、半年ほどの間隔をあけてやってくると、その変化に戸惑いもする。しかしシンガポールにはそれがない。いつも便利で快適な街なのだ。
 はじめてこの街にやってきたのは、30年も前である。そのときも同じことを考えていた。そして今日も同じシンガポールという隘路に陥ってしまうのだ。
 これはある意味、すごいことなのだろう。
 この安定感……。
 それはファストフード店に抱く思いに似ている。快適で、文句はないが、だからといって……と呟く感覚。マニュアルとルールが忠実に実行される世界。
 それが隘路に映るのは、僕が旅に染まった人生を歩んできたからなのだろうか。
(2010/5/2) 


Posted by 下川裕治 at 14:51│Comments(1)
この記事へのコメント
初めまして、

京都の塚本と言います、

実は中村正人氏と連絡がとりたくて、

このブログにコメントを書いている次第です、

彼にメアドを教えてやってください、

今、日本に居ます、

よろしくお願いします、

失礼します
Posted by ツカモトユキスケ at 2010年05月05日 01:38
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